メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

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「失礼ながら少佐殿、偵察任務程度の役目すら満足に果たせない無能者に乙型ヨモツイクサの討伐など到底不可能ではないかと。

 とはいえ、海軍の記録に誤りがあるとは思えません。となれば……このクズが、他人の功績を我が物として吹聴した恥知らずの卑怯者である可能性が高いかと」

 

 ナイスフォローですぞ大尉殿ォォォォッ! はい、その通りですッ! いやこれに関してはマジで大尉殿のお言葉がまるっと真実だから。ホノカとマモルがいなかったら、俺ひとりだったら確実に死んでたから。

 と、いうワケであります少佐殿。乙型ヨモツイクサとの戦闘で生き残ることができたのは、頼れる仲間と幸運に恵まれた結果であります! 

 

 あとついでに言うなら、カネサダちゃんを失ったときは多数の大型ヨモツイクサに包囲されてた……ということにしておこう。これだってウソじゃないよねぇ? 直後に少年が変身するための素材にされたってだけで。

 

 フハハハハッ! ありがとう……本当にそれしか言葉が見付からない……。なんかナツミ少佐が大尉殿のことを「この役立たず余計なこと言いやがって」みたいなこと考えてそうな顔で見てるが知ったこっちゃねぇ! 

 無能な味方は敵も同然みたいな言葉を聞いたことがあるが、つまり無能な敵は味方も同然ってことだな! 大尉殿のことはいつか顔面を陥没させてやろうと思っていたけど、恩義ができたことだし前歯全損ぐらいで勘弁して差し上げることにしよう。

 

 

「……わかりました。報告内容に不備は無く、F8492特務少尉は今回の件に関して自らの責任を認めたことを、日本帝国陸軍兵站部所属・ナツミ少佐が確認を完了しました。

 今後F8492特務少尉に下される処罰については、陸軍が被った損失のみで判断するのではなく、本人が帝国軍人として模範的態度であったことを加味して決定されます。以上」

 

 乗り切った……のか? いや、まだわからんぞ。優秀なインテリなら事が済んだと見せかけて油断したところに本命の矢を放ってくる、ぐらいの芸当はサラッとやってくるだろう。

 とりあえず余計なことは一切喋らずイエスマンに徹した部分は評価してくれるようだし、さすがに銃殺刑とかまでにはならない……よな? もしそんな雰囲気が漂ってくるようなら迷わず脱走キメるからな俺は。

 

「さて、ここからはF8492特務少尉の処罰に関する話になります。結論から言ってしまえば、少尉にはこれまで通り国家貢献の義務としてヨモツイクサと戦いMAG結晶体を回収する作業に従事してもらいます」

 

「なッ!? 少佐殿、それでは罰則の意味が──」

 

「静かに、大尉。ですがその前に、少尉には上官であるイミナ中佐殿にアラヤン式人造超力兵カネサダの損失について報告をしてもらいます。

 借りた物を壊してしまったことを、貸してくれた人に謝罪する。ただそれだけのことです、なにも難しいことなどありません。

 小言のひとつやふたつはあるかもしれませんが、大袈裟に身構える必要はないでしょう。道具とは使うもの、そして使えばいつかは壊れるもの。その程度の道理は半魚人どもも理解しているでしょうし、イミナ中佐殿もきっと寛大なお心で許して下さるはずです」

 

 半魚人て。録音を止めた途端にいきなりブッ込まないで欲しいんですが。

 

「問題は海軍所有の人造超力兵が、陸軍の命令による作戦行動中に損失したという部分です。当たり前の話ですが、貴方は正規の手続きでこの採掘基地に派遣され指揮下に組み込まれていますので、上からの命令には従わなければなりません。

 しかしその結果として、貴方が本来果たさなければならなかった海軍からの特殊任務とやらが実行できなくなった……となれば話は別です。いくら貴方が自身に責任があると認めたところで、我々陸軍としても知らぬ存ぜぬというワケにはいかないのですよ」

 

 そう、なのか? いやぁ、その辺りの責任問題というか派閥同士のメンツとかは全然わかってないからサッパリだわ。

 

「金銭的な問題としてだけ考えるのであれば、人造超力兵1体を弁償する程度のことです。陸軍全体の予算から見れば雀の涙ほどの損失でしかありません。

 しかし、海軍に惑星での軍事行動へ介入する口実を与えてしまったのはいただけない。わかりますか? 特別警戒対象を退けた特務少尉が人造超力兵を失うとは何事があったのか、是非とも調査をさせてもらおう……などと、堂々と乗り込まれては困るのです」

 

 それはどっちの意味でなんだ~い? いわゆる陸軍と海軍のメンツ争い的な意味なのか、それとも廃棄されたル号採掘基地に海軍がゾロゾロとやってきてあ~んなモノやこ~んなモノを発見されたら困る的な意味なのか。

 後者であれば『悪魔の力を利用している陸軍』と『悪魔の力を排除したい海軍』なんて構図もあり得るかも。実は俺はカモフラージュで、自然な形でデビルバスターカネサダちゃんをここに派遣したかったとか。

 

 いや、さすがにそんな危険な話題を不特定多数が聞いてる食堂ではしないか。しないよな? バレなきゃ別にいいでしょみたいな綱渡りトーク聞かされてるとかないよな? ヤベェ、案の定いつものように変な汗出てきた。

 

 

「まぁ、その辺りの厄介事を片付けるのは高級将校の皆様にお任せしておけば大丈夫でしょう。貴方には、我々陸軍が有利に交渉を進めるための下地作りをしてもらいます」

 

 ニコッ♪ と微笑むナツミ少佐。実年齢は知らないが見た目は美少女なので愛嬌たっぷりだね! それを正面から見ている俺は恐慌げっそりだが。

 

「貴方には今後しばらくの間、私の指揮下で活動してもらいます。もちろん、F8492帝国()()()()()()として。おめでとうございます、陸軍と海軍から同時に尉官を与えられている帝国軍人などそういませんよ?

 日本帝国陸軍兵站部は貴方の能力を高く評価しています。特別警戒対象との戦闘のみならず、人造超力兵が未帰還となるほどの状況下でも部下を連れ帰ったその能力、是非とも存分に発揮して下さいね」

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