債務残高が経済に悪影響を与える比率
2011年に発表された「Growth and Productivity: the role of Government Debt」では、155カ国の1970~2008年のデータを分析して、GDPに対する国の借金比率が90%を超えると、経済成長に悪影響が出るというエビデンスが提示されています。
2023年時点で普通国債の累積残高は、対GDP比258.2%であり、これはG7で最悪の水準となっている
ソブリンシーリング
日本国債の格付けは主要7カ国(G7)でイタリアに次いで低い。すぐに格下げになる可能性は乏しいが、ひとたび現実になれば邦銀や日本企業の資金調達コストが増し、経済活動に影響が及ぶことになる。
25年度予算案で国債の返済や利払いにあてる国債費は28兆円超に達し、社会保障費(約38兆円)に次ぐ歳出項目となっている。
国の格付けの引き下げは、日本の銀行や企業の格下げにつながる。企業格付けにはその国の政府の格付けを上回ることができない「ソブリンシーリング(天井)」という考え方があるためだ。
大手総合商社が海外で資金調達をする際に日本国債の格下げが足かせになる懸念が出始めている。
企業の格付けはその国の政府の格付けを上回ることができない「ソブリンシーリング」という考え方があるためだ。海外で事業を展開する企業が為替変動リスクを回避するには、海外での資金調達が有効とされる。財政再建の遅れが企業の競争力にも悪影響を与えかねない。
国債の格付け
一方で、海外格付会社は以下の点を日本の弱みと見ています。
巨額な政府債務、低い潜在成長率
国債と経済成長
- 国債はストック(量)です。
- 産業はストック(量)です。
- 特許、研究開発の成果、ノウハウは溜まっていきます。
- GDP(国内総生産)はフロー(一定期間の量)です。
- 毎年計測するのでフローです。
一時的にしかGDP(国内総生産)が上昇しない財政支出をすると、GDPに対しての債務残高が高くなります。・
- GDPは毎年、新しく計測するので貯まらないのに対して、債務残高はどんどん溜まっていきます。
付加価値の高い産業が発展する財政支出をすると、産業が毎年GDPを生み出すので、GDPに対しての債務残高は高くなりません。
- 債務残高が増えても、その分、産業がGDPを生み出すので、GDPに対しての債務残高は増えません。
積極財政を主張したケインズにおける賢い支出
賢い支出
経済学者のケインズの言葉。不況対策として財政支出を行う際は、将来的に利益・利便性を生み出すことが見込まれる事業・分野に対して選択的に行うことが望ましい、という意味で用いられる
乗数効果
生産者(企業や政府)が投資を増やす→国民所得が増加する→消費が増える→国民所得が増える→さらに消費が増える→さらに国民所得が増加する→さらに消費が増える→・・・という経済上の効果を意味する
例えば1兆円の公共事業を追加した場合と、1兆円の所得税の減税を行った場合を比較してみよう。
公的固定資本形成の乗数では、1年目1.19、2年目1.69、3年目2.05(名目ベース)[2]。仮に乗数を1.2とすれば名目GDPは9600億円増加することになる。
一方所得税を減税した場合には、多くの計量モデルに採用されている消費関数では短期的な限界消費性向は0.6~0.7程度
国際的な取引を考えない閉鎖経済では需要の拡大はそのまま国内生産の増加に繋がるが、国際貿易を考慮すると国内需要の増加分の一部は輸入の増加となって海外に流出してしまう。
日本の財政政策
支出を増やした場合でも、生産性の向上が狙いではなく、どちらかといえば既得権益を守ることにのみに注力していました。生産性の向上ができない企業でも生き残れるよう、需要創出のためだけに支出を繰り返していた
持続性のない需要の刺激策に終始してしまった
「生産的政府支出」とは民間企業の生産性に影響を与え、経済成長に貢献する支出を言います。その中には、インフラ投資や教育が含まれます。「非生産的政府支出」とは、簡単に言えば、社会保障費のような「移転的支出」を指します。
さらに議論を発展させた「The impact of productive and non-productive government expenditure on economic growth」という2018年に発表された論文では、59カ国の1993~2012年までのデータを検証しています。
この論文では、高所得経済の場合「非生産的政府支出」の構成比を1%ポイント下げて「生産的政府支出」を増やすと、経済成長率が0.05%上がる効果があることが確認されています。逆に、「非生産的政府支出」の比率が高くなることは、経済成長にマイナスの影響が出ることも明らかにされています。
日本では、国が負担する社会保障費の政府支出に占める比率が、1973年までは20%以下でした。1993年までは25%以下で推移していましたが、その後、大きく上がって2001年に初めて30%台にのり、2010年には初の40%台となりました。税金と別に企業と個人が納めている社会保障料まで入れると、移転的支出はもっと大きくなります。単純計算では、広義の政府支出の70%が移転的支出になっていると思います。
「非生産的政府支出」の比率が高所得経済の平均である39%を大きく上回る70%まで高まっているので、見た目の政府支出総額以上に、政府支出による経済成長要因が目減りしてしまっているのです。
日本の「生産的政府支出」はGDPに対して約10%しかなく、先進国平均の24.4%、途上国の20.3%に比べても大幅に低い水準です。これが日本の経済が成長しない原因の1つでしょう。
非生産的政府支出に頼り切った生活
時々会話に日本語を挟む郭氏は、日本各地に同年代の日本人の友達がいると話す。たとえば、千葉の九十九里浜では、一年中サーフィンをしている若者たちに出会い、友達になったという。
「彼らのライフスタイルは、週に4日はサーフィン、3日はアルバイトという感じです。結婚もせず子供も産まず、サーフィンのモーメント(一瞬)を享受しているだけ。日本は社会保障が非常に整っているので、その基礎のもとで非常に多くの自由を追求できます。ほとんどの国では望むべくもないことです」
学校の授業以外の勉強時間を比較すると、日本の子どもは11カ国中最も少ないことが分かりました。
https://gendai.media/articles/-/64758?page=2「アジアの中で日本は、最も大人が学んでいない※1」という調査結果があります。
400万人もの社内失業者が存在しており、2025年には500万人近くになる見通し
社内失業者の発生要因を伺うと、「該当社員の能力不足」(75%)が最多でした。