メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

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VS量産型プロトメサイア:3

 身体の怪我は治ったが、さすがに痛みまでは消えないらしい。まぁ、それは仕方ないと割り切っておこう。痛覚は全身にあってもソレを感じるのは脳だからね。

 ダイン系魔法の痛みの記憶は治療したぐらいじゃ簡単には消えないってのは、今後の生存戦略でもなにかしら役に立つかもしれん。そう思えば耐えられるけど痛いもんはホントにマジで痛いなぁぁぁぁコレぇッ!? 

 

 体力も気力も満たされた感覚はあるが、やはりそこまでご都合主義ではなかったか。とどのつまり、結局は気合いと根性とオーガニック食いしばりこそがメガテン世界における生きるための希望、てコトね……ッ! 

 

 あと、足元からなんか邪龍ワームみたいなのがニョキっと顔を出してきて絡み付いてくるのも地味に邪魔だな。キミ真っ白で綺麗な歯してんねぇ? 芸能人だけじゃなく邪龍もデンタルケアには気を遣ってんの? 

 コラコラ、頭(?)をグリグリしてくるんじゃないよくすぐったいじゃないか。まったく、邪龍のクセに甘えん坊さんかよテメェ。そんなことされたら可愛くなっちゃうじゃん! ほーれ、ナデナデしちゃうぞ~♪ 

 

 …………うん。

 

 ソーマ飲んで発狂したヤツって、この子が原因なんじゃね? 俺の記憶が間違ってなければ、邪龍ってカテゴリーの悪魔は神話や伝承でもヤベーのばっかりだから人間の精神に干渉というか負荷を強いるぐらいは出来そうだし。

 

 

「フンッ! 死に損ないが、貴様()()()で我らに勝てるとでも思っているのかッ!?」

 

 お? どうやらコイツらにはワームが見えてないみたいだな。ウェンディゴは周囲に可視化されそうなほど力に満たされる感覚があるみたいなこと言ってたけど、まだギリギリなにか条件が足りてないっぽい? 

 それは結構コケコッコー! ホムスビちゃんに悪魔送還プログラムが搭載されてない可能性もありそうだなとは思いつつも安全のためには仲魔に頼らず殴らなきゃとか考えてたし、ここは新顔のワームちゃんに気張ってもらうべよッ! 

 

 

 ってことで……汝、邪龍ワームよッ! 俺とお友達になってくださいオナシャスッ! お給料はMAG支払いの歩合制になっちゃけどそこは許してッ! 

 

(ワーム? ……ワームッ! わ、私は……邪龍ワーム……な、なかま……なる……ッ! こんごとも、よ、よろしく……ッ!)

 

 

 シャオラァァァァッ!! スカウト大・成・功だコラァァァァッ!! 何故ここで邪龍ワームが現れたのか? 何故ソーマを飲んだらこうなったのか? 理由なんてそんなの関係ねぇッ!! 大事なのは生き残れる希望が増えたって事実だけで上等だルルォォォォッ!? 

 明確な輪郭を取り戻した……って表現でいいのかしら。ともかくなんでも美味しく食べられそうな前歯が眩しいワームちゃん、キミの最初のお仕事は目の前にいる人間を半分ぐらい辞めちゃった連中を齧ることです。ポンポン痛くなりそうだな~と思ったら、ちゃんとペッ! しないとダメだからね? 

 

 

(ゴァァギャァァァァッ!!)

 

 

 うむ! 元気の良い返事で大変結構ッ! ついでに自称救世主たちも「ぐぁぁぁぁッ!? なんだ、この不快な叫び声のような音はァッ!?」とか苦しんでいて素晴らしいねッ! 

 え? お前ら姿は見えないのに声は聞こえてんの? なんだその中途半端さ。……あれ、もしかしてほかの人たちにも聞こえてたりするのかな。敵を目の前にして振り向く余裕なんてないから確認できないけど、もしそうならコレ味方にも被害出てんじゃね。

 

 ま、いいや。だとしても、それは勝利を目的とした致し方無い犠牲だよ。テラスタル……じゃなくて、その、なんとかダメージってヤツさッ! 

 とりまカモフラージュ用にMAGを右手に集中させまして~、全力でなぎ払うッ! フリッ!! そして俺の動きに合わせて巨大化しつつ地面を抉りながら突撃するワームちゃんマジぷりちーッ! これスリスリされてるときに巨大化されてたら俺ぺしゃんこになってたな? 

 

 

「な、なにが起きて──ヒギャァァッ!!??」

 

 

 よし、まずひとり。

 

 う~む、やはり邪龍は格が違ったか。ピクシーさんやウェンディゴは魔法で攻撃するほうが得意だし、イッポンダタラもテンションは高いけど本質は技術屋だから純粋な暴力の使い手ってワケじゃないからな。

 いくら悪魔の力を取り込んだところで、身体の半分をマルカジリされたんじゃあ……本当に死んでんのかアレ。救世主っていうか、まぁメシアを名乗る連中はある意味悪魔よりも殺した程度じゃ安心できないんだよなぁ。プラナリアなんか目じゃないレベルで厄介だっていうね。

 

 

「いったいなにが──ギャハァッ!?」

 

 

 あーあ。動揺して足元で右往左往してるもんだから、ワームちゃんが勢いよく吐き出した残骸に撃ち抜かれちゃってるよ。

 やっぱりデカイっていうのはそれだけで武器になるようだ。ソーマの影響で俺のMAGが大きく強化されてるっぽいのも影響しているのだろう。こりゃ下手に屋内で暴れさせたら大変なことになるぞ? 

 

 逆に言えばここみたいに外なら遠慮するこたぁな~んも無いってことだぜイィヤッホォォォォッ! ほ~らワームちゃ~んッ! 俺を捕まえてごら~んッ! 

 

(あ、あそぶ? わたし、ニンゲン、と……あそぶ……ッ! た、たのしい……ッ!)

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 第三者から見たら俺が走り回るのに合わせて地面も襲撃者もデタラメに抉られてる光景ってどんな感じやろ? もしなにか聞かれたらソーマ飲んで意識が混濁してたから覚えてないってフカシこくべ。

 

 

「なんだよ……なんなんだよコイツはッ!! こんなメチャクチャなヤツがいるなんて聞かされてないぞッ!?」

 

「撤退ッ! 撤退だァッ! ソーマの確保は諦めろッ! 巫女は充分な人数保護したッ! これ以上は無駄死にになる、大義を成すためにもここは退けぇッ!」

 

 

 はぁ~ん? お前らあんだけイキり散らかしてたクセにこの程度の反撃で逃げ出すとか案外だらしねぇな? 

 お前アレだぞ? ソーマの影響でワームちゃんがハッスルしてるから形勢逆転したように見えるだけで俺自身は一時的にMAGが高まってるだけだからお前らに本気で殴られたらたぶん簡単にお陀仏するレベルやぞ? 

 

 クックックッ! 冷静さが足りず状況判断も満足に出来ないバカどもめッ!! 本当に本当にありがとうございます今後もそのミニマム脳みそと節穴アイを標準装備で過ごしていただけると助かりまぁすッ!! 

 

 

 とりま、すぐそこにある危機はなんとか凌いだ。このまま今後の予定に頭を悩ませつつもゆっくりと休んで──いたいけど戦闘音がまだまだ聞こえてくるのがまたよぉ~。

 俺もう助けにいかなくてもよくなぁい? けっこう頑張ったほうだと思うよ? 少なくともこの場にいた巫女たちに関しては半数は無事なんだしさ、このまま力尽きたフリして倒れちゃおうかなぁ~。

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