メガテニストはディストピアでもヘコたれない。 作:はめるん用
「細切れになり悔い改めよッ!! ガルーラッ!!」
説明しよう!
ガルーラとは基本となるガルより強い風の魔法である! 純粋な衝撃波で攻撃するザンとは違い、風の刃が襲い掛かってくるので切り傷もたくさんできるのである!
当然ガルより強いということは、先ほど食らったマハガルよりも強いということであり、ガルーラは単体に破壊力を集中するので下手をすればマジでバラバラにされうぉぉぉぉッ!! 超頑張れ俺の脚ィッ!!
「こっちだッ! 飛べッ!」
応よッ! 見るがいい、我が八艘跳びレベル-7の破壊力ッ! つまりはただ死に物狂いで横っ飛びしてるだけだが生き残ればこっちのモンだオラァァァァッ!
ふう、なんとかギリギリ直撃は免れたな。ナイスタイミングで声かけてくれたな、助かったぜアキラ。……え? アキラ? お前なんでいんのよ? 逃げろ言うたやん。
「ヤツがなんなのかはサッパリ理解できないが、ヤツがとびっきりに危険なヤツだってことはわかるさ。同時に、たぶん普通に逃げても逃げ切れないだろうなってこともな。
俺、こういう“なんとなく”感じたことは信じることにしてるんだ」
うーむ。たしかに風の魔法が使えるなら逃げ切るのは難しいかもしれんか。攻撃以外のことには使えない、なんて保証はないんだし。なんなら空気の濃度を弄られただけで人間なんて簡単に気絶するだろう。
(ほかのニンゲンたちも隠れて様子を見てるようね。よかったじゃない。ただアイツ、ほかのニンゲンのこと放ったらかしでアンタを狙ってるわよ? 表面上はともかくMAGの反応がスッゴいことになってるから)
予想通り沸点は低かったみたいだな。一撃でこっちをバラバラにできる力を持った天使がマジギレして殺しにきてるとか普通に失禁しそうなほど恐怖がヤバい。
だが格上の相手に冷静な立ち回りで戦われたんじゃ勝ち目なんて見えるワケがない。卑怯上等! 搦め手なんでもアリの情けない戦い方は格下の特権ってなもんよッ!
「頼もしいな、リーダー。それで、まずはどんな挨拶でヤツを驚かせてやるんだ?」
なんでお前さんまでリーダー呼びやねん。アレか? 見た目だけ若くても心がオッサンだからか? 溢れ出るMAGの波動に加齢臭でも混ざってるって言いたいんかテメェ。
俺も今度キラキラ綺麗なMAG結晶体見つけたら食べてみようかしら? 美容の秘訣は食生活が基本だって聞いたことがあるし。
聖属性の魔法で即死系のハマとかダメージ系のコウハ辺りを使えるようになったらヨモツイクサとの戦闘も楽になるし悪くないんじゃないかな。どうせ覚えるとしてもそれは俺じゃなくてピクシーさんの役目になるだろうけど。
さて、アホなことばっか考えてないで現状を打破する方法を考えるとしよう。ここは雑貨屋さん、というよりインテリアとかそれ系のお店かな? そこそこ大きめのガラスのオブジェとか普通に残って──うん。コレ、いけるかも。
◇◆◇◆
「観念して出てきなさいッ! 先の暴言を撤回し、自らの意思で悔い改めるのであればッ! 真なる神に誓い最後の慈悲を与えると確約しましょうッ!!
悪戯に嬲り物にされるようなことはなく、最後には必ず貴方の魂も解放されるでしょうッ! 姿を隠したところで貴方の歪んだ力の波動までは隠せませんよッ! さぁ、大人しく私の前に──なにッ!?」
奇跡を打ち破るのはいつだって現実よッ! 魔法に対して机を担いでタックルしてる転生者なんて多次元を探してもそうそういねぇだろッ!
まぁ当然のようにガルーラで迎撃されるんですけどンなもんは気合いと根性でなんとでもならぁッ!! でも怪我だけはどうにもならんのでピクシーさぁぁんッ!
(ディアッ! もひとつオマケにディアッ!)
机はバラバラに壊されて、俺の肉体もボロボロにされるが、背中側に隠れていたピクシーさんが無傷なら耐えようはあるのだ! いやホント、早くラクカジャ使える悪魔を勧誘したいわ切実に。
「無様ですね、ニンゲン。無意味な抵抗でしたが、それを自ら跪いて見せたと解釈してあげてもいいでしょう。
さて……最後の慈悲を与えるという約束でしたね。これ以上の痛みも苦しみも感じる必要が無いよう、我が奇跡の風で──」
「見事なガラスの彫刻、アンタにプレゼントしてやるよ ッ! ──眼が眩むほどに綺麗なヤツさッ!!」
「ぐッ!? 眼がッ! こ、の……ッ! ニンゲン風情が舐めたマネをッ!!!!」
ナイスぅ!
ガラスのオブジェを銃で破壊する目潰し作戦は効果抜群のようだ。中身がなんであろうと、その器である肉体は人間の物。やはり物理的な攻撃は有効なようだ。
さぁて反撃の時間だぜッ! アキラッ! いったん外に出るぞッ! コイツを包囲して皆で一斉射撃で仕留めるぞッ! ……な~んて言いつつも、階段の上を指差してクイクイ動かしてみる俺。
「──ッ! わかった、全員で一気に叩こうッ!」
空気の読めるイケメンとか無敵かよ。マモルとヨウイチくんとで3人は幼馴染みって言ってたけど、たぶんアキラが知恵者というか参謀役みたいなポジションだったんじゃないかな。
あとは俺が外で天使(仮)の……ここまできたら(仮)いらないか。天使の注意を引き付けて、上からアキラに奇襲してもらうだけ。理想はクリティカル首判定、どこぞのウサギさんのように的確に刎ね飛ばして欲しいところだ。
外に出る俺。追い掛けてくる天使。窓のところで飛び掛かる準備が完了したアキラ。そして──。
「リーダーッ! 無事でしたかッ!」
「アキラはッ!? ──上かッ! よっしゃあ! 一気に皆でケリをつけるぞ! ふたりの敵討ちだッ!」
「上? そうだ、もうひとりッ! ──そこかッ!!」
「~~ッ!? あんのバカッ!」
正直者なのは素敵なことだけど、もうちょっと時と場合を考えてもいいと思うよォッ! そりゃ俺みたいな性根のネジ曲がった人間になれとは言わないけどさぁ、たまには違う自分を出していこうぜッ!
前言撤回。3人の中でアキラのポジションはたぶん苦労人枠だわ。学校もD民生活でもふたりの、というか主にヨウイチくんのフォローいろいろしてたんじゃないかな。
奇襲をするはずだったアキラはガッツリ注目されている。この状態で飛び掛かろうとしても、ガルーラで迎撃されるだけ。この作戦は早くも失敗ですね。
ま、アキラに注意が向いてるってことは俺がフリーってことでもあるんだけど。ここはサーベルの距離だろ! ピクシーさん!
(ジオッ! そんでスクカジャッ!)
感電による牽制は一瞬でも充分過ぎる。相手は背中を見せていたからな。そしてスクカジャにより一時的に高められた速度で斬りかかれば──ッ!!
「がぁッ!? ……キサマぁッ! キサマぁぁぁぁッ!! 図に乗るなよ下等生物がぁぁぁぁッ!!」
わーお。切り裂いた背中から羽が生えてきたぞー? それも真っ白で綺麗な羽……ではなく、腐肉と剥き出しの骨を無理やり羽の形にグチャっとくっつけたみたいなヤツが片翼だけ。それで天使はムリあるだろ。