「次の配当は死守する」はあっさり裏切られ… 配当ストップ「みんなで大家さん」の経営実態を物語る内部資料を見た関係者は「まともな数字とは思えない」
個人投資家から総額2000億円超を集めた不動産投資商品「みんなで大家さん」の配当がストップする事態となったことを本誌『週刊ポスト』前号(2025年8月29日発売号)で報じたが、騒動はさらに拡大した。配当が2か月連続で止まり、出資者の不安はピークに達している。
行政や金融機関は数年前から事業への疑念を抱いていたが、運営会社側はある資料を作って追及をかわそうとしていた──。この問題を追及してきたノンフィクション作家の森功氏が、内部資料に何が書かれていたのかを明らかにする。(文中敬称略)【全3回の第1回】
「成田以外の商品は分配」の不思議
ついに全部止まってしまった。みんなで大家さん販売が売りまくってきた不動産投資ファンド「シリーズ成田」の分配金(配当)である。シリーズの投資対象事業「共生日本ゲートウェイ成田」プロジェクト(PJ)への投資額は、およそ1500億円にのぼる。1号から18号まであるファンドのうち、まず奇数号の配当が7月末にストップし、残る偶数号の配当期日が8月29日だった。 みんなで大家さんを傘下に持つ共生バンクグループ代表の柳瀬健一(59)が「次の配当は死守する」と訴えてきたのは、前号で書いた通りだ。そんな投資家たちの淡い期待は、あっさり裏切られたと言うほかない。「やっぱり詐欺だったのか」とばかりに天を仰いでいる。 もっとも実のところ、シリーズ成田の配当ストップは予想できた事態でもある。むしろグループの関係者からは「成田以外の配当も止まる」とみられていた。出資者の一人が漏らす。 「月末が日曜日だったので、金曜日の29日が成田ほかの分配期日になりました。前日までシリーズ成田はもちろん、グループ投資商品すべての配当が止まると思っていました。それほど台所事情は火の車のはずです。ところが成田以外の商品は分配した。なぜか、いまだに不思議なくらいです」 たとえば三重県のテーマパーク「ともいきの国 伊勢忍者キングダム」のシリーズ伊勢6号と8号、鹿児島県の国産バナナ栽培「奄美青果熟成加工物流センター」のシリーズファーム6号なども、配当日を迎えていた。 シリーズ伊勢6号は2021年10月、シリーズファーム6号は2022年2月から運用が開始されたファンドだ。どちらもこれまで想定利回り7%、一口100万円あたり約9000円(税引後)を2か月ごとに配当してきた。もともとシリーズ成田に比べると、全体の投資額が小さい分、今回は辛うじて持ちこたえたのかもしれない。
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