人気バスケットボール漫画「スラムダンク」でも指折りの名シーンだろう。試合中にけがをし、監督からプレー断念を言い渡された高校1年の主人公。監督の人生で栄光時代はいつだったのかと問い、こう叫ぶ。オレは今なんだよ―と▲週刊少年ジャンプに載った30年ほど前、同世代として心を揺さぶられたのを思い出す。大会はインターハイで相手は日本一の強豪校。青春のきらめきを競う舞台が広島という設定だった▲現実世界でもきのう、広島でインターハイの総合開会式が催された。会場は、かの漫画の中でも開会式シーンが描かれた広島県立総合体育館。「聖地」の感慨を重ねて、わが子や教え子を見守った人たちも多いのでは▲陸上や剣道は広島、バスケは岡山と中国地方5県を中心に30競技がある。選手宣誓では広島の高校生アスリートが「戦後80年」「平和」をキーワードに、大舞台に立てる喜びと感謝を口にした。同世代に響いただろう▲栄光時代がいつかを即答できる人はうらやましいが、いつだって「今だ」と言い張るのも悪くない。熱戦を支える裏方も、声をからす観衆も。どうか多くの皆さんが今夏、中国地方で輝かしい時を満喫できますように。