メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

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グルーピング:4

 ヒント、あったんだよなぁ……マガツカの悪魔召喚ばかりに気を取られて、すっかりその異常性について忘れていたわ。

 だけど引き返すにしてはタイミングが遅過ぎるし、そもそもタイムリミットがあるのに悠長に仕切り直しやってる場合でもない。

 

 

 魔神転生、始まりました。

 

 

 無秩序に徘徊していたはずのヨモツイクサが少人数の群れを作って配置されてんだけどぉ? 百歩譲って道路とか公園とかにいるヤツは偶然扱いできないこともないが、建物の中で待ち構えているのはどう考えても何者かの意図があるでしょ。

 それはそれで戦い易いし部下にとって良い経験にはなるんだが。演習の経験が活かされているのか、全方位を警戒しながら建物の中に配置されたグループを丁寧に処理する作業はなかなか順調だ。屋外と違って警戒するべき方向も絞れるからな。複数の部隊を同時展開していること、サマナー組はもちろんシキガミ組もお互いの位置をMAG反応で探れること、この両方が此方にとって有利に働いている。

 

 想定外ではあるが……これはむしろ、俺たちだけでなく本隊にとっても好都合かもしれんぞ? 動きに法則性があるなら対処法も少しは絞れるワケだし。

 

 但し。このヨモツイクサの動きを偶然でなく必然だと仮定するなら、マガツカは遮蔽物による視界の制限をヨモツイクサに指示を出すことでカバーしてきたということでもある。コイツぁ臭ェッ! 人為的な思惑の臭いがプンプンするぜェッ!

 

 

 いつもならメタ推理を始めて行動方針を設定する場面だが、いまは部下の動きに気を配らないといかん。

 

 まずはこの状況を逆手に取っての各個撃破、からのMAG結晶体からエネルギー吸収でレベルアップ。

 そして空き時間で久し振りのドロドロ携帯食料をグチグチ言いながらすする。

 まだ視線が通らないのか、ヨモツイクサの姿はいつもの出来損ないゾンビなのでデモニカスーツの装甲で簡単に受けられるから怪我人もいまのところゼロ。

 

 

 順調だな。

 

 だからこそ嫌な感じだ。どんどん思考が好戦的になって奥に進みたくなる。

 

 

 マガツカがこの先にあるかもしれないナニかを隠匿するため設置された防衛システムなんじゃないかと思っていたが、こうも戦闘本能を刺激されると逆だったかもしれねぇって気分にもなる。奥地へと人間を引き込むための……プレイヤーの動線を誘導するための中ボス的な存在である可能性が微粒子レベルで存在する? 

 あり得るだろ、相手が悪魔でも人間でもこのパターン。つまりはマガツカを踏破できるだけの能力だったりシキガミや仲魔のような特別な力を持っているヤツをお出迎えしたい存在が向こう側にいるっていう。おかしいな、俺の記憶には誰かにメノラーを押し付けられたイベントなんて欠片も存在しないんだけどフラグ管理バグった? そういうのはロマサガ学会の狂人たちの特権だろメガテンでやるなよメモリ破壊バグを壊れるのは東京=サンの役目でしょ。

 

 

 問→どうする? 

 

 答→どうしようもない。

 

 

 逃げられないのであれば、逃げない。毒入りのリンゴが用意されているなら、皮も種も皿までも喰らってなんぼ。どのみち強くならねば生き残れないのなら、別に────そのお膳立てに甘えてしまっても構わんのだろう? 敵の施しなんか受けない、なんてセリフを吐けるのは、ソイツが恐怖を感じるヒマもないほど追い込まれたことのないボウヤだからさ。

 

 

 ……む。この音と振動は。

 

 

「隊長、本隊側で砲撃支援が始まったようです」

 

「うわっ、想像より揺れるな……」

 

「これが地表で起きる地震、っていう現象なのかな」

 

「遠距離からの煙幕弾だったっけ? 例の攻略対象ってのに効果があればいいけど」

 

「とにかく、発炎筒による合図の準備を始めましょう。位置情報を伝えたら速やかに後退……でしたよね?」

 

 そうだ。

 

 その後、コロニーの全消灯時間まで待機。暗闇と煙幕の二重の壁を利用して浸透作戦を継続する流れになる。

 

「ここまででも結構な戦闘が続いたけど、数時間後にはいよいよマジで敵陣の中に突っ込むのか……ヨモツイクサどもの、巣の中に……ッ!」

 

 

 マガツカの姿も見えず、空間汚染も問題ナシ。ということでフェイスカバーが開いているのだが……そうだよなぁ、緊張するなってほうがムリだもんなぁ。こんな状況で平常心を保てるのなら誰も苦労しないって話だよ。殺して生きての戦争やってる自覚はきっとコイツらを助けてくれるとは思うが。

 なんにせよ後退だ。宇宙開拓時代でパワードスーツ的な装備を与えられているにも関わらず通信機器の自由が許されていないのだ、予定通りに行動しないとお互いの動きが見えなくて大変なことになる。目立った損傷は無くてもメンタルの消耗は大きいだろうしな。俺も含めて。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 迫撃砲? 曲射砲? 呼び方は知らないが、とにかくそういった感じの兵器による大型煙幕弾による防御効果はどんなものか。本隊側はマガツカと戦闘をしたのか、それとも部隊を展開するリソースとして使い切ったのか……派手な音は聞こえてこないが人間が携行できる武器なんてたかが知れてるし、本格的な戦闘が起きてたとしても距離と障害物は銃声を遮断するには充分な働きをしていることだろう。そもそも俺たちだって普通に銃使ってるから現場もうるさいしな。オカルトの力と科学の力、両方の武器を上手に使い分けることが肝要なのだ。

 

 それはそれとして貴重な休憩時間なんだし、気持ちを切り替えてしっかりと塩味と甘味のあるコーンスープを感謝と共に味わうとしよう。

 

 無事に全小隊が予定通りに合流できているし、時間もあるならまともな食事もできないことはないんだろうが、トイレのことを考えると飲食は最低限に切り詰めないと面倒になる。

 学校の訓練より厳しい条件なんだから食事ぐらいしっかり食べたいと愚痴る部下もいたが、カゲツ曹長から糞の最中に背中から襲われて死にたいのか? とニヤニヤしながら指摘されたことで確かにその通りでありますと態度を改めた。やっぱり素質というか、基本は優秀で素直なんだな。

 

 

 その素直さが仇だとなっているせいで俺もこんな無茶やってんだけどねッ!

 

 

 情報の共有はしないと言ってはいたが、マジな話隣の区画を本気で最初から見殺しにする前提でないならマガツカの情報ぐらい渡すよな? だって民間人が大勢いるんだよ? まさか……なぁ? ひとりの権力者がちょっと張り切り過ぎたからって、そんな……うん……その辺りの政治的な対立がどこまで深刻なのか知らないから匙加減がわかんねぇ。

 だけど情報を共有したら共有したでバカ正直に正面突破を試みそうなのがホント……帝国の侍として勇敢に戦えッ! とか、シキガミの力が有効なら恐れることはないッ! とか、そんなノリで鼓舞されたら素直に突撃しちゃうかもしれないと思うと……こう……マガツカがなにも知らないシキガミ使いたちを奥に引き込む“突破させるため”のエサとして存在するなら過去の二の舞いになる確率高いよな? 

 

 

 やっぱりアレかな。リンドウ様も含めての生け贄だったりすんのかね。女神転生に限らずとも、神話的オカルトはもちろん目的のためなら生命の冒涜すら必要な犠牲とする世界観では女性の生け贄なんて定番だもん。メインディッシュは紅葉の巫女、巻き込まれる学生たちは賑やかな前菜や付け合せ、ってコト? 

 

 ならば突破口はどんなシチュエーションが残っている? もしもこのコロニーそのものが生け贄を捧げるための祭壇として機能しているなら、何処かに儀式のために必要な回路のようなものがあってもおかしくないよな。

 それが全部人間の管理区域にあって黒幕側の人間が安全に確実にコントロールできる状態であればお手上げとなるが、だったらこんな大規模な茶番までやって隔離区域に生け贄を送り込む必要は無いはず。そこに、誰かが、直接行かなければならない理由がある……と、まだ希望が残ってくれるんだけどなぁ〜。

 

 

 実際、そーゆーギミック的なモノあんならワンチャン可能性あると思うんだよ。だってこっちにも紅葉の巫女いるし。マガツカを警戒するのと一緒になんかそれらしい建物でも無いか気を付けてみるか。敵地に乗り込んだら「どうしてこんな物がここにッ!?」みたいな発見したりって流れも定番だし、やってみる価値はありますぜッ! これで本当に誰かが先に待ち構えてたら笑えるな。




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