メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

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VS怨言の八脚:2

 悪魔たちの姿は(現状は)見えていない。

 

 だが見えないだけで実体はある。

 

 なので──。

 

 

(ギィヒィィァァァァッ!! くだ、砕けェロォォォォッ!! ウォまえもォ素材にしでやるがぁぁッ!?)

 

 

 ヨモツイクサの群れにイッポンダタラをシュートッ! 超☆エキサイティングッ!! 暴れまくり……の扱いでいいのかな、コレ。

 ゲームではHPを消費する物理スキルだが、この世界ではしっかりMAGを吸い取られている感覚がある。ただジオンガやマハブフに比べれはかなり穏やかな消耗だ。

 

 コストパフォーマンスは物理スキルのほうが優秀ということか? ただ悪魔が直接殴りに行く必要があるのがネックだな。射程距離はもちろんだが、見えないだけで存在はしているので攻撃が当たってしまうのが困りものだ。

 

 

 細々した丁型ヨモツイクサをイッポンダタラの物理パワーで蹴散らしつつ、次のD民たちの反応がある場所へ急ぐ俺。いまのうちにMAG結晶体砕いて回復しておくか。

 この方法だと味覚へのダメージは防げるけど、吸収されるまでのタイムラグが戦闘中は曲者なんだよなぁ。ダークソウル2のグイッと飲んですぐHPが回復するエスト瓶と時間経過でジワジワ回復する雫石ぐらい違うんだもの。

 

 そういえば食べて不味いと感じるのは防衛反応としての役割もあるってなんかあったな。つまりMAG結晶体を食べたときに味覚が悲鳴をあげるのは俺がちゃんと人間である証拠とも言える。

 なんつー嫌な判定方法だよオイ。結晶体食ってマズさに苦しむたびに自分が人間であることを喜び吐き気に感謝しろってか? ちょっと特殊性癖過ぎんだろ……。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 崖の上に俺、参上ッ! おーおー、D民たちも頑張って戦ってるじゃないの。どうやら魔法の力に目覚めたチームのようだが、さすがに数の不利を覆すのは難しいみたいだな。

 とにかく連中の近くに飛び降りて──いや、ここは奇襲のチャンスを最大限に活かすために頭レギオンのクモを狙うべきか? 問題は俺に一撃で仕留めるだけの力があるかだが……。

 

(ニンゲェン、ウォれにまぁかせろぉぉッ! 思い出す、思い出したカラなぁぁッ! ──タァルカジャァッ!)

 

 マジかぁッ!? イッポンダタラお前ってヤツはピンポイントに足りない部分を補ってくれちゃってまぁッ! さすが見た目が鍜治屋さんなだけありますねェッ! 

 あと必要なのはサーベルが折れないことを祈ることぐらいか。ブタ玉ほどのプレッシャーは感じないから大丈夫だとは思うが……ま、折れたらそんときはそんときだな。

 

 行くぜ、とぉッ! ──その首、もらい受けるッ!! 

 

 

「な、なんだッ!?」

 

「まさか助けがきたのッ!?」

 

「あれは……例の少尉ってヤツか!」

 

 

 待たせたな、ひよっこども。そしてサーベルくんは無事でした。切り落とした首がいよいよレギオンにしか見えないが、幸いにして動き出す気配は無い。

 しかしまぁ8本足が集まると純粋にキモいなお前ら。なんでどいつもこいつも頭が顔まみれなんだよ。経済成長ばかりを重視してコミュニケーションを蔑ろにする産業主体の社会に対するアンチテーゼですか? 表情豊かに過ごしましょう的な。それともボッチで戦う俺に対する当て付けか? アァンッ!? 

 

 おっとイカン、俺が寂しい人間なのはいまはどうでもいい。D民たちをヨモツイクサの包囲網から救出せねば。消耗の先読みMAGを砕き~の……ウェンディゴ、頼んだッ! 

 

(ったく、ザコどもがアホみてェに群れやがってメンドクセェ。おいニンゲン、あとでオレ様にも食い物よこせよ? ──マハブフッ!!)

 

 任せろウェンディゴ、ここの基地の酒保はお菓子もたくさん置いてあるからな。まさか甘味料が鉱物資源として存在するとは想像もしなかったよ。

 ここの糖質鉱石から抽出した原液は小さじ一杯で400リットルの水がハチミツみたいになるのだとか。Cクラス以下の帝国市民が口にする甘味は全部コレなんだってカネサダちゃんが教えてくれたよ! 

 

 あと、成分の98.77パーセントは解析されて人体には無害だってことも教えてくれたよッ! 残りの1.23パーセントはぁ? 

 

 

 形勢逆転ッ! とまではいかないが、俺がヨモツイクサの包囲網を崩したことでD民たちに少しだけ余裕が戻ったみたいだ。

 ならばもうひと押しやっちゃうか。もいっちょ先読みMAG砕きからの~、ピクシーさん! 

 

(これぐらいのケガなら余裕ね! メディアッ!)

 

「うぉッ!? こいつは……傷が治ってる、のか?」

 

「マジでオレたちの力とは別物だな。もしかしてあの人が軍の人たちがウワサしてた“チョウリキヘイ”ってヤツなのか?」

 

 おいバカやめろ俺を縁起でもない呼び方するんじゃねぇ。黒マントが似合うクールでイケメンな探偵見習いの書生さんに襲われたらどうしてくれるんだ。

 しかし軍の人間が噂をしていた、ねぇ。普通に考えれば人造超力兵であるカネサダのことを話していたのかもしれないが……さて、情報が足りないままの綱渡りが長いこと長いこと。クリア済みのゲーム世界にチート転生してるヤツらが羨ましいぜ。

 

 ともかく、ここからが本番だな。とりあえずイッポンダタラに出てもらって、タルカジャを上手く使ってD民たちも戦力としてなんとか──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ヒーホーッ! あのニンゲンもオイラとおんなじようなトモダチがいるみたいだホーッ!)

 

「ホントだ……。でもユキダマくんに比べるとだいぶこう、強そうな見た目してるね」

 

 

 

 

 ………………ひぃほぉぉぉぉッ!?!?

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