メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

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VS護国阿頼耶識 兼定:1

「潔く御国の礎となることを受け入れてください少尉殿。仮に私を破壊することができたとしても、貴方が()()を使役し続けるのであれば、いずれ必ず誰かが気付くことでしょう。

 特に帝都惑星『クニヌシ』を中心に配備されているイザナミ式人造超力兵の戦闘力は私など足元にも及びません。彼女たちを相手に逃げ切ることなど不可能です。どうかこの場で……少尉殿ッ!」

 

 カネサダちゃんは至って大真面目に説得しているのだろう。ただ説得の方向性が秩序の維持に振り切ってるだけで、きっと本気で俺自身のことを心配してくれている。

 それで殺そうって発想と手段がブレないってのが実に機械的である。見た目は美少女なので脳内にてワタシヤンデレアンドロイドに変換することも……したところでピンチはピンチだったわ。

 

 ありがとうカネサダちゃん、どこまでも副官として、特務少尉である俺のために行動してくれるんだな。その気持ちには素直に感謝するよ。

 でもダ~メ。だって俺、死にたくないし。あらゆる生物に存在する最も原始的な欲求だよ、生きたいって思うことは。だから全力で抗わせてもらう。

 

 

 それに、だ。

 

 お前さんもさ、自分の上官が軸のブレブレなヤツだったら嫌じゃない? そんなヤツを命がけで守護らにゃならんのか、って。

 

 

「……了解しました少尉殿。なるほど、これが俗に言われている“贅沢な悩み”というものなのですね。私は人造超力兵としては少々恵まれ過ぎているようですね。

 駆逐対象『タイプS・使役型』を確認。システム『悪魔送還プログラム』再設定。これよりプロトコル『木枯らし』を実行します。──フッ!」

 

 やっぱ速ェッ!? 

 

 こりゃ狙いを定めてる暇なんてねぇわ。イッポンダタラッ!

 

「ウォれに、マガせどゲェッ! ヒィィィトウェェェブァッ!!」

 

 ガツンッ! とハンマーが地面に叩き付けられると同時に熱風と衝撃波が周囲に広がる。

 

 軍曹とヒーホーちゃんもちょこっとだけ巻き込んでしまうが声をかける余裕なんてなかったからしょうがないね。生き残ったらゴメンねと謝るから許して! 

 肝心のカネサダちゃんは──よし、足を止めたなッ! いくら頑丈さに自信のある人造超力兵とはいえ、怪我をしている状態で完全に姿を取り戻した悪魔を相手に突っ込むのは無謀と判断したか。

 

 こう言っちゃなんだが、イッポンダタラに比べればさっきの合体悪魔のほうがよっぽど脅威に見えると思うんだけど。

 まぁ悪魔と戦うのは初めてっぽい発言してたし、警戒するのは当然か。純粋な機械なら蓄積されたデータで対応できたのかもしれないが、思考能力に長けた人造人間であることが仇になったのかも。

 

 それならそれで情報を更新する方法なんていくらでもありそうだけどねぇ。前世の日本でさえインターネットをちょいとポチればいくらでも情報が手に入ったのに、まさか宇宙進出したこの世界でオンライン技術が衰退してるってことはあるめぇに。

 いや、むしろ逆なのかな? オンライン技術が発達しているからこそ、電子の海に迂闊に悪魔に関する知識や情報を記録するワケにはいかないのかもしれない。なにせメガテン世界は悪魔の召喚は『プログラム』で行うワケだし。

 

 

 ならば俺が狙うべきは、カネサダちゃんの警戒心だろう。説得はムリだとしても、会話をする価値はわりとマジでありそうだ。

 

 ま、それもある程度まともに戦える状況に持ち込めたならだけど。──ピクシーさんッ! 細かく狙ってる余裕はないけどヨロシクぅッ! 

 

 

「だったら最初から狙わなきゃいいってだけでしょッ! ──マハジオッ!!」

 

「ぐぅッ!?」

 

 

 まさに逆転の発想! ゲームでは敵全体を電撃で攻撃するマハジオだが、この世界では広い範囲に電撃を放つ魔法である。点ではなく面の攻撃だ、いくら素早い動きができるといっても簡単には避けられねぇよなァ? 

 

 ここでMAGコートの出力を引き上げて一気に距離を詰める俺ッ! 相討ち覚悟の上位魔法は恐ろしいが、この状況では使えまい。

 それで俺ひとりを仕留めたところで、軍曹とヒーホーちゃんを逃がしてしまえば“お役目”は果たせない。向こうの勝利条件を満たすためには、最後のひとりになるまで切り札の魔法は使えないだろッ! たぶんッ! 

 

 相手は左腕を失っているが……せっかくだから、俺は残っている右腕を攻めるぜッ!

 

 もちろんサーベルは簡単に受け止められてしまうがそれでいい。いまはまだダメージを稼ぐターンではない、どうすればダメージを与えられるのかを探るターンだ。

 弱点となるはずの部位ではなく逆からの攻撃、しかも打ち込まれた一撃には殺意の欠片も感じない。ロジカルな思考ができるカネサダちゃんとしては判断に困るよねぇ? 

 

「……異能の正しい呼称を知る権限は私のように特殊な任務を与えられている者以外では、Bクラス帝国市民でも指定された役職にしか許されていません。

 いったい何処からそれを……いえ、少尉殿のソレが完全な顕現を果たしているのであれば、再び封印に綻びが生じたと考えるべきですか」

 

 うん? 悪魔の存在は隠しても魔法の名前は隠してないんか? そういやカネサダちゃんも普通にコウガオンって唱えてたわ。

 封印に関してはやっぱ俺の名付けが──いま再びって言ってたな。つまり過去にも似たようなことが~って、考察なんか後回しでいいんだってばよ! そんなことよりお喋りしようぜ! 

 

 なぁカネサダちゃん。炎よ氷よと曖昧な使い方をするより俺やお前さんみたいな使い方のが強いんだし、変に隠すより異能に目覚めたヤツ片っ端から指導したほうが戦力になると思うんだけど。この発想どうよ? 

 

「どう、と言われても困ります。さすがに軍の機密そのものに関わるような戦力の再調整は、私のような個人副官の仕事ではありません──よッ!!」

 

 うぉ、危ねッ!? 回し蹴りの音が鋭すぎるんだな、これが! ブオンッ、っていう鈍い音じゃなくて居合い抜きみてぇなシャキーンッ! って音してんぞッ!? 

 アカン、これ魔法とか関係なく攻撃食らったら死ぬわ。頭を潰されるとかじゃなくて、首がスパーンと切り落とされるわ。サーベルで受け止めても丸ごと叩き割られるかな?

 

 このおなご、まさに全身が二ノ太刀不要の示現流にて候。天晴れ見事な武辺者よッ! これ俺勝ち目あんの?

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