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検察に出頭しても、拒んでも逮捕の危機  絶体絶命の統一教会の韓鶴子総裁

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
韓国の統一教会が公開した特別メッセージを発表した日の韓鶴子総裁の映像(韓国統一教会配信)

 韓国統一教会の尹錫悦(ユン・ソクヨル)前政権への請託疑惑を追及している特別検察官チーム(特検)は統一教会の「教主」でもある韓鶴子(ハン・ハッジャ)「世界平和統一家庭連合」総裁に明日午前11時までに検察に出頭するよう命じていたが、韓総裁は健康問題を理由に11日は出頭には応じないようだ。

 理由としてはソウル市内の病院で9月4日に受けた心臓関連の施術から体調が回復していないことを挙げている。施術を受けた後、酸素飽和度が正常範囲を下回るなど健康状態が優れないというのが言い分のようだ。

 「特検」は当初、9月8日に検察に出頭するよう1週間前の9月1日に召喚状を通知していたが、韓総裁が9月3日に緊急入院したため仕方なく召喚日を11日に延期していた。

 「特検」は韓総裁が施術の翌日(5日)には退院していることから取り調べに支障はないとみて日を改めて再度、召喚することにしているが、それでも応じない場合は調査回避を目論んでいるとして裁判所に逮捕令状を請求することも検討している。

 これに対して容疑を全面否認している韓総裁は「検察の調査を回避するつもりはない」として特別検察官の「出張調査」か、書面回答を求めているが、「特権」は「特恵は与えない」として出頭を強く求めている。

 韓総裁には統一教会が尹前大統領の夫人、金建希(キム・ゴンヒ)氏に高価なネックレスやシャネルバッグなどのブランド品を渡し、見返りとして教団関連事業に便宜を図るよう働きかけた容疑の他に最大野党「国民の力」の前院内総務、権性東(クォン・ソンドン)議員に不正献金を行った政治資金法違反容疑など5つの容疑が掛けられている。

 全ての疑惑の中心人物である元教団No.2の尹英鎬(ユン・ヨンホ)前世界本部長がすでに逮捕され、検察に「韓総裁の指示でやった」と自供していることから「特検」は韓総裁の事情聴取は不可欠とみなし、検察への出頭を命じているが、参考人としてではなく、あくまで容疑者として追及する構えだ。「特検」としては「下手人」の尹前世界本部長を起訴した手前、「首謀者」の韓総裁をも起訴するのが既定方針となっている。

 「特検」は尹前世界本部長の他に教団との仲介役を果たした易者の全聖培(チョン・ソンベ)氏もすでに逮捕、起訴しているが、尹前政権の窓口となった権性東議員に対しても逮捕状を裁判所に請求している。

 国会議員の逮捕には国会の同意(出席議員の過半の賛成)が前提となるが、与党「共に民主党」が過半数を占めていることから権議員の逮捕同意案は明日には本会議で採決される見込みである。

 金建希夫人に贈賄したとされるネックレスやシャネルバッグなどの「証拠品」はまだ見つかってはないが、権議員に渡した1億ウォン(約1000万円)については金の受け渡しの現場に同席者がいたこともあって「特検」は権議員の逮捕に自信を深めている。

 「特検」は1億ウォンの受け渡しがあったのは韓国大統領選挙最中の2022年1月5日で、場所は国会に近い汝矣島の高級中華レストランと特定している。尹前世界本部長は当時、尹錫悦大統領候補陣営の選挙対策総括本部長だった権議員に「尹錫悦大統領候補のために使ってほしい」と1億ウォンを渡したとされている。

 権議員はその日に尹前世界本部長と会ったことも献金を受けたことも否認しているが,当日その場には教団系のメディア「セゲイルボ(世界日報)」の尹晶老(ユン·ジョンロ)副会長と赤十字社の会長が同席していたことがその後、明らかになった。

 二人とも「特検」に対して「途中で席を外していたので金が渡ったのかはかわからない」と口を揃えていたが、「特検」は尹前世界本部長が二人に「1億ウォンを渡した」と、メールで知らせていたことを把握しており、かなり裏を取っているようだ。

 「セゲイルボ」の尹晶老副会長は教団行事「ワールドサミット2022年」への尹錫悦大統領候補の出席の見返りとして教団ぐるみの選挙支援を約束した人物と目されている。実際に尹大統領候補は翌2月13日にロッテホテルで開かれた統一教会の「ワールドサミット2022年」行事に出席していた。

 当時、尹選挙キャンプでは教団関連行事への出席に慎重な意見もあったが、「統一教には300万の票がある」と言って強引に推し進めたのは他ならぬ権議員であったとされている。

 尹前世界本部長の供述によれば、権議員は2022年2月と3月にも加平の教団の総本山を訪ね、その都度金品の入ったショッピングバッグを韓総裁から渡されたとされるが、「特検」はバッグには5億ウォン入っていたとみている。

 この疑惑について権議員は「選挙対策総括本部長として一人でも多く、選挙支援を受けるため加平に行って、挨拶するのが何が問題なのだ。教祖なので深々と礼をするのは当然ではないか」と、教団を訪れたことは認めているものの「金品は貰っていない」と否定している。

 なお、統一教会は易者や権議員を通じて尹錫悦大統領夫妻に▲大統領就任式への招待▲カンボジアのメコン川開発(メコン平和公園開発)計画事業への支援▲朝鮮半島平和のため国連第5事務局のDMZ(非武装地帯)平和公園への誘致▲ニュースチャンネル「YTN」買収入札への参加▲教育部長官の統一教会関連行事への出席▲教団関係者の総選挙比例公認などを請託したとみられている。

(参考資料:統一教会の「韓国政界工作疑惑」を時系列で追う)

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ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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