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ギリシャを襲った資本移動規制ーー預金封鎖と経済活動の麻痺

そして2015年から2019年にかけて、ギリシャはアイスランドなどよりはるかに厳しい資本移動規制を実施せざるを得ない事態に陥りました(図表7-8)。

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ギリシャではもともと財政事情が悪く、2012年には3月と12月の2度にわたって国債の債務不履行を起こして、すでに外国の投資家等にかなりの負担を負わせていたため、国民は、国の財政運営が再び危うくなれば、今度は国内で、自分たちを対象に強烈な債務調整が行われるだろうということを自覚し、資金流出が加速し始めたからです。

規制が最も厳しかった資本移動規制の初期における、預金の引き出し規制の面をみると、預金者1人につき、1日当たり60ユーロ(当時の1ユーロ=135円で換算すると8100円相当)、1週間当たり420ユーロ(同5万6700円相当)しか引き出すことが許されなくなったのです。

食費の支出目的だけではありません。生活していくうえで必要なそれ以外のすべての支出、光熱費も子どもの教育費も、家賃の支払いも含めて、1週間当たり1人5万円強のなかで、国民全員が暮らしていかなければならなくなったのです。

こうやって預金の引き出し規制や預金封鎖が実施される場合、裕福な大口の預金者であろうが、ごく一般的な庶民であろうが、扱いは一緒、同列です。そうした制約のなかで各家庭が支出を切り詰めて暮らさざるを得なくなれば、当然ながら国全体の個人消費は縮小し、企業の側も商売を縮小せざるを得なくなります。資本移動規制の一環で、さらに、企業による国外との資金取引にも厳しい制限がかけられることになりました。

企業は資本移動規制実施当初の2ヵ月間においては、海外への送金は当局の認可を受けたうえで、1日当たりわずか10万ユーロ(同1350万円相当)までしかできませんでした。その後も国外の顧客1件、1営業日当たり35万ユーロ(同4725万円相当)超の海外送金には当局の認可を要するほか、それ未満の送金の場合にも銀行ごとに週当たりの上限が設けられ、自由な海外送金は不可能な状態にありました。

これではとても、外国相手に活発にビジネスを行って、稼ぐことなどできなくなってしまいます。国際金融市場での取引に参加することも無理でしょう。それは人々にとっても、国内での雇用の場が失われることを意味します。

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