46兆6967億円で前年度から3.7%増えた。人口1人当たりに換算すると37万3700円となる。
企業負担分も含めた保険料が50.0%で最も多い。国と地方を合わせた公費が37.9%、患者の窓口負担が11.6%となっている
公費の多くは借金だ。政府は医療費が40年度に70兆円ほどに膨らむとみる。
国民医療費の財源負担の内訳を見ると、約4割を公費(税金)、約5割を保険料、約1割をその他(患者負担など)により負担しています
高額療養費制度があるので、平均して1割負担になります。
高額療養費制度
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/mieruka_2021.pdf70歳以上の高齢者で年収156万〜370万円であれば、外来や入院を含めた毎月の自己負担額(世帯)の上限は5万7600円となる。また外来での個人の自己負担額が年間14万4000円を超えた場合は、超えた金額分が払い戻される
皆さんが病院の窓口で支払う金額(自己負担額)は、平均的には、受けた医療にかかった費用(医療費)の約15%です
公費でまかなわれる部分が約32%、保険料でまかなわれる部分が約53%となっています。
公費は税金です。
社会保険(医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険)の一つである医療保険は、本来であれば保険料だけで賄うべきなのですが、保険料が足らなさ過ぎて、税金が投入されています。
糖尿病
日本における糖尿病の患者数はおおよそ1,000万人いるとされており、糖尿病の可能性を否定できない予備軍も合わせると2,000万人にものぼると推計されています。つまり、日本の6人に1人が糖尿病患者とその予備軍であるということが言えます。
糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があり、そのほとんどが2型糖尿病です。2型糖尿病の発症には、運動不足や過食などの生活習慣や、インスリン抵抗性の原因になる肥満も関わっています。
腎臓病
https://president.jp/articles/-/96758日本の慢性腎臓病罹患率は成人全体で8人に1人ですが、80歳台では2人に1人と高齢になるに従って高くなります。
慢性腎臓病は、糖尿病、高血圧、喫煙、高尿酸血症など生活習慣と関連しており、その発症進展予防には食事管理、適度な運動、禁煙といった生活習慣の是正が大切です。
介護施設の利用者の80歳以上の寝たきり率は、介護制度が充実している北欧の国スウェーデンに比べ9.7倍、アメリカと比べても6.3倍。非常に高くなっています。
高齢者
日本中の病院の待合室には高齢者があふれ、中には待合室で社交に励む人もいる。毎日のようにいろんな病院を受診しては「どうせ“タダ”だから」と、「湿布がほしい」「ビタミン剤」「保湿剤」「目薬」とドラッグストアで購入可能な薬品を要求するケースも珍しくない。
しかも、せっかくもらった薬も「ちょっと飲んで(使って)残りは放置」となる場合もあり、訪問介護などで高齢者宅を訪れると「未使用薬品の山」を見かけることもあるという。そうした高齢者向けの「サービス」の原資は現役世代の社会保険料である。
東京薬科大学の益山光一教授が「“残薬”が1兆円程度あってもおかしくない」と高齢者宅にたまりにたまった未使用薬品がある可能性を指摘している。
高齢者全体の湿布や薬など使い(飲み)残しでそんな巨額の無駄を毎年出しているのだ。
賃金上昇が医療費に消える
大企業の従業員らが入る健康保険組合の平均保険料率は過去最高になった。
赤字の健保組合は全体の76%にあたる1043組合にのぼる。
社会保険
日本の制度では、医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5種類の社会保険制度がある。総税収に占める割合は41%で、日本は上位国の一つである
非生産的政府支出
「生産的政府支出」とは民間企業の生産性に影響を与え、経済成長に貢献する支出を言います。その中には、インフラ投資や教育が含まれます。「非生産的政府支出」とは、簡単に言えば、社会保障費のような「移転的支出」を指します。
さらに議論を発展させた「The impact of productive and non-productive government expenditure on economic growth」という2018年に発表された論文では、59カ国の1993~2012年までのデータを検証しています。
この論文では、高所得経済の場合「非生産的政府支出」の構成比を1%ポイント下げて「生産的政府支出」を増やすと、経済成長率が0.05%上がる効果があることが確認されています。逆に、「非生産的政府支出」の比率が高くなることは、経済成長にマイナスの影響が出ることも明らかにされています。
日本では、国が負担する社会保障費の政府支出に占める比率が、1973年までは20%以下でした。1993年までは25%以下で推移していましたが、その後、大きく上がって2001年に初めて30%台にのり、2010年には初の40%台となりました。税金と別に企業と個人が納めている社会保障料まで入れると、移転的支出はもっと大きくなります。単純計算では、広義の政府支出の70%が移転的支出になっていると思います。
「非生産的政府支出」の比率が高所得経済の平均である39%を大きく上回る70%まで高まっているので、見た目の政府支出総額以上に、政府支出による経済成長要因が目減りしてしまっているのです。
日本の「生産的政府支出」はGDPに対して約10%しかなく、先進国平均の24.4%、途上国の20.3%に比べても大幅に低い水準です。これが日本の経済が成長しない原因の1つでしょう。