都心部の川や地形に詳しい帝京平成大学の小森次郎教授は、大雨が降った地域のうち、都が設置した雨量計で1時間に134ミリの猛烈な雨を観測した目黒区を調査しました。
都市部の大雨 相次いだ浸水被害 その理由は?専門家に聞く
11日、記録的な大雨で浸水被害が相次いだ東京都内。
専門家は、急激に降った猛烈な雨に排水が追いつかず、内水氾濫が各地で発生していた可能性があると指摘しています。
地形と“地下を流れる川”が影響か
自由が丘駅前の店舗が並ぶ商業エリアでは周囲と比べると標高が最大で5メートルほど低く「鍋の底」のような地形になっているといいます。
小森教授は、まず、こうした地形のために周辺に降った雨水が流れ込み、浸水被害につながったと指摘します。
さらに小森教授が指摘するのは、地下を流れる川の存在です。
地形的に低くなっている場所は緑道となっていて、その地下には九品仏川が流れています。
もともと地上を流れていましたが、地下に建設され、雨水が流れ込むほか下水道管として活用されています。
小森教授は、急激に降った猛烈な雨に排水が追いつかず、九品仏川で水が逆流し、あふれた可能性があるとしています。
健康食品を扱う店の従業員は「くるぶしあたりの高さまでつかり、昨夜遅くまで排水作業に追われました。このあたりは谷のようになっているので水が集まってきたと思いましたが、これまでハザードマップを確認したことはなかったです」と話していました。
小森教授は「標高差がある地域は数多く存在していて、こうした地域で浸水被害が相次いでいた。地形の特徴の確認に加えて、見えない地下を通っている下水道管がどこに存在するのかにも注意を向ける必要がある」と話しています。
また、小森教授は、地区を流れる谷沢川が氾濫した世田谷区野毛も調査しました。ここでは川の近くの斜面があふれた水で削られていたことが確認できたほか、水が住宅街に流れ込むのを防ぐために設置されていた擁壁を超えていたことも確認されました。
小森教授は、世田谷区に降った雨水が集まることで、谷沢川では水位が急激に上昇して強い力で流れ、氾濫が起きたと分析しています。
【内水氾濫ハザードマップや地形の確認を】
小森教授はこうした局地的な大雨の浸水リスクを把握するためにはまず、内水氾濫ハザードマップを確認することが必要だと指摘します。
その上で「今までの経験を上回るような大雨が降るおそれは今後もある。ハザードマップを見るのは今では最低限のことと言え、できれば地形についても確認しておいて欲しい」と訴えています。
下水道管が満水で内水氾濫か
都市水害に詳しい早稲田大学の関根正人教授は、都内の地下を走る下水道管などが、11日の記録的な大雨でどのようになっていたか、下水管の詳細なデータと当時の雨雲レーダーを重ね合わせコンピューター上で解析しました。
11日午後1時半ごろから発達した雨雲がかかり始めた東京 世田谷区では、午後2時半ごろ、広い範囲で下水道管がいっぱいになってしまっていることを示す赤色になっていました。
その後も大田区や品川区などで赤色が広がっていく状況が確認できました。満水になっているのは、住宅地の下水道管から流れ込む主要な管に多く見られたということです。
関根教授によりますと、都内の下水道の多くは1時間に50ミリの非常に激しい雨を想定した排水能力があるものの、今回のように100ミリを超える雨が降れば排水が追いつかないということで、満水になった下水道管からあふれ地上が浸水する「内水氾濫」が各地で起きていたとみられると指摘しています。
関根教授は「下水道の能力を考えれば、1時間に100ミリを超える雨が降ると間違いなく浸水を引き起こすことになる。最近の気象状況を見ると、ハード対策をすれば大丈夫という時代はもう過去のもので、どこまで対策をして、どの程度までの危険を許容するのか、選択が迫られていると感じている」と話していました。