メガテニストはディストピアでもヘコたれない。 作:はめるん用
モダンな街並み、キョロキョロしたい。したくない? だって前世でもアニメかドラマぐらいでしか知らない世界だよ? 気になるに決まってるじゃないの。
もちろん我慢しますとも、ええ。だって俺は特務少尉だから。部下のふたりはともかく、俺まで田舎者丸出しムーヴするワケにはいかんでしょ。
なんなら俺のほうこそ市民たちに見られまくってたけどね。軍人の立場が強いことがD民出身の俺にもよくわかる、何台かのジープで大通りを移動しているときに市民の誰もが作業を中断して頭を下げていたあの光景は正直不気味でしょうがなかった。
どういう感情で見られているのかさっぱりわからんのが、思いの外ストレスに感じて自分でも驚いたわ。化け物ばっかに包囲されることが多かったせいで神経質になってんのかねぇ?
一応、ピクシーさんたちには意識の海で待機してもらっているが……。過剰に警戒し過ぎか? いや、これぐらいで丁度良いはずだ。
我ながら情けない話ではあるが、ビビりで小心者のクセに注意力がイマイチだからな。気を付けられるときは、しっかりと身構えるぐらいしないと。
◇◆◇◆
「テッセン曹長。貴方は軍歴は充分に頼もしいようですが、地上での作戦行動に関しては今回が初めてですね? 必要になりそうな資料をまとめておいたので最大限速やかに頭に叩き込むように。
もちろん私と貴方では立場が違い視点が違いますので、不足しているモノがあれば記録管理課に請求して下さい」
「了解であります! 少佐殿ッ!」
「T0811伍長。貴女のCクラス帝国市民権の申請は済ませてありますので、なるべく早めに名前を考えておくように。使用が禁じられている名前もありますが、該当する場合はちゃんと注意するのでまずは自由に考えてみて下さい。
あとは、そうですね……惑星ニニギでは基本的にBクラス帝国市民が活動していますので、Dクラス出身ということで肩身の狭い思いをすることもあるかもしれません。なるべく無視するか穏便な対応を心掛けて下さい」
「了解でーすッ!」
「……まぁ、いいでしょう。タキオ二等情報官、ふたりを部屋まで案内するように」
「ハッ! それではテッセン曹長殿、T0811伍長殿、自分が先導しお部屋までご案内させていただきますッ!」
嗚呼、頼れる部下たちが部屋から退出してしまった。もうね? 俺だけ残されたってだけで厄介事の臭いしかしねぇンだわ。まとめてサラサラ~っと指示出して欲しかったですねぇッ!
「さて、まずは副官の補充からですね。どうやら貴方はアラヤン式の損失に責任を感じているようですが、そのことで遠慮する必要はありません。
戦闘による功績で昇進した者について、通常の教育を省く代わりに副官を配置するのは権利として認められているからです。下手に机に座らせておくよりヨモツイクサと戦闘させたほうが活躍が見込める、という判断ですね」
特にD民上がりにはそういう配慮を欠かさないようにと軍規にも書いてあるし、なんなら違反した上官は厳罰の対象となるときたか。
助かるっちゃあ助かるが、あんまり嬉しくない配慮でもあるかな。常に監視役が付いて回るとなればMAGモグモグでレベル上げするのも苦労しそう、なんてのはいまさらだが……カネサダちゃんのアレを考えると新しい悪魔と契約して仲魔を増やすのは命がけってレベルじゃねぇな?
ま、普通に考えればただの人間が悪魔と交渉しようってだけでリスクが半端ねぇワケですが。そこはホラ、生きるために限られたチャンスを掴もうっていうフロンティアスピリッツですよ。使い方ちと違うか。
「初めまして、F8492特務少尉殿。わたくしはオルギア式人造超力兵『ホムスビ』と申します。平時は主に各種手続きなどの事務作業を、戦闘では火炎属性を中心とした異能でお手伝いをさせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします」
「異能戦闘を得意とするオルギア式は格闘戦に秀でたアラヤン式とは運用方法が異なりますが、貴方であればそれほど問題にはならないでしょう。戦闘記録を確認した限りでは撤退の判断もしっかりとできるようですし、敵戦力撃破だけに拘らない柔軟な指揮を期待します」
やはり美少女か。俺も男だ、女の子は嫌いじゃないし大好きです。でも猫も杓子も美少女で揃えたがるほど若くねぇンだわ。肉体はともかく精神のほうが。
ペルソナ3でもハム子こと女主人公だとサポートキャラの性別を自由に選べたけど、キタローこと男主人公だとサポートキャラが女性のエリザベスに固定されたのには不満でしたわよ。テオドアくんと牛丼食べたりラーメン食べたりして男同士の気安い友情イベント欲しかったわよッ!
あと単純にこの子にも……なんだっけ、悪魔送還プログラムだっけ? アレ搭載されてるのか気になるよね。
カネサダちゃんも合体悪魔と遭遇するまではピクシーさんたちのことは見えてなかったから、なにかしらのトリガーが発動するまでは大丈夫だと思いたいが。
「さて、F8492特務少尉。肝心の任務についてですが、とある資源の輸送任務に海軍からの観戦武官として──あぁ、そうでした。えぇと、簡単に説明すると陸軍とヨモツイクサとの戦闘を見学にきた海軍の特務少尉という建前で同行してもらいます。
もちろん本命は見学などではありません。貴方には緊急時の輸送部隊の護衛と、小隊長を務める少尉候補生たちが使い物になるかどうかの評価をお願いします。とはいえ、難しく考える必要はありません。共闘できるか、部下に迎えたいか、貴方の主観で評価してもらって結構です」
それちゃんと尉官としての教育を受けてない俺に頼む仕事じゃなくない?