メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

18 / 129
オープニング:5

(ケケッ! そうかそうか。そうだ、オレ様はウェンディゴだったな。感謝するぜニンゲン、オレ様にオレ様を思い出させてくれたことをよぉ!)

 

(それで? アンタはこのニンゲンに力を貸してくれるワケ? それがムリならせめてアタシが強くなるためのエサぐらいになりなさいよ)

 

(おぉ~怖ェ怖ェ! そんな脅さなくてもちゃんと協力してやるよ。実体化できるだけの力を取り戻すまでは、このニンゲンの意識の海を漂ってることしかできねぇが……その間、オマエにオレ様の『氷結』の力を貸してやるよ)

 

 

 てれってって~♪ ピクシーはブフの魔法を使えるようになった! え? それマ!? やるじゃないかウェンディゴいや本気で仲魔になってくれてありがとう! 

 これで相手の動きを封じることができる攻撃魔法が2属性から選べるようになる。いまのところジオが無効化されるようなことは無かったが、これから先も電撃だけで戦える保証なんて何処にもない。というか十中八九、いつかは吸収や反射をされることだろう。

 

 しかし。力の一部を、というかスキルを貸し出す。そういうのもあるのか! と目から鱗が落ちる気分だ。ペルソナのスキルカードに近いのかな? 

 つまり闇属性や光属性に耐性がある悪魔と交渉できれば生き残れる確率もだいぶ違ってくるということだ。仲魔にできれば理想的だが、相手は悪魔だし敵対せずに済めばそれだけでも当たりと思おう。

 

 っと、そろそろふたりのところに戻らんとな。ここは戦場、お腹がピーちゃんとウソついての単独行動は普通に心配される案件だし。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 本日の稼ぎが確定し、マモルとホノカもMAG結晶体を砕いてレベルアップ完了。マモルは広範囲に衝撃を放つ『マハザン』を、ホノカは正面に強力な火炎を飛ばす『アギラオ』を使えるようになりました。

 いや~仲間が頼りになるって楽でいいね~。なんとなくふたりが習得する魔法のラインナップに対して、将来的というか潜在的な恐怖を感じないこともないけど。

 

 で。まぁ余裕があるうちに帰ろうかって話になったワケだが。

 

 

「ワリィな、マモル。オレひとりじゃどうしようもなくって困ってたんだ。アキラたちも手伝ってくれてありがとうな!」

 

「いえ、困ったときはお互い様ですよ。ちょうど僕たちは充分な量のMAG結晶体は確保して帰るところでしたし、さすがにこんな状態の仲間を放ってはおけません」

 

「俺たちも稼ぎは終わってたからな、気にすることはないさ。しかし……本当に反応がないな。なにかずっと呟いてるし、気絶してるワケじゃないんだろうけど」

 

 マモルの友人であるヨウイチなる少年に助けを乞われ案内された公園らしき跡地では、ふたりの女の子が地べたに正座して虚ろな表情でブツブツとなんか言い続けてる。

 周囲にいるのは俺たち以外の協力者か。男の子がひとりと女の子がふたり。なに? チーム管理も男女平等の精神で性別はバランスよく配置しようみたいなスタンスなの? 初対面でそんなチーム組まされたら気遣いだけで疲れそうなんだけど。

 

 なんでもふたりは最近MAG結晶体を吸収しても戦闘力が伸び悩んでいたらしい。魔法の力は使えるのだが、身体能力のほうが停滞してしまいヨモツイクサとの戦闘に不安を抱えていた。

 そんなあるとき。というかつい先ほどの出来事。丁型ヨモツイクサの中でもやや大きめの個体と戦闘になったのだが、何故か大した反撃も受けることなく倒すことに成功。いつものようにMAG結晶体を取り出したところ、普段採取している物と少し形状が違いキラキラしていたのだとか。

 

 これを砕いて吸収すればレベルアップできるのでは? と考え実行した結果がこれである。もう少し疑えよ、と言うのは簡単だがこんな世界だしなぁ。俺だって死にたくないという一心でMAG結晶体を食べたワケだし。

 

「リーダー。僕がひとり運びますので、ホノカさんと周囲の警戒をお願いしてもいいですか?」

 

「待てよマモル。こいつらはオレのチームなんだ、オレが責任を持って……」

 

「ヨウイチくん、顔色が悪いですよ。ふたりのために無茶をしているのでしょう? こんなときぐらいは周囲を頼ってください」

 

「マモルの言う通りだよ。ヨウイチは前の施設での貢献義務のときもそんな感じだったからな。ヒサメ、前衛を頼む。ヒナタは運搬役を、俺は後ろを警戒するとしよう」

 

 ふむ。ならば俺たちのチームはホノカに前衛を頼むとしよう。ピクシーさんのMAG探知能力を有効活用するなら、俺も後方警戒を担当したほうが全滅の危険性は下がるだろう。メガテンの奇襲はほんま……地獄やで? 

 

 

「アキラだ。マモルとヨウイチとは学校のときから一緒の、いわゆる幼馴染みってヤツさ。基地に配属されるときも運良く同じエリアでな、Dクラスとして奴らと戦っているときも何度も協力してたんだ。よろしくな!」

 

 我輩はFである。名前はまだない。

 

「……本当に名前を決めていなかったのか。いや、気持ちはわかるよ。俺もかなり悩んだからな。結局は前向きな漢字が使えるような名前ならいいやってアキラに決めちまったんだけどさ」

 

 いや、いい名前だと思うよ? 学園が舞台のファンタジーに登場する、なんか意志力の高い一匹狼系ヤンキーみたいでカッコいいじゃん。

 

 

 それにしても……女の子たちの独り言が止まらんな。背負って移動しているマモルとヒナタって女の子も大変だな。位置関係的にずっとそれ聞かされているワケだし。

 

 ……ふむ? こうなってくると、女の子たちの独り言の内容が気になるところでござるな。

 あまりプライベートな内容だった場合ちょっと気まずいが、運んでいるふたりの様子からしてたぶん大丈夫だろ。もしもまったく意味の繋がらない単語を垂れ流してるだけとかだったら、それはそれでホラーだが。

 

 どれ。聞き耳ロールッ! 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……てんに……いのりを…………ちに……うたを……せんねん…………つづく……おう……こく…………を……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 これいますぐ自分の鼓膜を自分でブチ破ったらワンチャン聞かなかったことにできねーかなー?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。