メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

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 うーん、特務少尉と特務少尉で特務少尉がダブってしまったな。そうか、この世界はDクラス帝国市民ってだけで充分なんだな! 

 

 いや、あの、ナツミ少佐殿? さすがに二足のわらじは自分には荷が重いと申しますか──え? 給料は陸海の両方から支払われるですって? く……ッ!? なんて魅力的な特典を……ッ!! 

 いや真面目な話、給料が増えるとそのぶん獲得したMAG結晶体をレベルアップに使えるんよ。4体目の仲魔と契約したいってのもあるし、二体同時召喚とかもできるようになりたいのよ。

 

 悩ましい。実に悩ましい。処罰と言いながら陸軍視点では実質的に昇進していることに大尉殿が顔を真っ赤にしてナツミ少佐に意見の申し立てをしていることなんてどうでもいいぐらい悩ましい。

 

 

 

 

「ふざけるなッ! 陸軍の都合など知ったことかッ!! いいか、そのクズは俺に逆らったんだぞッ!? Aクラス帝国市民であるこの俺にだッ!! 

 しかも少尉の分際で大尉である俺の! 上官である俺の顔を殴ったんだぞッ! 父親にだって殴られたことがない俺の顔をだッ!!」

 

 

 

 

 もしかしていまAクラス帝国市民って言った? ウソでしょ、こんなんが日本帝国の上澄みとか許されると思ってんの? デブ大尉お前ディストピア世界なめとんのか。

 あと腹の脂で軍服が押し上げられてる中年が親父にもぶたれたこと無いとか吠えてる姿はなんというか……本当に、よくこんなヤツが大尉なんて責任ある立場になれたな。Aクラス帝国市民は無条件で大尉からスタートみたいな制度でもあるのかねぇ? 

 

 

「貴方は自分が日本帝国陸軍の大尉として不適切な発言をしているという自覚がありますか? 我々が優先すべきは個人の都合などではなく軍の決定、そして日本帝国の国益のみです。

 しかし、そうですね。規律や秩序があってこその組織運営ですから、F8492特務少尉が貴方の顔を殴ったということに関しては事実確認の後、上官である私から厳重注意をしておきましょう」

 

「厳重注意だと!? その程度で済ませられるかッ!! そいつは階級が下でッ! Dクラス上がりでッ! 人間として扱う価値すら無いゴミ同然なんだよッ! 

 それがAクラス帝国市民であるこの俺に逆らったんだッ! 不敬罪で打ち首に、いや生きたまま宇宙空間へ棄ててやるぐらいの処罰が与えられるべきだろうがッ!!」

 

 

 ナツミ少佐の表情が険しく──なってないな。完全に冷えきっていて養豚場のブタさんを見るとかいうレベルですらない。

 俺知ってるよ、このあとナツミ少佐がデブ大尉を完膚なきまでに正論でボコボコにするんでしょ? こういう場面で生まれを理由に特別扱いしろって騒ぐヤツの未来なんてだいたいボロクソに論破されるって相場が決まってるもんだ。

 

「いいか、俺の父親は陸軍の中将なんだぞ? 惑星をひとつ任されていて、何百万人という部下に命令できて、高性能の戦艦や巡洋艦も腐るほど保有してるんだッ! 

 俺は優良種たるAクラス帝国市民で、いずれ将官になる日本帝国軍のエリートなんだ……本来なら階級なんて関係なく貴様ら下級国民は全員俺に従うべきなんだ……それをッ! 中将の息子であるこの俺に少佐如きが、女の分際で偉そうにしやがってッ!!」

 

 大尉の沸点低すぎんだろ。子どもかな? いや父親が凄いから俺も偉いんだぞーって癇癪を起こしてる姿は子どもそのものだし、ハッキリ言って優良種(笑)でしかないんだが。

 

 

 

 

「女ァッ! 貴様、自分の立場を理解したのなら尋問をやり直せッ! 俺が満足できるような処罰をこのクズに与えるのが貴様の役目──ピギャアッ!?」

 

 

 

 

 わーお。ナツミ少佐が反論を始めてザマァwwが始まるのをワクワクして待っていたら、スッと銃を構えて問答無用で大尉の腹に発砲したでござる。

 

「……おや? あぁ、そういうことですか」

 

「き、き、貴様ァ……こ、こ、こんな、こんなことをして、エリートである、この、俺に──ギャァッ!?」

 

「1度も戦闘記録の無い貴方がどういう意図で耐物理コートなど着込んでいたのかは知りませんが、その様子だと効果を正しく理解していなかったようですね」

 

「ゲハッ、ゴホッ! な、何故、だぁ……俺が、使って、いるの、は……最新の、高性能のモノなん、だ、ぞ──ヒギィッ!?」

 

「各種コート類は着用者のMAGに反応して効果を発揮する装備です。もちろん貴方のような無能が装備しても短銃の弾丸が貫通するのを防ぐ程度には頑丈ですが、衝撃までは防ぐことはできませんよ」

 

「ま、待て──」

 

 誰も、なにも、反応しない。そりゃそうだ、大尉が床に転がって悶えているのもお構い無しに淡々と銃弾を腹へ向けて撃ち続けているナツミ少佐の姿を見てお気楽に騒げるヤツいたら勇気と度胸のパラメーター上限を振りきってるだろ。

 そういえば前世でも聞いたことあるな、防弾チョッキを着てても撃たれれば普通に肋骨とか折れるみたいな話。おいたわしや大尉殿、最早呻き声をあげる余裕すらなくなってきたようで。これがホントの弾丸論破ってか? 

 

 

「さて。そこの貴方たち、大尉を医務室まで運んでおいてください。……どうしました? 貴方たちはこの大尉に特別目をかけてもらっているのでしょう? 敬愛する上官が負傷したのです、こういうときに率先して動かなくてどうしますか」

 

 大尉殿の取り巻き連中、すっかりビビってんねぇ! そうだね、お前たちのことは好きじゃないけど気持ちはわかるよ。

 

「それともうひとつ。早ければ10日ほどで迎えが来て大尉は陸軍本部のある惑星『フツヌシ』に異動することになりますが、そのときは貴方たちにも同行してもらうことになるそうです。

 理由については私も知らされていません。詳しいことは当日、担当者に確認して下さい。おめでとうございます、もしかしたら栄転かもしれませんよ? 連帯責任という言葉もあることですし、新しい職場でも変わらず大尉を支えてあげて下さい」

 

 コレ絶対に栄転じゃねぇッ!?

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