メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

63 / 129
ベビー/フェイス:6

「て、敵襲ッ!? 敵襲ッ!!」

 

 そうだね敵襲だね、そんなん見りゃわかるんだから次の指示を出すんだよ。あくしろよ~? テッセン曹長が怒鳴りたくてソワソワしてんでしょうが。

 動揺してないのはユウコ女史ぐらいか。待ちに待ったヨモツイクサとの戦闘が嬉しくてテンション上がってるっぽいな。それは別に構わないけど、お前も敵の接近には気付いてなかったんだなぁ。

 

 こう、イメージ的にね? 巫女さんはそういう気配とかをいち早く察知して伝える役目だと思っちゃうじゃん。

 それを聞いた軍人がビビり過ぎだろガハハハハとか笑って台無しにするとかテンプレだし。今日はどっちも仲良くポンコツだったかぁ~。

 

 

 しゃあないの~。ホムスビちゃん火炎の異能って範囲攻撃できる? 丁型の酔っ払いがデッサンしたおサルさんみたいなヨモツイクサは余裕で焼き払えるですって? それはなにより。

 正面は俺が引き付けておくから、ホムスビちゃんとコレオ伍長にはサイドから来てるヤツらを適当に処理してもらって~、テッセン曹長はソーマ源泉の近くで混乱したひよっこがバカやらないように見張ってて。

 

 これは新兵どもの経験が最優先されるものであ~る。小隊、頑張り過ぎないように注意すること。よござんすね? 

 

「了解であります、少尉殿!」

「了解でーすッ!」

「了解しました、少尉殿」

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 コレオ伍長のマハブフによる範囲氷結と、ホムスビちゃんの推定マハラギによる範囲火炎で、最初に飛び出してきたヨモツイクサはそこそこ削ることに成功した……のだが。

 ひよっこどもがうるせぇのなんの。戦えてはいるみたいだが、あれではまるで烏合の衆そのものだよ。やはり緊張感が途切れてたのがそうとう効いてるな。

 

 弾丸を撃って当てれば倒せる相手だと理解すれば少しは落ち着くかな? それまでは流れ弾にも警戒したほうがよさそうだ。

 

 

 で、おサルさんの群れにチラホラ混ざってるゴリラみたいなのが丙型か。事前に資料は渡されていたが、顔みたいなパーツが全身にあったり腕が5本も生えてたり触手がウネウネしてたりとバラエティー豊かだなぁオイ。

 毎度のことではあるけどさぁ、たまにはゲームみたいに同じ見た目で同じ能力のザコ敵ABCみたいなご都合主義展開とか少しぐらいあっても許されると思うんだよ俺は。毎回こう微妙に個体差があるから結局いつもノーミス初見突破を要求されるんだもの。

 

 警戒することも多いよ~? 自爆はもちろん、触ると毒とか、触ると麻痺とか、触るとウホッ! とか化け物との戦いは常に危険と隣り合わせなんだよ。

 

 だからできればユウコ女史にも素直に後ろに下がってて欲しかったんですけどね。護衛部隊の連中は引き留めもせずになにをやってるんだッ!

 ……うわぁうわぁ叫びながらマシンピストル撃ちまくってたわ。初動ちょこっと抑えてやったんだからさ、気持ち程度でもいいからいい加減に落ち着いてくんねぇかなぁ。

 

 

「そんなイヤそうな顔するなよ特務少尉殿。それにシキガミの戦い方を見せてやるって言ったろ? 別に複雑な準備が必要なワケじゃねぇ、この純度の高いMAG結晶体を加工して作った銃弾を頭に撃ち込むだけの簡単な作業だからよ。──出番だぜェッ! 『コロウマル』ッ!!」

 

 アレは……バイオニック・ポチッ!? 

(初代メタルマックス並感)

 

 巫女さんが使役するシキガミという和風奇譚シチュエーションに反して、あの絶妙な生身の狼具合と装甲部分を走る光の筋によるサイバー感。これはなかなか男の子心をくすぐる見た目である。

 ビジュアル的には俺はかなり好きなほうだけど、ピクシーさん的には実物を見てどうなのか気になるところ。キリノハの巫女さんに対してはなにやら不穏な感想を述べていたワケだが。

 

 

(キモい)

 

 火の玉ストレート豪速球ッ!? 

 

 

(同じなの。アレ、アタシたちと同じアクマなの。でも中身はカラッポで、イロイロなモノがゴチャゴチャに混ぜられてて、でも気色悪いMAGで満たされてて人形みたいなのをあのニンゲンが操作してて……。

 ひと言でまとめるならキモい。あと見ててイライラする。一応、アンタにとっては味方みたいだからガマンするけど、まだまだ不満も言いたいこともたくさんあるからね?)

 

 

 えーと? 

 

 シキガミの正体は悪魔で? 

 

 でも中身は無くて? 

 

 それでごちゃ混ぜ……改造されてる? 

 

 んで。

 

 MAGのようでMAGじゃないモノで動いてるのを、巫女のユウコ女史が操っているとな? 

 

 

 ピクシーさんがもの凄く嫌そうに悪魔認定しているが、ホムスビちゃんがバーサーカーモードに変化する様子は無し。むしろ変化したら困るというか、これで変化したら悪魔送還プログラムを作成したヤツがアホ過ぎるというか。

 それとも順序が逆だったりするのかな。悪魔送還プログラムに反応しないように、悪魔を利用するために開発されたのがシキガミなのかもしれん。メガテニスト感覚で考えるなら、人間なんて生き物は悪魔を利用するために捕獲して改造するぐらいのことを平気でやるでしょ。

 

 しかしそうなると、ピクシーさんがル号採掘基地の地下から感じ取った不快感の正体は、人間が悪魔を捕まえて実験を行っていた名残のようなものってことに──あれ? テッセン曹長が話してくれたウワサ話では天使兵に関するトラブルって……それに、あの合体悪魔に変身した子どもが意味深な単語をなにか口にしていたような……。

 

 

 …………。

 

 

 さぁッ! ソーマも確保したことだしッ! 包囲してきたヨモツイクサをサクッと倒してひよっこたちを野営地まで送り届けてやるとするかぁッ! 

 これは任務でお仕事で、俺の役目は護衛だからな~。巫女さんたちも無事に帰さなきゃいけないし、余計なことを考えてる暇なんてないな~残念だなぁ~ッ!!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。