メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

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ベビー/フェイス:8

 こういうのはまずホムスビちゃんに確認しよう! 異能の取り扱いについての決まりごとを俺は知らないからな、ここは優秀な副官に助言をもらおうじゃないか。

 

「すいません、よくわかりません」

 

 急にロボットだかAIみたいなこと言い出したぞこの人造超力兵。

 

「まず前提として、わたくしたちオルギア式人造超力兵は異能が使えるように製造されています。なので“何故異能を使えるのか”という質問に対しては“そのように製造されたから”としか答えようがありません。

 そして、人間が異能を使えるようになる条件についてですが、わたくしは一切の情報を所持していませんので予測することすらできません。機密漏洩の監視項目に軍内部での異能の情報提供及び共有は含まれていませんので、少尉殿が候補生へアドバイスをなさることに問題はないはずですが」

 

 へー、ざっくりしてんねぇ? 

 

 なんか言ってる内容に対してまともなようで違和感バリバリっていう謎の感覚があって少し気味が悪いが、頭の悪い俺には関係ない話だな! 

 考えることが多すぎると脳ミソのキャパシティ限界越えてストレスでブッ倒れるかもしれないし、直ちに生死に直結しないような情報処理なんて後回しで上等だろぉ? 優先順位を明確にする能力は社会人には必須なんだぜ。

 

 

 で……アドバイスか。俺とコレオ伍長は論外なので、ここはテッセン曹長にお願いしよう。

 

「お任せください少尉殿、と言いたいところではありますが。──おい貴様、異能についてアドバイスをしてやるのは構わんがな、それはいったい誰が教えて欲しいと言ってるんだ?」

 

「え? あの、ですからコウタロウが……」

 

「本人がそう言っているというのなら、そのコウタロウ戦闘員候補生が少尉殿のもとへ来て頭を下げ教えを乞うべきだろう。違うか?」

 

「それ、は……」

 

「貴様の独断だな? 自分で頼みごとすらも出来ない意気地の無いヤツもたまに見掛けるが、アレはそういうタイプには見えなかったからな。

 悩む仲間のためになにかをしてやりたい、その気持ちまでは否定せん。だが本人の意思を無視して勝手に先走るのは決して褒められたモノではないぞ?」

 

「申し訳……ありません、でした。少し、頭を冷やしてから本人と話してきます……」

 

「うむ、それがいい。まずはしっかり身体を休めて、それからチームでちゃんと話し合え。その上で異能についてアドバイスが欲しいとなれば面倒を見てやる。貴様ら新兵を鍛えてやるのも曹長の仕事だからなッ!」

 

「あ……はいッ! そのときは、ありがたくお世話になりますッ! 今日は失礼しましたッ!」

 

 

 

 

 はぇ~。なんとも鮮やかなお手並みで帰したものですなぁ~。そういえばテッセン曹長、俺の案内役を押し付けられる前は指導役やってたんだっけ。

 

「Cクラス出身の志願兵にも似たような拗らせ方をする者がおりましたからな。ようやく初陣を迎えたばかりのひよっこだという自覚が足りず、自分より上手に戦える者と比べて落ち込む者が。

 自分などは穴堀りが性に合わなくて志願した口ですが、化け物と戦い平和を守り国家に貢献するという憧れで銃を手にした者であれば避けられん悩みでしょう」

 

「……あぁ、そういうことですか」

 

「副官殿? どうかなされましたか?」

 

「ソーマの危険性を周知しているにも関わらず、ソーマを摂取したことによる死亡事故が減らない理由に納得していたところです。

 なるほど、自身の戦闘能力に不満のある兵士が能力強化や異能の獲得を期待して飲んでしまうのですね。死を恐れず帝国の守護者として誇れる軍人たらんとする精神は結構なことですが……手放しで褒めるには損失が大きすぎるのはいただけません」

 

 逆に死を恐れた結果、MAG結晶体を食いまくって悪魔と契約するまでこぎ着けたヤツがここにいるんですけどね。

 そのせいで正しい異能の目覚め方を知らず会話のどこに地雷があるのか常にビビる羽目になってるんですけどね。

 

 

「あのー、副官さん。そんなにソーマを勝手に飲んじゃうことが問題なんですか?」

 

「そうですよ伍長。なにか改善策でも思い付きましたか?」

 

「改善策っていうか、それって回収した資源を勝手に使っちゃうワケですよね? 罰則とかはないんですか?

 無事にパワーアップできたとしても厳しい罰が与えられるってなれば、飲もうとする人も減るんじゃないかな~って」

 

「……罰則は、特に定められていませんね」

 

「まぁ、ひよっこどもが初任務で運ぶワケですからな。下手に罰則など定めようものなら教育どころではなくなるのでしょう。タタラの採掘基地でもMAG結晶体を破損した場合についての決まり事はありませんでしたからな。

 もっとも、死者が出るほどの被害が出ている時点で教育だなんだなどと言っている場合ではないと思いますが。命令に従い死ぬのも兵隊の仕事ではありますが、もう少し有意義に命を使って欲しいものです」

 

 そういえばノルマは決まっていたけれど、MAG結晶体を壊した場合のペナルティとかは説明されたことないな。単に確認する方法が無いってだけかもしれんけど。

 んー。たぶん、わざとかな? 異能に目覚めるためにMAG結晶体の、あるいはソーマの影響が必要なのは確実だろうし。B民の新人教育もD民みたいに戦力の強化を期待して──それならちゃんと訓練で教えたほうが効率的じゃん。

 

 

 うん、わがんねッ! 別にどうでもいいか~俺はもう異能に目覚めて~は~いないけど仲魔に恵まれてるしぃ~? シキガミとやらに興味がないワケじゃないけど、ピクシーさんに嫌われるほうが死ねるので当然の権利のように却下です。

 まぁ気分的にあまり関わりたくない要素でもあるけど。そりゃスキルの都合で好き勝手に合体させたり、交渉で宝石を持ち逃げしようとしたヤツを過剰火力でオーバーキルしたりはするけどさ、改造して傀儡人形にするのは別問題だよ。

 

 悪魔を殺すのは平気だけど、オモチャにするのはダメですッ! 自分で言っててなんだけど、ワケわかんねぇ理屈だな? 

 つまりはこういうことか。この世に悪があるとすれば、それは人の心だ……と。いやまぁ、それぞれが正義を掲げて殺し合いするのがメガテン世界の日常なんですけどね。

 

 

 さ、余計なこと考えないで今日はもう早く寝るべ! 明日の帰り道が平穏無事である保証なんてないからなッ! 

 

 でも外から爆発音が聞こえてきたから寝れないね! 明日の帰り道どころか現在進行形でトラブってるなッ!?

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