メガテニストはディストピアでもヘコたれない。 作:はめるん用
「アンタなに言ってんのよ!? ソイツが囮になってくれるって言ってんだから、アンタもアタシたちと一緒に逃げるのッ! 軍人なんだから戦いなんて任せておけばいいのよッ!」
「まぁまぁ落ち着いてよ。ムリっぽいな~って思ったらちゃんとすぐに逃げるってば。それに、私この少尉さんに聞きたいこともあるし、基地に戻ってからまたお話できるかわからないでしょ?」
「はぁ!? なにそれ!! こんなとこに残ってまで聞くことってなんなのよ!?」
「いや~、それにつきましては説明が難しいというか説明しても信じてもらえなさそうというか~。ともかく大丈夫だから早く逃げて? じゃないと私も逃げられなくなっちゃうよ」
「~~ッ!! もう! あとでしっかり事情は聞かせてもらうからねッ! アンタ! この子にケガなんてさせたら許さないからッ! 化け物の代わりにアタシがアンタをブッ潰してやるッ!!」
ん~、これはいわゆる姉妹系幼馴染み的な間柄かな? ヒーホーちゃんが妹で、そっちの無意味に俺に喧嘩腰なのが姉ポジションだろう。
なして救助にきた俺がこんな怒られなきゃならねんだべ? それだけ追い詰められてて余裕がないと思えばギリ許してやれんこともないが……この手のタイプって自分が正しい前提の頭してて反省しないことが多いから、トラブルを何度も繰り返しそうでちょっと好きにはなれんなぁ。
案外、心に余裕が持てるようになれば頼れる姉御肌にクラスチェンジしそうではあるが。いうてまだ子どもだし、成長に期待しての先行投資と思えばイライラすることもなし、だな。
んで、だ。
ヒーホーちゃんが俺に聞きたいことっていうのは悪魔に関する話だろう。なんでこの子も悪魔が見えているのか、こちらとしても興味があったので好都合ではある。
いや、本音言わせてもらえば面倒のニオイしかしないから関わりたくないけどね? でも手遅れなんだから開き直るしかないじゃない。
ま、それもこのピンチをなんとかクリアしてからの話だけど。まずはほかのD民たちが通路までたどり着けるよう肉グモを押し返さんとね!
となれば、ヒーホーちゃんの仲魔である推定ジャックフロストくんにも頑張ってもらう必要があるワケだが……ウェンディゴ、前にピクシーさんに氷結の力を貸してくれたじゃん?
(テメェならそう言うだろうと思ってたよ。おいガキンチョ、オレ様が特別にブフの使い方を教えてやる。ありがたく思えよ?)
(ヒホ? ──こ、これはッ! すごいホーッ! 力がモリモリみなぎってくるホーッ! ヒーホーッ! またブフの魔法を使えるようになったオイラにかかれば、あんなヤツらなんてちょちょいのチョイだホッ!!)
あら便利。ペルソナ3がポータブルでリメイクされたときを思い出すわね! スキルカードが登場してからはベルベットルームのBGMも嫌いではなくなりました。
しかしヒーホーちゃんではなくジャックフロスト(仮)のほうがブフの力が込められたカード砕くんだな。もしかして人間が真似したら同じようにスキルを覚えられる可能性が微レ存?
……いや、それができるってことは悪魔と同等の存在になるってことじゃん。やっぱ使えなくていいや。俺は人間として生き人間として死にたい派なんだよ。
(よぉし、合わせろッ! ガキンチョッ!)
(了解だホーッ!)
((ブフッ!!))
うぉッ!? この威力、ブフーラより破壊力あるじゃないかッ! すげぇすげぇ、サーベルで追撃しなくても肉グモの脚が1本砕けちまったぞッ!
こりゃいいこと知れたわ。仲魔の得意とする魔法が偏ったとしても、俺が同時に召喚できるようになれば戦略の幅はグッと広がるじゃないか。
◇◆◇◆
「はー、ビックリしたぁ~! ユキダマくん、こんな強い氷の異能が使えたんだねぇ~! ……あ、あれ?」
(ヒホッ!? 大丈夫かホッ!!)
「うん……。おかしいな、そこまで氷の力を使ったつもりは、ないんだけど……うぅ~ん?」
おっと。魔法の使いすぎでMAGが足りなくなってきたか。しかし加減を間違えるとは……いや、これはいままで“なんとなく”で使っていた氷の力を“ブフという魔法”として使った差が出たとか?
あり得るな、だってメガテンの世界だし。だいたい神秘を理解するのが人間には負担になるって流れファンタジーの定番だもん。とにかく結晶体を砕いてMAGを補充してやらんと。
「あ、少尉さん……そのエネルギー結晶体砕くならもらってもいいですか? ……ありがとうございます。──はぐッ モグモグがァッ! ぺェャッ!! はい! 元気満タンですッ! ぶいッ!」
あ、この子も食べる派なのね。乙女が野郎の前で見せてはいけない動作で聞かせてはいけない声出してたけど、まぁ非常事態というか戦争中だし多少はね?
過保護な姉キャラD民の子がいなくてよかったわ。アイツらの避難が間に合ってなかったらどんなバリゾーゴン飛んできてたかわからんな。
おっと、バカなことやってるヒマはねぇ! いつの間にやら肉グモたちがまたマハムドを使いそうな雰囲気になってるじゃないか。よし、とりあえずヒーホーちゃんは安全な距離まで離れて──。
「はいわかりました少尉さん頑張ってくださいユキダマくんッ!!」
(ヒーホホホーッ!!)
うーん判断が早いッ! これには鱗滝師匠もニッコリですね!
時と場合によるだろうけど、あの子たぶんアレだわ。俺に構わず逃げろとか言われたら元気のいい返事して振り返りもせず最大速度で逃げれるタイプだわ。ぜひともそのまま素直に育ってみてほしい。
さて、離れていろと言った手前ここで俺が簡単にやられたんじゃ笑い話にもならん。
複数の肉グモが広い範囲にマハムドを展開して追い込もうとしてくる光景はなかなかの地獄ではあるが……お前たち。相手が悪かったな?
確率に頼ることなくッ!
自分の意思でッ!
即死魔法のムドを避けることが許されるッ!!
このシチュエーションで燃えないメガテンプレイヤーがいないとでも思ってんのかァッ!?
こちとら稼ぎの区切りに安全のためセーブしようとした帰り道でムドが直撃したりハマで追い込まれたり物理反射持ちにバーサーカーにされたりして散々バキバキに心へし折られてきてんだッ!!
この憎しみと悲しみ、まとめてテメェらに八つ当たりしてやらぁッ!!