メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

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トランスファー:3

 書類上で昇進しても基地での扱いは味方殺しの重罪人。自分で歩く自由すらないほど拘束具でグルグル巻きにされ独房から出荷される俺に人権など無いのだ。

 いうて乗せられてるカートの寝心地はそんなに悪くないけど。護送を担当している軍人さん方も中佐殿の息がかかってるのか、拘束はガバガバだし毛布も敷いてあるからね。

 

 ただ俺アレなんだよなぁ~。乗り物の振動って眠くなっちゃうタイプでこらえるのが大変なんだよ。まさかこの状態でイビキなんて聞かせるワケにはいくめぇ。

 

 

 おそらくは軍用トラックのようなもので、バイオハザードに登場する生物兵器よろしく丁重に運ばれている間はマジでヒマ過ぎて寝てしまいそうだったが、目的地に到着してからは実に忙しかった。

 少尉らしく身だしなみを整えろと言われ髪切り~のヒゲ剃り~のシャワーで普段使っている石鹸とは比べ物にならない泡立ちを体験し~の。基地を離れたとたんにコレですよ。

 

 

 そして新品の軍服は前世のゲームや漫画でもお馴染みのロングコートタイプ。見た目はとってもカッコいいね! 

 ホント、見た目だけはな。生きるか死ぬかの瀬戸際だと確実にロングの部分どう考えても邪魔になるだろ。デザインしたヤツいっぺんヨモツイクサと戦わせろや。コレ切ってもいいですか? ダメ? はい。

 

 ちなみにサーベルも新品の物が用意されていた。量産品だとしてもCクラスに昇格してから何度も修羅場を潜り抜けてきた相棒だったんだが、あれは軍の所有物であり適切な処理をしたので階級に見合う品を持てと言われれば従うしかない。

 さらば相棒。綺麗に汚れを落としてもらったら新しい主人の命を頑張って守護ってくれ。天使らしき存在を斬っちゃったから呪われてるかもしれんけど。これで洗浄しようとした人が謎の不幸に見舞われてたら笑えねぇな? 

 

 で。

 

 うむ。馬子にも衣装とはよく言ったものだ。服装がピシッとしてるとフツメンの俺でもマシに見える角度がないこともない。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

「初めまして、F8492少尉殿。私は只今より少尉殿の部下として、資源惑星『五○一番タタラ』における作戦行動のサポートを担当します、アラヤン式人造超力兵のカネサダと申します。

 オルギア式やイザナミ式に比べれば少々旧型ではありますが、性能は見劣りするものではないと自負しております。何卒よろしくお願いします」

 

 あら! あらまぁ! 名前の響きとは違って正統派モブキャラ風味の美少女じゃないですか。どうして攻略できないんだって騒がれてパッチで個別シナリオとか追加されそうね! わざとらしいセミロングも実によろしい。

 黒髪が少し赤っぽいのと、瞳が初音ミクの髪色みたいに鮮やかな青緑なのはパッと見て人間ではないと区別するためだろうか? 価値観が世間とズレている俺には萌え要素にしか見えませんがね。

 

 こんな美少女ロボットを部下にできるとか、これはもう勝ち組の仲間入りなんじゃね? ガハハハハッ! 誰ですかアラヤン式人造超力兵なんて物騒な単語を並べるネーミングしやがったヤツは。

 しかも人造ってことはアレだよ? 人造じゃない天然物の超力兵と呼ばれる存在がいるってことだよ? あれぇ~そういえば知り合いに魔法の力を使える人間が何人かいるぞ~すっごい偶然だね! 

 

 

 いや、お前さぁ……悪気が無いのは当然わかってるんだけどさぁ……まだ着替えしかしてないのに精神的疲労がとんでもないことになってんだけど。

 ただでさえ天使兵なんていうメガテン基準だと危険しか感じない存在がいるってのに、そこに超力兵なんて危険が確定するような名前した存在まで俺にお知らせするんじゃないよ。なに? きのこ派たけのこ派みたいに仲良く喧嘩でもしてんのかそいつら。

 

「……? 少尉殿、どうかなさいましたか?」

 

 いや、なんでもない。

 

 それにしてもなんというか。人間が試験管で育てられている世界にしては、このカネサダなる人造人間の雰囲気は普通の人間とそこまで変わらんな。

 そういえば治療中に世話してくれた人も教えてもらうまでは人間と区別できなかったな。髪の毛とかの色が普通だったのは患者のストレス対策だろうか? 

 

 こんな見た目でも中身は機械仕掛け、ねぇ。やっぱりオイルとかそういう燃料で動いてんの? 

 

「はい、いいえ少尉殿。私たち人造超力兵はMAG結晶体を取り込むことで稼働しています。──へ? あ、あの、少尉殿。その……いくら人間より耐久力に優れているとはいえ、MAG結晶体を直接経口摂取などという危険なことはいたしませんよ?」

 

 あ、そうなんだ。

 

 へぇ~MAG結晶体を直で食べるのは人造人間基準でも危険な行為なんだ~。生きてるって素晴らしいッ! 命って尊いなぁッ!!

 

 やるけどねッ! 死にたくないから、力をつけるためにも食べますけどねッ! むしろ結晶体ガチャで常勝不敗の俺って幸運のパラメーター実はカンストしてるんじゃね? ならばここで歩みを止めるのは慎重ではなくただの臆病ぞッ!!

 でも次食べてみてポンポン痛くなったら素直に違う方法を考えよう。人生ってのはなんでもかんでもチャレンジすればいいってもんじゃないからね。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 さて。おべべも新しくして頼れるメガトン級地雷系アンドロイドも部下に従えたことだし、そろそろ新しい職場である……なんだっけ、その五◯一番タタラって星に行こうじゃないか。

 いろいろ聞いてみたいことはあるけれど、どうせ権限がどうとか言って教えてもらえないだろうし。イザナミ式とかいう不吉な名称の動力で動いている人造超力兵のこととか。

 

 で、どうやって移動すんの? 宇宙船なる素晴らしい船があることぐらいはD民出身の俺でも知ってるけど。

 

「はい、少尉殿。本来であれば巡洋艦で移動するのですが、今回は手続きが間に合いませんでしたので別の移動手段を利用します。

 MAG結晶体のエネルギーを利用し、離れた場所に設置したゲートを繋ぐ装置があります。今回は中佐殿が特別に許可を出して下さいましたので、そちらを使用して移動することになります」

 

 ほーッ!? ほほぉ~ッ!! ここにきて科学とオカルトが融合した装置の登場ですか! 異世界転生の驚きっていうのはさ? やっぱこういうのでいいんだよ、こういうので。

 そういやメガテンにもターミナルを使った転送あったっけ。宇宙船ってのもロマンがあるし乗ってみたかったが、これはこれでワクワクするのぅ。ニュフフフフ♪ 

 

 

 ところで、そのゲートって名前とかあんの? 

 

 

「はい、少尉殿。安定した活用法を確立するまでに多大な犠牲を必要としたものの、この装置の開発が成功したことで日本帝国はより豊かな国へと発展しました。

 現在では各宙域に設置されていることから、そしてその貢献度と重要性から『不死』や『母』を意味する単語と医学用語を組み合わせて『アマラ経絡』という名称が付けられています」

 

 もしかしたらワイ永久に新しい職場にたどり着けんかもしれんな……。




ラノベの定番『美少女アンドロイド』もちゃんと提供するスタイル。

メガテンらしからぬほのぼの要素ですが、二次創作ということで寛大な心でお許しくださいませ。
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