開放性

 うだつの上がらないガリ勉くんを見るたびに、「未知の体験を恐れている君が、果たして新しくものを学べるだろうか?」という問いを心の中で投げかけてきた。それは、的を射ている、という意味において、実に残酷な問いであったことを僕は知った。

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前置き

 最近、noteに書く記事が個人的に過ぎるものになっている、という自覚があったので、少々パブリックな物事をテーマとして記事を書く。もちろん、僕はその道の専門家でもなんでもないので、僕がほんの数ヶ月間勉強しただけのささやかな知識を世の中にさらけ出しても、得をする人間はいないのだ、ということを自覚しつつ書いていくことにする。つまり、僕は誰かのためではなく、自分自身のために(いわば、勉強の記録として)これから記事を書いていく。

 それでも、僕は教養学部外の人間でありながら、教養学部で開かれている「性格心理学」なる授業で優上(上位5%以上)の成績を取ることができたので、その分野についての記事を書いてもバチは当たるまい、とも思う。(後で読み返して恥ずかしい思いをすることになるのかもしれないけれど。)
 というわけで、好き勝手に書く。

ビッグファイブ

 性格によって人を分類する試みは古くから行われてきた。はじめ、それは一つの尺度を用い、ある性質の強弱によって人を分類した。(ユングの内向性・外向性など)次に、そうした尺度が一つから五つへと増やされ(STDCR向性検査)、12個に増やされ(YG検査、日本)、16個に増やされていった(16PF cattle, 1949)。その後、それでは流石に多過ぎるだろう、ということでそれらを集約していく手法が考案された。そうして五つにまで集約されたものがビッグファイブだ。(ものすごくざっくりとした流れ)

 特に16PFを考案したキャッテルの性格因子論は、性格研究を科学的手法で包括した画期的なものだった。その科学的手法について、これから少しだけ詳しく書く。

 まず、キャッテルは辞書に載せられている4500の性格用語全てを用いれば、人間の性格について十分な言語記述ができるという前提に立った。その後、それらの単語を35のカテゴリーに分類した。


 次に彼は成人約200人の生活を観察し、彼らを記述する言語を因子分析によって20数個にまでまとめ、それらを「根源特性」と読んだ。因子分析、とは、ある人物の性質を記述する単語(例えば誠実な、など)が他の単語(例えば一貫性のある、など)と相対的に強い相関を持つ場合、それらを一つの因子としてまとめ上げていく、という手法である。


 こうして得られた根源特性について、キャッテルはとても興味深いことを言っている。(出典をド忘れしてしまった。なので、僕個人のうろ覚え引用になる。こういう時のために付箋を貼る癖をつけておけばよかった、と酷く後悔する。やはり、お勉強記録をつけておくことは重要なのだ。)
「118の元素の組み合わせによって、物質は千差万別の性質を示します。『根源特性』は、この『元素』に当たるものであり、それらの組み合わせによって百人百様の個性があらわれます。」

 ただし、20個に及ぶ根源特性はあまりに多過ぎる。あくまで人と人のコミュニケーションに資する形でそれを応用するには、さらなる集約化が必要だった。そうして得られたものがビッグファイブ——五大因子だ。

 五大因子は、生物学的な実験に基づいて得られたものではないが、そういった側面からの説明にコミットする研究者は多い(らしい。)僕が授業を受けた教授も、そうした研究者の一人だった。以下、五大因子の中身について、僕なりの乱暴な解釈を書き連ねていく。

N次元:神経症的傾向
この傾向が高い人はメンタルがガラス。低い人は豆腐。


E次元:外向性
この傾向が高い人は陽キャ。低い人は陰キャ。


O次元:開放性(知性)
好奇心の強さにほぼ同じ。


A次元:協調性
愛着性。寂しがりや傾向。人間的な温かみ、と言い換えられるかも。


C次元:誠実性
この傾向が高い人はアリ。低い人はキリギリス。


開放性

 これら五つの中で、僕が最も注目しているものはO次元:開放性だ。人間観察が趣味である僕は、中高時代の濃密な関係性を通して、いったいどのような人が「頭がいい」感じがするのか、を分析して行った。その結果、好奇心が強い人に対して、僕は「こいつは頭がいい」という印象を受けることがわかった。(そして、そういう奴らはその気になりさえすれば大抵の場合、短期間で成績を上げることができた。)しかし、それは開放性が「知性」と表現されることからも分かるように、実に当たり前のことだったのだ。

学校教育の落とし穴(かなり背伸びして書いていることは自覚している)

 開放性の低い人ほど、学校という閉じたシステムの中ではそこそこいい成績を上げてしまう、という落とし穴がある。なぜなら、彼らは閉じた世界の中で守られることを求めているし、そうした保護は従属によって与えられるからだ。そんなふうに過ごすうちに、そこそこ勉強のできるガリ勉優等生が出来上がってしまう。品行方正な彼らは自分のことを「優秀である」と誤解しているが、それはすぐに破綻する。驚くべきことに、受験勉強という狭い世界における競争においてすら、彼らの「優秀である」という自覚はいともたやすく打ち砕かれてしまう。一日十時間以上も机に向かって勉強しているのに、成績が大して伸びなかった同級生を僕は3ダースくらい知っている。

自分はどうなのか

 せっかくなので僕は遺伝子検査を行った。これら五つの因子と遺伝子に関わる研究は今、まさに発展している最中にある。それぞれの因子において異なった値を示すものの、大まかに半分程度は遺伝的要因でこれらの性格特性が決まる、と現時点では考えられているようだ。

 さて、その結果、僕は五つの因子全てにおいて標準よりも高い傾向を示す遺伝子を持っていることが分かった。特に協調性と開放性が高い値を示していた。

 かくして、僕がどういう気質を持った人間であるかが分かった。僕はタフな人間を装っているが、実際のメンタルはガラス。その気になれば人当たり良く振る舞える上に、ウサギのように寂しがり屋でもあるのだが、なぜか一人でいることを選んでいる。猫のように好奇心が強く、そのために何度か痛い目に遭ってきた。自分のことを不誠実な人間だと思い込んでいたが、それは誠実な人間こそ、自らに厳し目の評価を下してしまうという種類の誤謬の為せる技なのかもしれない。

結論:僕はもう少し友達を増やす努力をした方が幸せになれそうだ。ただし、10年くらい前からそんなことは知っていた。

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