メガテニストはディストピアでもヘコたれない。 作:はめるん用
物理攻撃のスキルに『暴れまくり』というのがある。
作品によって微妙に効果が違ったり違わなかったりするが、だいたい序盤のほうで使えるようになる全体攻撃というイメージで合っている……ハズ。
なんかもう俺の中ではペルソナのレギオンが覚えるスキルみたいな感覚になってるけど。ちゃうねん、このスキルといえばこの悪魔この魔法ならこのペルソナみたいな雰囲気はプレイヤーなら誰にだってあるんだって。
早い段階で使えるようになる全体物理攻撃、しかしダメージが良くも悪くも不安定という玄人好みの性能故に評価の分かれる癖が強いスキルなのだが……。
実際に体験すると、簡単に死ねるね☆
うぉぉぉぉッ!? ただでさえデカイ図体で暴れられると厄介なのに、ゲームと違って破壊されたアレとかコレとかも飛んでくるから厄介過ぎるだろあっちゅッ!? 火の粉まで飛んでくるし的確に俺に当たるのなんであっちゅいッ!!
まさかこんなことになるなんて想像しなかったよ! そもそも敵の攻撃を避けながら射撃とかいうスタイリッシュガンアクションが成功するなんて思わないよ! こちとら前世はモデルガンすらほとんど触ったことのない戦いの素人(←クリーチャー相手に実戦経験12時間×360日×3年)なのに顔みたいな小さい的に当たるワケねぇだろ常識的に考えたらさぁッ!
スクカジャか? もしかしなくてもスクカジャの命中率アップ効果か? どんだけ優秀なんだスクカジャ。射撃武器との相性気持ち良すぎだろ!
もしくはピクシーの魔法センスが天才的なのかもしれん。さすがピクシー頼れる悪魔はお前がナンバーワンだ! 実は妖精じゃなくてその正体は地母神か女神だったりするのかしら?
(それほどでもあるけど余計なこと考えてないでいまは攻撃を避けることに集中してッ! あとチボシンってのはそうでもないけど、メガミって呼ばれるのはなんかよくわからないけどイヤッ!)
メンゴ☆
「くッ!? こいつ、的確にFさんだけを集中的に狙っている! ……まさか、彼が司令塔としての役割を果たしていることを察知して? クリーチャーにそんな判断ができるような知能があったなんて……ッ!」
むしろ怒りに狂って判断力は低下していると思うんですが。でも的確に俺を狙ってるのは確かだね、わかるよ当事者だもの。
くそッ。本音としては助けてほしいけど、こんな状態で合流しても被害が増えるだけだ。本音としてはマジで助けてほしいけど、ここはリスクを分散するためにもLくんには援護より攻撃を頼むほうが勝率は高まるだろう。本音としては心の底からいますぐ助けてほしいけど。
と、いうワケでLくんッ! 俺のことはいいから、ヤツの脇腹を狙ってくれッ! 魔法でも銃でもその辺の建築材でもなんでもいいから当てるんだッ! ただ接近戦は危ないから止めようねッ!
「え!? しかし──いえ、わかりましたッ! 僕も全力で戦いますから、Fさんもどうにか耐えてくださいッ!」
◇◆◇◆
「待たせたな、ふたりともッ! まだ生きているようでなによりだッ!」
「えぇ、おかげさまでッ! そちらも目的の物は見付けられたようで安心ですよッ!」
メイン火力きたッ! これで勝つるッ!
よく見たらCちゃんもあちこちボロボロで出血している箇所まであるじゃないか。俺もなりふり構わず飛んだり跳ねたり転がったりして汚れつちまつた悲しみ状態だが、血を流すほどのケガはギリしてないので危険な仕事を年下の女の子に押し付けた形になりますねゴメンなさいッ! ありがとうッ!!
さて、ここからが本番だ。道具を選んで使って終わり、なんて簡単な作業で終わるワケもなく、ブタ玉の傷口に火炎放射器の燃料ボンベをねじ込んで爆発させなければならない。
Lくんが器用に狙い撃ちしてくれたおかげで傷口は拡大し流れ出る体液の量は増えているが、ダメージそのものは少ないのか本体の動きが鈍っているようには見えない。
つまり、ここが切り札の使いどころさんってことだ。とあるアメフト漫画に登場したライバルキャラも言っていた。本当に必要となる場面でジョーカーを切らない指揮官は馬鹿だ、みたいなことを。
ピクシーさんや!
(ジオと違って一気にMAGを引っ張られるから、きっとニンゲンにはかなりキツいからねッ! 気合いでしっかり踏ん張りなさいよッ!)
気合いでなんとかなるなら大丈夫だろ。だって気合い出せばいいだけだべ? ……デカブツの動きを止めるぞッ! ふたりとも、離れてろッ!
(バカみたいにジタバタすることしかできないアンタに、正しいMAGの使い方を教えてあげるッ! ──ジオンガッ!!)
ジオの数倍は大きい雷撃がブタ玉の全身を貫く。純粋な攻撃力もかなり高いのだろう、あちこち皮膚の表面が弾けるように裂けて体液が吹き出している。
そして大本命の感電効果は……オッケーッ!
「まさかこれほどとは……ッ! 偶然に感謝だな、貴方が味方でよかったよ。Lッ! 貴方の衝撃の力で、爆風をヤツの内側に押し込めるかッ!?」
「やってみせましょうッ! そうでなければ彼に申し訳ありませんからねッ!」
「同意しようッ! ──さぁ、わざわざプレゼントするために持ってきたんだ、遠慮せずに受け取るがいいッ!」
おぉ~、2種類の魔法を使った合体技とはやるじゃないか。やはり火炎耐性があろうとも、身体の内側から焼かれたのでは無事では済まないらしい。
指向性が与えられたことで破壊力が倍増したのか、燃料ボンベの爆発はブタ玉の下半身を派手に吹き飛ばした。鼻の奥のほうが痛むような刺激臭がするが、まぁ腐蝕性のあるブレス吐き出すヤツだしなぁ。
……アレ? これ体液とか俺たちの身体にも確実に降りかかってるよね? そのわりにはピリピリしたりなんて感覚は全然ないけど。作業着も溶ける様子もないし。
いや、そんなことはどうでもいい。とにかく、これでヤツは動けなくなっているだろうし、煙で視界が遮られているいまのうちに今度こそ逃げて──。
「「やったかッ!?」」
キミたちさぁ。仲良しさんなのはいいことだし俺としても喜ばしいことだとは思うけど、だからってそんな呪われし4文字の禁句をハモることなくない?
仮にひとりぶんで5割のフラグが建築されるなら、ふたり合わせて実質10割になっちゃうじゃないか。困ったもんだぜ、ハッハッハッ!
ピクシーさん?
(……ダメージは、与えてるから)
んもぉぉぉぉッ!!