英紙が報じた「日本では異色の移民誘致を掲げる街」 海外人材を呼び寄せる「切実な理由」とは?
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海外からの移民が欧米諸国に比べて極めて少ない日本。そのなかで異色とも言える「移民誘致」を推し進めるのが静岡県の浜松市だ。 【画像】「ジブリ映画の1シーン」 米誌が報じる「ロボットと人が働く日本のファミレス」 英紙「フィナンシャル・タイムズ」は、日本の労働力不足や都市部への人口流出を解決しうるモデルとして浜松市に注目する。移民政策の効果、そして実際の移住者が語る「定住の障壁」とは何なのか?
日本のものづくりを象徴する街の「最大の悩み」
浜松市の中野祐介市長の最大の関心事は、日本有数の工業都市である同市が人手不足に陥るのをどう防ぐかだ。 人口77万人の浜松市は、世界に日本ブランドを印象付ける企業を数多く生み出している。ホンダは浜松市で創業し、スズキの本社もその数キロ先にある。ヤマハ、カワイ、ローランドといった企業は、浜松市をピアノ製造の国際的な中心地として確立させた。 しかし長年にわたり、浜松市の労働力減少は市と主要企業にとって深刻な課題であり、成長力を維持できるのかという懸念が強まっている。 中野は、日本がこれまで躊躇してきた移民の積極的な受け入れに、浜松市は踏み切る必要があったと語る。そして、それが日本のほかの都市にとってもモデルとなる可能性を示している。 また彼は、移民政策によって街の活力を高めると同時に、東京に流出した若者を呼び戻し、市内の企業の競争力も強めることができると考えている。 中野はこう述べる。 「人口減少は地域経済に甚大な損害を与えます。我々はこの問題に対処しようとしています。重要なのは、海外からどれだけ人材を呼び込めるか、そして人口減少をどれだけ緩やかにできるかです」
浜松市は「移民先進都市」だ
何も対策を打たなければ、浜松市は2040年までに人口が10%減少すると予測される。だが浜松のような地方都市が、より多くの移民を受け入れることができれば、それは出生率低下と労働力減少に直面する日本の多くの地域にとって解決策になりうる。 日本への移民数は大幅に増加しており、政府の発表によれば、2024年の外国人労働者数は200万人を超えた。日本の総人口のうち外国人が占める割合は約3%に達している。しかし、これは欧米諸国と比べるとはるかに低い水準だ。 浜松市では人口約77万人のうち約3万人が外国人で、その割合は約4%に上る。移民問題について研究する法政大学の佐藤成基教授はこう語る。 「浜松市は移民政策においてもっとも『先進的な都市』の一つです。もし同市が移民政策を本気で実施すれば、それは画期的なことです」 日本では珍しいケースだが、浜松市には過去にも移民の波があった。1970~80年代の日本の奇跡的な経済成長期には、自動車産業の下請け業務に従事する外国人労働者が、浜松市に数多く移住した。多くのブラジル人も移住し、市内のATMではポルトガル語サービスが提供されていたほどである。 しかし2008年の世界金融危機以降、その数は減少した。製造業界の大量失業を懸念した日本政府が、外国人労働者とその家族に帰国支援金を支給したからだ。
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