メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

40 / 129
イントルード:6

 なして俺は宇宙開拓時代に転生したのに人力つるはし採掘の岩の中を歩いてんだべな? 

 

 もっとこうサイバーパンクというか、文明的なダンジョンとかあっても──そういやアマラ経絡の繋げ方はちゃんとSFしてたっけなぁ。あんまり頻繁には使いたくない移動方法だけど。

 まぁアレはいろんなことが急に決まったから使ったみたいなこと言ってたし、正規の手続きで移動するとなれば宇宙船で無重力体験とかもできるかもしれん。問題があるとすれば俺の物語がこの地下世界で完結する可能性もゼロではないということぐらいか? 

 

 全ては未だに教えてもらえない“本命の任務”とやらの内容次第なんだよねぇ。

 

 人体実験の素材にするつもりならわざわざ特務少尉なんて地位を与えないだろうと自分に言い聞かせてはいるものの、やはりもしかしたら……という不安は常に付きまとう。

 とにかく情報が足りん。だけど知りすぎるのも命が危険。タイトロープダンサーの気分をいつでも味わえるディストピア世界ってとぉ~ってもお得だよ! 是非とも何処かの誰かに特価大廉売してやりてぇわ。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 不安を抱えたままでも真面目に働けば、そのぶんの結果はしっかりと現れるワケでして。

 

 

 じっくりゆっくり丁寧に歩きながらの探索でも、不気味なくらい順調だったおかげで目的のル号採掘基地があるはずの区画手前まで普通に到着してしまいましたとさ。

 気になる外観のほうは……うん! だいぶ有機物まみれですね! わりと大真面目に火炎放射器とか使わせて欲しいんだが。それがダメならせめてアギ系の魔法が使える異能持ちを集めるとかさぁ。

 

 ただ想像とは違って徘徊しているヨモツイクサはあまり見当たらない。もっとこう、虫の巣を掘り返したときみたいにワラワラと闊歩しているもんだと思っていたんだけど。

 たとえば、アレは哨戒役で戦闘が始まったと同時に四方八方から一気に集まってくるパターンとかはどうだろうか。ピクシーさんはどう思う? 

 

(んー、いまのところMAG反応はそんなに感じないけど……。でも、あのおっきい建物の中からは変な感じがする。中っていうか、下のほう? 懐かしい気もするし、なんだかイヤな感じもするわ)

 

 嫌な気配はともかく懐かしいときたか。なんだ、もしかして施設の地下に悪魔を使った実験施設でもあったのかな? それで同族の気配はするけれど同時に不快感も伝わってきてるとか、そういうパターンが──さすがにないか。

 悪魔の姿を見るためには異能に目覚める以外のなんらかの条件が必要っぽいし。いまのところMAG結晶体を食べるが俺の中で最有力の説だが、仮に悪魔の視認方法が確立されてんなら秘匿しないでもっと積極的に活用してんじゃないかな? だってこの世界の日本は日本『帝国』なんだもの。

 

 帝国って名乗るヤツらはだいたい自分たちは無条件で未知の力も完璧に制御できるって頭してるからな。それこそメガテン世界の天使や悪魔にしてみれば付け入る隙が多すぎて逆に心配されるレベルだろ。

 

 

 さて、これで最低限の役目は果たしたことだし記念撮影でもして帰ればギリ許される──おっと。カネサダちゃん大丈夫か? お前さんがフラつくとは、さすがに前衛で頼りすぎたかな。正直スマンかった。

 

「申し訳、ありません少尉殿。いえ、我々はMAGの補給さえ怠らなければ人間のように疲労で倒れるなどということは……無い、ハズなのですが……。

 もしかしたらMAGを循環させるためのパーツに、どこか破損が生じているのかもしれません。この任務が終わったら……1度メンテナンスを受ける必要があるようですね」

 

 なにせアラヤン式駆動の人造超力兵は旧式なので、と自虐ネタも交えつつ姿勢を正すカネサダちゃん。ふーむ、戦闘の要であるメインアタッカーが不調となればここが退き時かな? 

 いざとなれば担いで逃げることもできなくはない。日頃の戦闘で鍛えられた肉体とMAGモグモグ効果、それにMAGコートの補助があればそれぐらいは余裕なのだ。もちろん逃げ道にいるヨモツイクサは軍曹とヒーホーちゃんに丸投げします。

 

「はい、いいえ少尉殿。MAGの消費効率は少々悪化していますが作戦行動に支障をきたすほどではありません。ヨモツイクサの数も大したことはないようですし、可能な限り現場の状態を記録してから帰還しましょう。

 ……心配は無用です、少尉殿。副官として貴方をサポートするのが私の任務ですので。これ以上駆動部の反応が鈍るようであれば必ず報告します。敗北や撤退を許容できる上官を相手に無茶は通しませんよ」

 

 俺としてはヨモツイクサの数が少ないからこそ余裕を持って帰りたいんだけどなぁ。そんなふうに言われたら少しは粘ってもいいかなとか考えちゃうじゃないの。

 正直なところ切っ掛けひとつで「貴方は知りすぎました」とか言われて銃口を向けられるんだろうな~って嫌な信頼感はバッチリだけど、それでも一緒に生活していれば情のひとつやふたつは感じるからね。

 

 できれば無事メンテナンスを終えて副官を続けて……続けて……いや、やっぱりその辺の人事についてはちょっと保留させてもろて。

 本人曰く本来なら疲労しないハズの人造超力兵が不調とかいう時点でぶっちゃけ前世の記憶持ちとしてはもうフラグ臭が半端ないが、できるならバキッとヘシ折って連れて帰ってやりたいもんだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。