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2025年9月10日水曜日

第4回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4613

第4回【狂える魔女のゴルジュ】ゲームブックリプレイ

※ここから先はゲームブック【狂える魔女のゴルジュ】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。また、大幅なアレンジが加えられている箇所がありますが、原作の選択肢をもとに構成しています。


ぜろです。
「狂える魔女のゴルジュ」リプレイです。
主人公ミナは、エルフ7姉妹の末妹。奴隷商人に売られた姉たちを探す旅を始めました。
旅の供は、禁断の、時を操る魔法の時計。
闇神オスクリードに見初められ、闇色の肌になってなお、目的を見失わない。
そんなミナの旅が、今、はじまります。
目的地は、「還らずの森」深くの吸血鬼の館。そこに双子の姉たちがいるはずです。
外縁の村では闇エルフ扱いで迫害を受け、情報収集もままなりませんでした。
今、ミナは、森の入口にいます。そこでねこ人の旅人に出会ったところ。この出会いはミナに何をもたらすのでしょうか。


【ミナ 体力点4/4 悪夢袋5/7】
金貨 7枚
歯車 0枚
<枝分かれの未来時計>選択のやり直しが可能。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<速撃の戦時計>超スピードで限界突破。
<時もどしの回復時計>時間を戻してダメージをなかったことに。


●アタック01-9 ねこ人との出会い

ボクは森の入口で小休止しようとして、同じ場所で暖を取る先客に出会った。
旅人装束に身を包んだその人物は、しかし人間ではなかった。顔が明らかに、ねこ。毛並みは黒。黒ねこだ。
ねこ人、と呼べばいいのかな。
ボクが初めて会う種族だった。

ボクは戸惑う。どう接すればいいのかな。
ねこ人の顔は、愛くるしく、かわいい。けど、ねこの顔だからかわいく見えるだけかもしれない。本質はわからない。

・ボラミーが仲間なら
・フェルが仲間なら
・いずれも仲間でないなら

ボクはまた、未来を思い出した。
ボクはここに、ボラミーと一緒に来たことがある。ボラミーでない、他の誰かを連れてきたことも。
ここに来るまでに、誰か仲間にできるんだ。
けど、今のボクはひとり。
大丈夫。ニナ姉と離れてから、ボクはひとりでやってきた。
この旅だって、ひとりで行けるさ。

ボクが逡巡しているのを見て、ねこ人は手招きをした。

「もうじき日が暮れる。寒い夜になる」

ぶっきらぼうだけど、やさしい口調だった。
ボクは少し警戒をゆるめて、ねこ人の焚火のそばへ寄った。

「ほら、温まるぞ」

ねこ人はボクに、串に刺したニンニクを差し出してきた。
ボクはねこ人のそんな態度に、また戸惑った。
さきの村人たちは、ボクの闇色の肌を見ただけで迫害してきた。あなたは、なんとも思わないの?

「肌の色がなんだと言うんだい。君は私を見ても、普通に近寄ってきたじゃないか」

ああ。そうか。
このねこ人もボクと同じだ。滅多に見ることのない希少な種族。
いつでもどこでも好奇の目にさらされ、いわれなき扱いを受けたこともあるはず。
なにも話さなくても、ボクの苦しみを根底で共有できている感じがした。

・ニンニクをねこ人から買いたい
・そうではない

ボクは、串焼きニンニクを受け取りながら、さらにニンニクを買わせてもらえないかともちかけた。
ニンニクが吸血鬼の弱点というのは、常識みたいなものだ。これから森に入るボクにとっては、死活問題だ。

今度は、ねこ人が少し戸惑った。

「私たちねこ人は、本来ニンニクを食べない。これは、吸血鬼から身を護るためなのだ」

まさにその通りだ。ボクも護身用に、そのニンニクが欲しい。
ねこ人は、少し思案して、ニンニクに値をつけることにした。
とはいえ、金貨で支払うのはあまりにも高値だ。そこで、金貨1枚の半分の値をつけることになった。
ボクは金貨1枚を支払い、銀貨で5枚のおつりをもらった。

その日はそこで、ねこ人とともに野営をした。
ねこ人と身体をくっつけ、とても暖かく眠ることができた。

翌朝、ボクはねこ人と別れ、森へと入っていった。


●アタック01-10 吸血鬼の森の初試練

森の中は、日中でも薄暗い。
木々の葉は濃緑色で、黒に近い。それがよりいっそう不気味な雰囲気をかもし出していた。
まるで、日の光を葉が吸収してしまっているようだ。

暗い森に、自然と警戒心が高まる。
森の動物たちは、基本的に人を避ける習性がある。必要以上に人間に近寄ろうとはしない。
動物たちが凶暴になるのは、テリトリーを侵されて気が立っている時や、子どもを連れていて防衛本能が強くなっている時だ。
だから、森の中とはいえ、道沿いは比較的安全に進むことができる。
動物の場合、鈴などを鳴らして「ここに人間がいますよ」と合図を送ることで、向こうから避けてもらう方法もある。
しかし、人間を捕食する魔物の類には通用しない。だから本当は、ひとりで森に踏み込むのは賢い選択とは言えない。
わかっては、いるんだけどね。

ガサガサと下生えが揺れる。
暗い茂みを割るように顔を出したのは、巨大なコウモリに見えた。サイズは小型のイノシシくらいはありそうだ。
顔の半分はあろうかという大きな広がった耳。めくれた鼻。口もとに大きな牙。つぶらで真っ赤な目。翼もあるようだ。
目の色と牙の特徴から、吸血鬼化した魔物だろうと思われた。この森は人間だけでなく、魔物も吸血鬼化しているというのか。
その吸血獣は、すぐには飛び出してこずに、茂みの中を移動しているようだ。

ボクが走り出すと、それを追うように茂み伝いに移動してきた。
この吸血獣、空も飛ばないし、ボクにすぐに飛びかかってくるわけでもない。
でも、完全にボクにターゲットを絞っている。

どうして茂みから茂みに移動するなんてまどろっこしい真似を?

ボクは、ある可能性を思いついた。
吸血鬼は、太陽の光が弱点。この吸血獣も、そこは共通しているのではないか。
だから、影が多くなる、襲いやすい場所を狙っているのではないか。

それならばと、ボクは広めの場所を見つけると立ち止まる。
周辺の木々も少なく、直接陽光が当たる場所。ここで迎撃しよう。

ところがそのタイミングで、雲が太陽を覆い始めたではないか。
すぐに光がかげり始める。すぐに次の行動を起こさなければならない。

・武器を構えて吸血獣を迎え撃つ
・<速撃の戦時計>を使う
・急ぎ足で逃げる

また、ここでは<うたかたの齢時計>の針がぴくぴくと動いている。
使われたがっているのかな?
でも、今ボクの年齢を変えることに、何の意味があるのだろう。
老婆になったら、捕食対象じゃなくなるなんてこと、あるとは思えない。

となると、やっぱり<速撃の戦時計>の出番かな。
これで3回目。大活躍だ。最初に修理する時計にこれを選んで良かった。

悪夢袋が1つしぼむと、戦時計の針が高速で動き出す。
それにともない、ボクの速度も上がる。

・剣で戦う
・ナイフで戦う

剣とナイフっていうと、剣の方が優れているように見えるけれど、実は違う。
ボクが知っている未来で、ボクが使っているナイフは、銀のナイフ。
吸血鬼の弱点である、銀製品のナイフだ。
選択肢では、それがわからないようにぼかして書いてある。
でもボクは、銀のナイフを持っていない。ここまでで、手に入れることができなかった。

戦うのは、剣でだ。

ボクは茂みに突進すると、素早い動きで吸血獣の首もとに剣を突き立てた。
たしかな、なんともいえない嫌な手ごたえを感じる。命を断ち切る感覚があった。

しかしそれでも、吸血獣はひるまなかった。
身をよじり、剣から離れると、首の傷がみるみる治ってゆく。
吸血鬼の不死性を受け継いでいるのだ。

ボクは、そのありえない光景にあっけにとられ、わずかに動きを止めてしまった。
そこに吸血獣がかぎ爪を振るう。ボクは転がって避けたが、額に熱さを感じた。
切られた。
垂れてきた血で視界の半分が赤くなる。
これは体力点に1点のダメージとなる。

無様に転がるボクに、吸血獣は覆いかぶさるようにしてきた。
押さえつけられては、<速撃の戦時計>の素早さも発揮できない。力では敵わない。
ボクに突き立てようとする牙が、太陽の光を反射してきらめく。

その瞬間、吸血獣は金切声を上げながら、霧と化して消えていった。
吸血獣は、ボクの血を吸うことに夢中になりすぎて、気づいていなかったのだ。
すでに茂みから飛び出していたこと、そして、雲間から太陽が顔を出していたことに。

太陽が出たのは幸運だった。でなければ、今ごろボクは……。
ボクはゆっくりと起き上がると、大きく息を吐いた。


●アタック01-11 運命の分岐点

吸血鬼の棲む森と聞いていたけれど、森の中に吸血鬼と化した魔物がいるとまでは思っていなかった。
これはこの森は、思った以上に吸血鬼の支配が及んでいるのかもしれない。
吸血鬼って、相手の血を吸うと、吸われた方も吸血鬼になっちゃうんだっけ?
だとしたらオリジナルの吸血鬼は、よくあんな魔物の血を吸う気になるな、などと、変なことを考えて気を紛らわす。

かぎ爪で額を切っただけだから、多分ボクは大丈夫。吸血鬼になったりはしないはず。
額の傷は出血が多い割には、大したことはない。軽く止血すると、視界の赤色も消えて良好になった。
まだ、<時もどしの回復時計>を使う必要はないだろうと判断する。そもそもあれは、時を選ぶ。日の出の時しか使えない。

これで、この森の中を進むことが、いかに危険なことなのか、実感することとなった。
この先にも似たような吸血生物がいないとも限らないわけだ。

森の小道はやがて、分岐点に至った。
ボクは、右の道が闇エルフの里に続いていて、左の道が吸血鬼の館に通じていることを、「覚えて」いた。
吸血鬼の館への道の途中には、「時計塔」と呼ばれる塔があったはずだ。
まただ。未来の記憶は、完全に過去の記憶と同じ感覚で思い出す。それがなぜなのか、ボクにはわからない。

あと、これは余談になるけれど、ここの原文はボクに仲間がいる前提となっていて、仲間が全部説明してくれている。
ボクはこのとおり、ここにひとり旅で訪れる可能性もあるから、ここは完全に原文のミスだ。

分岐点を前に、ボクはどちらに進むか思案する。

・闇エルフの里に向かう
・時計塔に挑む
・どちらも避ける

闇エルフの隠れ里は、かなりの警戒が必要だろうと思う。
ボクが暮らしていたサン・サレンのエルフの隠れ里も、よそ者にはかなり冷たかった。
それが闇エルフとなればなおさらだ。
ボクが闇エルフのように見えるだけの普通のエルフだなんてことがバレたら、生きて帰れないだろう。
でも。
エナ姉とティナ姉をこの森に連れて来たのは、闇エルフの一団だった。
もしかしたら、この隠れ里に立ち寄ったかもしれない。
時の魔法の力を駆使することで、なんとか情報だけでも引き出せないだろうか。

森の中の時計塔。これは今のボクにとっては、非常に魅力的な場所だ。
もしかしたら、時の魔法に、なんらかの機械的なアプローチができる可能性がある。
新しい歯車が見つかるかもしれない期待に胸がはずむ。

どちらも避けるというのは、ローズ家の館に直行するということだろう。
スピードを重視するのなら、この選択にも意味はある。
エナ姉とティナ姉が今、吸血鬼の館でどんな扱いを受けているのかを想像するだけでも、早く行かなければ、という焦りは止まらない。

暗い木々は、そんなボクの迷いを嘲笑うかのように風にざわめく。何を選んでも不安はつきまとう。

ボクは、闇エルフの隠れ里に行ってみることにした。
そちらの道は隠れ里まで通じているということは、一度行っても戻ってくるということだ。
ボクは迅速さよりも、情報量の多さを選んだ。闇エルフの隠れ里にも時計塔にも、両方行っておこうという腹づもりだ。

闇エルフの隠れ里に向かう。
<枝分かれの未来時計>が動きたがっている。
まるで長針と短針が、右回りと左回り、それぞれ違う方向に回ろうとしているようだ。
時がどちらに進もうか決めかねているみたい。

<枝分かれの未来時計>の背景には、互いに別方向を指す双子が描かれている。
針は、木の枝を模した形をしている。
この時計は、時を巻き戻し、重要な選択をやり直させてくれる。
普段はまったく動かないし、ボクが使おうとしても反応しない気まぐれな時計だ。
だけど、使える場面が来ると、こうやって小さく震え始める。
ボクは<枝分かれの未来時計>をそっと握りしめた。
闇エルフの隠れ里では、キミの力が頼りだ。

やがて、黒く塗られた家屋が木々の上に建てられた、不気味な集落が見えてきた。
間違いない。ここが闇エルフの隠れ里なのだろう。
家へは、木に直接刻み目をつけた階段で登れるようになっている。
生きている木に直接階段を刻んで傷つけるなんてひどい。
ボクたちエルフは、切り倒した樹木は有効に活用するけど、こんなむごい真似はしない。
これだけでも、闇エルフとエルフの文化的背景の違いがよく理解できた。

・侵入する
・入り口付近で村人を待ち、話しかける

どうしようかな。
友好的に行くのなら、村人を待って話しかける一択だ。
けれどそれは、ボクが闇エルフのふりをし続けるということでもある。
よそ者を受け入れる余地のない排他的な村なのは、最初からわかっているからだ。
たった今、ボクの感性と闇エルフの感性の際立った違いに気づいたところだ。不安しか感じない。

と言っても、侵入するというのは得策には思えない。
見つからないように侵入しても、誰かの会話を盗み聞きするくらいしかできないだろう。
隠れ里の日常生活の中、そんな都合よく、ボクの求める話をしている闇エルフがいるとは思えない。

そう考えたら、ボクの答えはもう決まっているようなものだった。
ボクは入り口付近で村人を待つことにした。

次回、闇エルフの隠れ里でボクに迫る危機


【ミナ 体力点4→3/4 悪夢袋5→4/7】
金貨 7枚→6枚
銀貨 0枚→5枚
歯車 0枚
・ニンニク
<枝分かれの未来時計>選択のやり直しが可能。
<うたかたの齢時計>一時的に年齢を変えられる。
<跳兎の懐中時計>一時的に過去に行ける。
<速撃の戦時計>超スピードで限界突破。
<時もどしの回復時計>時間を戻してダメージをなかったことに。


■登場人物
ミナ・ガーデンハート 主人公。双子の姉を助けるため、時を操る魔法を手に、還らずの森へと踏み込む。
エナとティナ ミナの双子の姉。ミナの双子の姉たち。還らずの森の吸血鬼の貴族に売られたという情報が。
ニナ・ガーデンハート ミナの長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
モータス教授 魔法学校のミナの先生だった人物。禁断の時を操る魔法を開発する。
ボラミー 森の外縁の村にいた女剣士。確かな腕前を持つ。
ねこ人 黒ねこ人。宅急便かな?
オスクリード 闇神。魔法の時計を動かすには、オスクリードの加護が必要となる。


■作品情報
作品名:狂える魔女のゴルジュ
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/4897513


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