メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

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ベビー/フェイス:2

 輸送トラック、野営地、登山って感じで……フィニッシュです。いや違うよ? いまから始まるんだよ、新人だらけの輸送部隊の護衛任務が。

 

 そんなわざわざ新人だけで編成しなくてもいいのに。とまぁ疑問だったけど、理由を聞いたら一応納得できる説明をしてもらえました。

 適度に危険で事故が起きたときにすぐ対応できるという条件が揃っているのが、この山登りソーマ回収任務なんだそうな。

 

「どれだけ厳しい条件を設定しても、訓練だけでは簡単に成長が停滞してしまいます。だからといって、未踏地域との境界線に候補生を送り込むワケにはいきません。

 もちろん貴重な資源であるソーマの輸送を新人だけに任せるような無責任なことはしませんよ? 前線に近いポイントではちゃんとベテランの戦闘員と輸送隊が回収任務に従事しています」

 

 いやいやホムスビちゃん、だからって……なぁ? 輸送部隊は少尉候補生が率いる戦闘員候補生、護衛部隊は経験の浅い少尉と一等・二等戦闘員。いくら経験値を稼がせてやりたいからって、これヨモツイクサの襲撃が起きたらヤバくない? 

 

「たしかに、これではアクシデントが起きたときの対応に不安がありますなぁ。Dクラス帝国市民のように早い時期から専門的な訓練を行えばもう少し安心できるのですが」

 

「いや~、でも私たち最初は単独で戦わなきゃいけないんですよ? お仕事終わりのお買い物のときに偶然仲良くなった子が、次の日にはその辺で死んじゃってたりとか普通にありますからね?」

 

 コレオ伍長わりとエグい話してるはずなんだけど、ホムスビちゃんはもちろんテッセン曹長も当たり前のように受け入れてるなぁ……。

 たぶん、なるべく助けてやりたいとは思っているけれど、それはそれとして任務で死ぬこと自体は“そういうもの”として受け入れてるのだろう。

 

 いや、違うか。受け入れるもなにも、それこそがこの世界では当たり前の常識なんだよな。これが教育の力なんだなぁ。

 というか軍隊っていう特殊な環境ならではの常識なのかも。いや特殊もなにも異世界なんだってば。も~、俺ってばうっかりさん☆

 

 

 で……。

 

 

「あのッ! 先日は生意気なことを言って申し訳ありませんでしたッ! 今日はよろしくお願いしますッ! 俺は……じゃなかった、自分はコウタロウ戦闘員候補生と言いますッ! 苗字はありますが、まだ名乗りを許されていませんッ! よろしくお願いしますッ!」

 

 そんな2回も勢いよく頭下げてお願いしなくても大丈夫だよ。命令だからね。なるべく主要人物っぽいヤツには関わりたくないって俺の気持ちなんて、肉じゃがの小鉢に紛れ込んだパセリぐらいどうでもいい事柄だからね。

 

 この状況、なんとか前向きに考えてみよう。コウタロウ候補生は俺が責めたワケでもないのに自分の行いを自主的に反省していて、特に反抗的な雰囲気は見られない。

 おそらく性格そのものは真面目であり、属性で分類するなら善人であるLight側。階級が上の相手に意見することを悪いこととして認識している辺りは秩序を重視するLaw側にカテゴリーされるだろう。

 

 うむ。集団行動をするぶんには不安は少ないんじゃないかな? なんならウチのコレオ伍長のほうが普段のチームワークに問題があるかもしれん。

 

 なんだよ~。無意味に不安かもとか考えてたけど、わりと余裕のある案件なんじゃね? 今回の任務。資源の回収でしょ? ヨモツイクサの討伐は関係ないんだから、ソーマさえゲットしたら戦う必要さえないんだぜ? 

 だからきっと、大丈夫。気になる少尉候補生がどこからどう見ても巫女装束の女の子にしか見えなくても、メガテン世界でオカルトを担当するキャラが登場したときは確実と言っていいほどクッソ面倒な悪魔絡みのトラブルが起きる予感しかしなくても、ね♪ 

 

 

 

 

 

 

 この世界は本当に本当にほんとぉ~~に俺に対する厳しさが腐ってやがるなッ!? バカじゃねぇのッ!? そんなんお前、お前なァッ!! メガテンシリーズにしろペルソナシリーズにしろ、なんならソウルハッカーズやライドウ系をプレイしたことがあるヤツでもいいけどなぁッ!! わかるか俺の気持ちがッ!! こんなんお前、突然現れた巫女装束の女の子とかッ!! こんな、こんな露骨にオカルト界隈の住人みたいなのが干渉してきて安心なんて出来るワケねぇだろォォォォォォォォッ!!!! 

 

 

 

 

 

 

 さ、気持ち切り替えていこう。逆にね、トラブル発生率が200パーセント超え確定したと思えば心構えもできるってもんよ。

 なんなら周囲を見渡せばほかにも巫女ちゃんが何人かいるみたいだし。新人たちや俺の部下ふたりはともかく、野営地のベテランっぽい陸軍の人たちまで不思議そうにしてる姿には不安しかないが。

 

 

「お初にお目にかかります。私は日本帝国魔導院から派遣されました『キリノハ シズル』と申します。若輩者ではありますが、少尉候補生として、そして日本帝国が誇る異能のエキスパート『八葉』の末席に名を置くものとして、恥じることのない成果を得られるよう微力を尽くしたいと思います。どうか、よろしくお願い致します」

 

 こりゃご丁寧にどうも。ちなみに俺は護衛を担当する部外者で、キミが一緒にチームを組むのは向こうにいる輸送部隊の戦闘員候補生の3人だから。

 

「……まぁ、そうでしたか。それは失礼しました。実は、私たち八葉に名を連ねる者たちは『シキガミ』という特殊な異能を使いお役目に当たるのですが、あなた様から少しだけ一族に近しいモノを感じたものでしたから、つい」

 

 

 ピクシーさぁぁぁんッ!? 

 

(アタシのことは見えてないみたいだけど、たぶん“いる”のは感じてるんだと思う。MAGの動きとか、なんか気配とかそういうヤツがわかるタイプなんじゃない? 

 ただ、このニンゲンが言ってるシキガミっていうのがアタシたちみたいなアクマと同じなのかはわかんない。わかんないんだけど……う~~~~ん)

 

 なになに? なんか気になることがあるなら言うだけ言ってみ? どんな些細なことでも意外なヒントに繋がったり繋がらなかったりするからさ。

 

(この感じ、どこかで──あ、そうだ! まえに地面の下にいたときの、おっきな建物! アレの下のほうから感じてたイヤな気配に似てるかもッ!)

 

 

 は~いトラブル発生率に追加で150パーセント入りま~ッす☆

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