メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

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ウォームアップ:2

 ヨモツイクサの呻き声、諸行無常の響きあり。

 

 DクラスのMAGの色、弱肉強食の理を表す。 

 

 

 はい、というワケで10日ほど戦闘を続けて坑道の探索に慣れたところで迷子のD民戦闘員救出RTAはーじまーるよー! 

 

 今回のレギュレーションでは俺がひとりで奥へ奥へ進んでいくことになります。カネサダちゃんはお留守番、ではなく退路の確保という重要な役割があるので別行動です。

 ちなみに特務少尉である俺に拒否権はありません。ここでD民を見捨てるとせっかく稼いだやる気がゼロに戻っちゃうから仕方ないね。

 

 なお、道を間違えるとかいう致命的なガバは今回一切ありません。迷ったら命を失うという誓約があるおかげで無事覚えることができたからです。帰り道を忘れたら死ぞ? 

 

 まぁでもアレだ。D民を助けに行くことをゲラゲラ笑っていた嫌味な大尉を“任務の邪魔をした”という大義名分でブン殴れたのは気持ちよかったのでヨシとしよう。可哀想に、大尉ではなく大佐を名乗っていれば俺に殴られることもなかったのに。

 

 

 で。

 

 

「そんな……! まだ取り残されている仲間がいるのよッ! 私たちも協力して助けに行くべきでしょッ! アンタの友だちだっているんでしょ! それも見捨てるつもりなのッ!?」

 

「こんな貧弱な装備でか!? オレたちだって無傷じゃねぇ、足を怪我してるヤツだっているんだぞッ! 助けたくても諦めるしかねぇなら、ここにいるヤツだけでも協力していますぐ逃げるべきだッ!!」

 

 はー、また主義主張のぶつかり合いッスか。面倒は嫌いなんだよ俺はさぁ。もうちょっと厳しく洗脳しておけよ、そんなんでディストピア国家を名乗って恥ずかしくないの? 

 仕方ないなぁ、もう。──静まれッ!! 全員深呼吸一回ッ!! 装具点検ッ!! よし、落ち着いたな? ほかのDクラス戦闘員は俺が救助に向かう。お前たちは退路に残っているヨモ化け物がいたらそれを駆除、安全なルートを確保しつつ拠点まで後退せよ。

 

 これは命令だ。F8492特務少尉としての正式な命令だ、俺にはその権限があることを帝国軍が保証している。内容の復唱は必要ないな? よし、行動開始ッ!! 

 

 

 

 

 ……で。

 

 

「アタシも……ッ! 自分もクリーチャーとの戦いに連れていってくださいッ!! もう……仲間がヤツらに喰われるのを黙って見ているなんてイヤなんですッ! 

 自分は、帝国軍に憧れて……弱いヒトを守れる人間になりたくて今日まで戦ってきたのに……このまま逃げるなんて、アタシはイヤなんだッ!!」

 

 これは模範的日本帝国の市民ですね! しっかり教育されてても面倒なのは同じだったかぁ。意気込みは立派だし気持ちもわかるけど、身体は正直だな。足が震えていますよフロイライン。

 しょうがないなぁ、もう。──俺の手が見えるか? 震えているだろう? これは別に体温が低下しているワケでもないし、もちろんアルコールが足りないワケでもない。つまりは俺も貴様と同じ病気というワケだ。

 

 臆病。帝国のために戦う勇者がふたりも揃って困ったものだな? さて、貴様の仲間は俺が守ろう。だから貴様は俺を守ってくれ。背中から襲われないよう、拠点までつながる道にいるヤツらの駆逐を任せた。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 やれやれ、まずはひと息……だな。

 

 あーゆーの、らしくないんだけど。お飾り少尉だし。自分の命令で他人が動く姿はそれはそれで面白かったが、同時に責任を負うことになると思うと俺はできれば遠慮したいかな。

 でもまぁ……たまにならいいだろう。たまにならな。もうやんねぇからな? なんで俺が他人の命まで面倒見なアカンねん。自分が生き残るのに精一杯なんだよコッチはよォォォォッ! 

 

 ふう。取り乱しました。戦場では常に冷静じゃないとね! 感情の動きでMAGの輝きが活性化するのであれば、さっきまでのD民たちも大声でヨモツイクサを呼び続けていたようなものだし。

 やはり俺のように、常に氷のナイフの如く冷静に徹するぐらいじゃないと──どうしたウェンディゴ、突然明後日の方向を向いて。なにか気になることでもあった? 

 

(いや? なにも? ……そんなことよりニンゲン、どうやら団体サマが歓迎してくれるみたいだぜぇ。ご丁寧に親玉らしき強ぇMAGの反応まで近づいてらぁ。コイツは派手なパーティーになりそうだナ? ケケケッ!)

 

 

 小型の6本足と、大型の8本足。足の数はたしかにアリとクモだけど、デザインの雰囲気が地球防衛軍じゃなくてサイレントヒルなんだよなぁ。

 全体的に粘着質で普通に気色悪いんよ。クモのほうなんて複眼の代わりに人間の顔だか頭みたいなの集まっててレギオンみたいになっとるわ。レギオンには地味にお世話になったから嫌いじゃないけど。

 

 ギャラリーがいなくて本当に助かった。アイツらを守りながら戦うのはちょっとキツいし、なにより俺の戦意が昂るのに反応してMAGコートが青く光るところを見られるのは恥ずかしいし。

 

(喜べニンゲン。あのデカブツから強いだけじゃねぇ、ほかとは違う歪なMAGを感じるぞ。もしかしたらオレ様たちみてぇなのが見つかるかもな)

 

 なんと! ここにきて戦力アップの可能性が! 別にピクシーさんやウェンディゴのサポートに不満はないけれど、状況に合わせた手札を選べるほうが戦闘は楽になる。

 ジオがヨモツイクサの身体を伝って電球まで破壊しちゃうとかそういう事故も減るだろう。廃墟やら坑道やらでの戦闘だからまだいいが、現役で活用している建造物の中で戦うことになったときにも備えたい。

 

 今度のMAG結晶体ガチャはなにがでるかな~楽しみだな~! その前に完全に包囲されてるのをなんとかしないとなァ~ッ!

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