メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

49 / 129
プロモーション:2

 前に助けたD民に同情的な視線を向けられたり。

 

 俺のことを嫌っているらしき軍人たちにヒソヒソと笑われたり。

 

 逆に俺のことを認めてくれている軍人たちには差し入れをもらいつつ。

 

 そしてすっかり忘れていたヒーホーちゃん大好きな過保護少女に睨まれたりしながら生活すること1週間ほど。

 

 おそらくは偵察任務の失敗に関係することだろう、陸軍の偉い人に食堂へ呼び出された俺。

 なんで食堂? こういう尋問とかって専用の部屋とかでやるんじゃないの? しかも見学自由とか機密はどうなってんだ機密はッ!! 

 

 

「録音を開始せよ」

 

「ハッ! 録音、開始ッ!」

 

「よろしい。それではこれより、F8492特務少尉の威力偵察任務中の行動についての質疑応答を始めたいと思います。担当するのは私、日本帝国陸軍兵站部所属・ナツミ少佐であります。

 なお、この質疑応答が決して不当なものではない……ということを示すために不特定多数の見学を許可しています。

 多少の雑音も正当性の証明です。それらが消されていた場合、この音声データの証拠能力は何者かの手により失われたものとして扱って下さい」

 

 いきなり不安になる念押しをしてんねぇ!

 

 そしてこの美少女と呼んでも差し支えのない若い見た目の女性軍人・ナツミ少佐とやらが、いまから俺を質問責めにして吊し上げる処刑人か。

 好きな人には刺さりそうなクールビューティーって感じかな? しかも黒髪ロングで清楚な雰囲気に軍服の厳ついシルエットだぜ?

 

 先入観というか、前世の知識からくるイメージの話ではあるが、この手のキャラはだいたい切れ者で有能なんだよね~。

 加えて、この世界がディストピア系だっていう前提で考えると俺にとっては嬉しくない方向で有能な可能性が特大だと思います。主にしたっぱを中心に人の命が軽々しく扱われるような軍事機密をたくさん知ってそうって意味で。

 

 

 ナツミ少佐が俺の罪状をサラサラっと読み上げる。

 

 内容は概ね想像通り。ル号採掘基地近辺にたどり着いたものの、ヨモツイクサの襲撃に遭い尻尾を巻いて逃げてきたことにされていた。

 カネサダちゃんは俺が逃げるために足どめを指示、囮として破壊されている隙に拠点まで逃げてきたのだ……と。

 

 うーむ? 俺の失態を捏造したつもりになって楽しそうにしている大尉殿には悪いけど、コレそこまで事実と違ってねぇんだわ。

 むしろ悪魔の存在と──なんだっけ、なんかこう、もうひとつぐらいヤバそうな情報を手に入れたような気がするんだが。とにかく、そうした話したくない内容を丁寧にカットしてくれた素晴らしい編集なんだわ。

 

 

「それではF8492特務少尉に確認します。これらの報告内容について、訂正する部分はありますか?」

 

 はい、いいえ少佐殿! その報告内容は間違いなく事実であり、自分が訂正すべき箇所は一文たりとも存在しませんッ!

 

 

 ……いや、少佐殿? なしてそこでアナタがビックリしてんですか。認めたやん。事前に報告されてた内容は正しいものですよって、容疑者の俺が全面的に認めただけやん。

 

「F8492特務少尉、貴方には自身の行動について正当性を主張する権利があります。そこに階級や所属は関係ありません。

 旧型とはいえ人造超力兵を失う状況ともなれば尚更です。なにか、やむを得ない事情があるのでしたらきちんと説明してください」

 

 その“やむを得ない事情”こそが一番説明したらアカンっていうね。だから俺は言うよ。事前に大尉殿が報告してくれた内容に間違いはありません、って。ただ不足している情報がちょこっとあるよってだけで。

 

「繰り返しになりますがF8492特務少尉、これは貴方に一方的に決定事項を押し付ける場ではありません。報告された内容に誤りがないか確認するための時間です。

 もちろん、任務に失敗し貴重な戦力を損失した責任を言い訳することもなく潔く受け入れる、という貴方のその姿勢は帝国軍人として正しくはありますが」

 

 重ねて申し上げますナツミ少佐殿。自分から訂正すべきこと、改めて説明するような事柄はありません。

 なんで言い訳しないのかって? そんなん少しでも立場を良くしようとして余計なことを説明した結果、ますます自分の首を締める結果しか見えないからだよッ! 

 

 俺、知ってんだ。こういう知将(真)タイプの人間はどんな些細な発言からでも必要な情報にたどり着くんだってことを。

 

 

「……貴方の処分について、客観性のある判断を下すために必要であると、貴方の上官であるイミナ中佐殿からは国家貢献の記録を“快く”提供していただいています。

 それによると、貴方は乙型ヨモツイクサ等の特別警戒対象の討伐に成功しているそうですね? 少なくとも私が把握している限りでは、この五○一番タタラでそのような強力な個体と戦闘が発生したなどという記録はありません。

 事前にそこにいる大尉が報告してきた内容に誤りなど無い、と認めるのであれば……それほどの戦闘力を持つ貴方が、人造超力兵という戦力を自由に扱うことができる状況で、偵察すら満足に遂行できず逃げるしかなかった『敵』とは、いったいどれほどのモノだったのですか?」

 

 

 へ~。俺の上官殿、イミナ中佐って名前だったのね。響き的には名字かしら? 忘れずに覚えておかなきゃ☆

 

 ってかヤベえww余計なこと言わなくても順調に追い詰められてらwwちょーウケるww

 権力使って好き勝手するならさぁ~もっと根回しとかちゃんとしておいてくださいよ~大尉殿ぉ~本物の無能かテメェこのやろう。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。