メガテニストはディストピアでもヘコたれない。   作:はめるん用

8 / 129
プロローグ:8

「仲裁、感謝する。私の名はC4267だ。クリーチャー駆除を初めてから2年と3ヶ月ほどになるだろうか。よろしく頼む」

 

「僕はL2299といいます。僕も彼女とほぼ同じ、国家貢献義務に従事するようになってから2年と半年ぐらいになります。これもなにかの縁です、一緒にコロニーを取り戻すために頑張りましょう!」

 

 ハッハッハ、おかしいな? なんで一緒に行動するみたいな流れになってんの? いや、言わんけどさ。そこは空気を読んで黙るけどさ。せっかく仲良くなれそうなところを邪魔はしないけどさぁ! 

 いや、まて。まだ慌てるような時間じゃない。もしかしたらメガテンじゃなくてペルソナ寄りの世界かもしれないし、それならこのまま精神的成長を続けて最終的には協力して巨大な神話クラスのボスキャラと戦うことになるハズだ。あれれ、それはそれで命の危険が危ないぞー? 

 

 

(うん、やっぱりこのニンゲンたちにアタシの姿は見えてないわ。もしかしたら気配も感じてないんじゃないかしら。アタシの身体はアンタのMAGを頼りに実体化してるから、こうして近くにいるとわからないのかもね)

 

 見えていないと確信しても声を出さずにテレパシーを送ってくれるピクシーさんは空気の読めるイイ女やでホンマに。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 今後のことを想像すると胃の辺りがキリキリと痛むような気がするものの、やはり3人で行動するとMAG結晶体を集めるのはかなり楽になる。

 ふたりとも2年以上クリーチャー狩りを続けているだけあって、間に合せの連携でも多少の数の不利など関係なくサクサク倒すことができるので稼ぎが捗ること捗ること。

 

 でもね、俺知ってるんだ。物事が予想外に順調なときって、まるで世界がバランスを求めるかのようにトラブルを押し付けてくるんだってことを。

 

「よし、僕もこれで今日のノルマは完了です。これからどうしますか? 僕は日用品などにまだ余裕があるので帰還しても構いませんが、おふたりがまだ討伐任務を続けるのでしたらお手伝いしますよ?」

 

「私も稼ぎは充分だな。せっかくの機会だし、貴方たちと狩りを続けるのも面白そうだとは思うがな。それならまた明日、万全の状態から協力して狩りを開始すればいいだけのことだ」

 

 コッチ見んな。俺に決定権を渡すんじゃねぇ。中身も外側もお前らよりは年上だけど、若手の自由意思を尊重するのも年長者の役目なんだよ。だからもっと自主性を発揮して、どうぞ。

 

 実際ちょっと困るんだよね~。稼ぎは続けたいけれど、まさかふたりの目の前でMAG結晶体を砕くワケにもいかないし。

 もちろん余剰分でお菓子を購入してピクシーと一緒に食べるのも悪くないんだけど、できればレベルアップを優先したいもんな~。

 

 今日のところは素直に帰るか? 俺も。いまはまだムリでも一緒に仕事をしているうちに色んなことを話せるぐらいに気を許せる関係になれるかもしれんし。

 まぁレベルアップ用に結晶体砕くにしても、トイレとか適当に理由をつけて別行動すれば問題なく──あ。

 

 なぁ、ピクシー? 

 

(気をつけてッ! さっきまで無かったのに、建物の中から急にMAG反応が出たよッ! それもかなりヤバそうなヤツッ!!)

 

 ですよね~。

 

 

 

 

 お前らッ!! 走れッ!! 

 

「え──うわッ!?」

「む──なにッ!?」

 

 

 

 

 だよね、急に走れって言われても困るよね! でも建物が崩壊して中からゾウさんよりおっきいクリーチャーが出てくれば話は別だよね! 

 

 状況の把握なんてどうでもいい、とにかく生き残るためにも逃げるんだよぉぉぉぉッ!!!! 

 

「おいッ! Fッ!! あの巨大な化け物はなんなんだッ!? 貴方はなにか知っているのかッ!?」

 

「いまはそんなことを聞いてる場合じゃありませんよッ!! アイツ、ほかのクリーチャーと違って動きが速いッ!!」

 

 わんわんたちは駆け足程度の速さでも余裕で引き離せるぐらい走るのがヘタっぴだったからね、それと比べると全力ダッシュでギリギリ逃げられるかどうかって相手は恐怖でしかないねぇ! 

 レベルアップで腕力や反応速度なんかはどんな状況でも必要になるからかそれなりに強化されているけど、走るスピードはそこまで意識したことないから普通にピンチだよ! 明日からは足腰もちゃんと鍛えよう、絶対に! 

 

 どうする? ジオの感電効果に期待して足止めするか? 

 

 いやダメだな、たぶん俺が足を止めたらふたりも逃げるのを躊躇う可能性がある。なんとなくわかるよ、こいつら俺に構わず先に逃げろって言っても聞き入れやしないってことぐらいは。

 だからここは全力逃走が大正解なのだ。ほかの誰がなんと言おうとこれが最適解。このまま拠点まで逃げ切ればまともな装備をした軍人さんが大勢いるんだから、連中に倒してもらうのが賢いやり方ってもんよ! 

 

 

 ……うん。自分で考えておいてなんだが、失敗臭プンプンするわ。

 

 

 軍人と未確認生物。軍人とクリーチャー。軍人とエイリアン。軍人と悪魔。並べてみてどうよこの芳ばしさ、筋肉モリモリのマッチョマンなイケメンでもいれば大活躍してくれそうではあるけど。

 しかもアレだわ。たしかにここで3人だけで相手をするよりは生き残れる確率は高くなるだろうが、大勢が見ている前で魔法を使うことになれば最悪マジで拘束されて研究所送りにされるかもしれない。

 

 死にたくないから逃げてるのに、逃げた先でも地獄の釜が蓋開けて待ってるとかマリオメーカーのクソコース並みに殺意高過ぎんだろ。なけるわ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。