50年前のきょう、カープを揺るがす事件が起きた。球審がボールと判定した1球にルーツ監督が猛抗議。なだめに来た球団代表に辞意を伝え、球場を去った。3年連続最下位からの逆襲を託されて、わずか15試合目だった▲先日の本紙連載で背景を知った。苦手な打者で四球もやむなしと、捕手は外角のボールゾーンに構えた。投球もぴたりとそこへ。意図を知らぬベンチからはストライクにしか見えない。「審判に軽んじられている」。監督のかねての不満が爆発した▲負の要素や掛け違いが重なると、時に深刻な事態を招く。就職氷河期世代が典型だろう。石破茂首相は支援を強めるよう、おととい閣僚に指示した▲今の何倍も厳しい受験や就職競争にさらされ「代わりはいくらでもいる」と軽んじられた世代。給料は抑えられ、今も非正規で働く人は多い。新卒者を「雇用の調整弁」にした政治や世代の責任はどこへ。大勢が貧困や低年金にあえぐ未来が近づく▲半世紀前の赤ヘルは旋風を起こし、初優勝を飾った。支援が要る氷河期世代は約80万人。人手が細る今こそ、社会の担い手として活躍できる場や待遇を全力で整える時だろう。逆襲を諦めるにはまだ早い。