幼馴染への束縛が強め(になる)ヘルタと幼馴染


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作:ヘルタファンクラブ永遠の最後尾
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第三話


『……もしもし?』

「あ〜、俺だ。ネルトだ」

 

一度も名乗っていなかったが、俺はネルト。

なんでも、ヘルタと同じ意味が込められた名前らしいが、詳しいことは家族は教えてくれなかった。

通話越しのヘルタはなんとも上機嫌な雰囲気だ。

 

『ん、待ってた。最近はどう?そろそろ私が恋しくなってきた?』

「……そうだな。全くないって言ったら嘘になる。けど、まだ旅は続けるよ」

 

そう言うと、彼女はしばらくの間黙ってしまった。

その後は、少しだけ世間話をして俺は通話を切った。

最近の彼女はシグマ粒子とかいうものを研究しているらしい。

相変わらず天才の研究内容は端っこくらいしかわからない。

 

あれから少し経って、俺は仙舟でしばらく過ごすことにした。

次の旅先を考えながら、この仙舟を楽しむべくホテルを取り宿泊していたある日

 

「……ネルトさん?あなたに荷物が」

「……荷物?」

 

注文した覚えのない荷物を差し出された。

それは、幅は人の両手より少し大きい大きさで、正方形の箱だった。

 

「……なんだこれ?不審物だったら、所有者が俺じゃないってアリバイが欲しいので、ここで開けていいですか?」

「はい、わかりました」

 

俺はホテルの管理者の目の前で箱を開ける。

すると中には……

 

「く、首ぃっ!?」

 

ホテルの管理者さんは悲鳴を上げたが、俺はこの顔に見覚えがあった。

箱から取り出すと、それは目を開いた。

 

「ひぃぃぃっ!!怨霊!?」

「……なに?接続した途端に悲鳴なんて、嫌がらせ?」

「……少し待ってくれ、この人に説明しないと」

 

俺は怯える管理者さんに、この首が地元の発明家の似姿であることと、おそらく遠隔通信機能を備えた発明品であることを伝え、怨霊じゃないと説得して、生首じみたそれを部屋に持ち帰った。

 

「……で?さっきの嫌がらせはなんだったの?」

「一緒に見たひとが怯えて叫んだんだよ。生首(こんなもの)を送りつけるお前が悪いだろ……」

「生首じゃない、遠隔操作式ヘルタ人形プロトタイプ」

「……なんで首だけなんだ……?」

「輸送時の衝撃を考えると、全身をいきなり送るのは現実的じゃなかったの。だから、これから何回かに分けてパーツを送るからそっちで組み立てて。私の手伝いをしてたんだし、それくらいはできるでしょ?」

 

そう聞いた瞬間、俺の脳裏に一つのタイトルが浮かんだ。

だめだ、言ってはいけない、その単語は確実に彼女を怒らせる。

しかし、思いついてしまった瞬間、その言葉が脳裏から離れず笑いを誘う。

 

「何笑ってるの?」

「……いやっ、なんでもないっ……」

「怒らないから、言って」

「…………ぐふっ、ふふふ」

「隠し事されるのはイヤ。言って」

「…………『ディアゴ○ティーニ ヘルタをつくる』創刊号は……頭…っは、はははっ!」

「ちょっと!」

 

その後、なぜかヘルタは俺が笑い終わるまで、接続を切らずに待っていた。

 

「やっと治まった?」

「いや、ごめん。思いついちゃったらもう面白くて……ははは」

「じゃあ、そのホテルで二年くらい組み立てを続けてみる?もちろん有料で」

「ごめんって」

「まぁいいや、二月号は近々送るから、サボらず組み立ててね。あなただけに、半年で全号特別配送するんだから」

 

そう言うと、ヘルタの首はうんともすんとも言わなくなった。

どうやら接続を切ったらしい。それにしても、何故俺のところに遠隔人形のプロトタイプなんて送ってくるのだろうか?疑問に思いながらその日はそのまま眠ることにした。

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