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ジェットスターのCA賃金減額は無効、1200万円支払い命令 東京地裁

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格安航空会社(LCC)のジェットスター・ジャパンの客室乗務員(CA)らが同社に対し一方的に労働条件を変更して賃金を減額したのは違法だとして未払い賃金の支払いを求めた訴訟の判決が11日、東京地裁であった。中野哲美裁判長は変更の合理性を認めず、原告15人への計約1212万円の支払いを命じた。

最高裁判例は労働者にとって重要な条件を同意なく不利益に変更する場合は「高度な必要性・合理性」を求めている。この日の判決もこうした枠組みにそって厳格な判断を示した形だ。

判決によると、同社は2020年に客室乗務員の役職手当を定額から勤務日数に応じて支払うよう変更。21年4月に基本給を時給制から固定給制に変更する新たな賃金規定を施行し、これまで支払われていた手当などは固定給に含まれるとして不支給とする内容となった。

原告らが同意しなかったところ、その後一方的に変更され、減給になったという。訴訟でジェットスター側は新たな賃金体系について、職責と業務内容に応じた処遇や公平性を考慮したなどと主張していた。

中野裁判長は判決理由で、新賃金体系では最大約10%、平均約6%の減額となり「(原告が)相応の不利益を受けている」と認定した。労働組合から反対意見が出ていたにもかかわらず、減額の根拠を示さず実質的に交渉をしなかったとし、「労働者の意見集約を怠ったまま新賃金体系を導入したと評価せざるを得ない」と批判した。

その上でジェットスター側の主張についても、役職が高いほど減額率が大きい傾向にあり、公平な評価と全く関係がないなどと指摘。「賃金減額をすべき高度な必要性や合理性は認められない」として労働条件変更を無効と結論づけた。

判決を受け、都内で会見した原告で客室乗務員の木本薫子さんは「公共の安全を守る職業だからこそ労働者が安心して働くことが大切だ。判決を会社は重く受け止める必要がある」と話した。

ジェットスターは「判決内容を精査して適切に対応する。今後もよりよい職場環境の実現に注力する」とコメントした。

ジェットスターを巡っては、客室乗務員らが労働基準法で定められた休憩時間が与えられていないとして損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁が4月、同社に計385万円の賠償と休憩時間の付与を命じた。同社は判決を不服として控訴している。

8月には客室乗務員ら22人が東京地裁に賃金体系を巡る同種訴訟を提起しており、今回の判決が後続訴訟にも影響を与える可能性がある。

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