アメリカの下院監視委員会は9月8日、 トランプ大統領が性的人身売買の容疑で起訴されたジェフリー・エプスタイン元被告に2003年に送ったとされる「バースデーブック」を入手したと発表した。
バースデーブックには、トランプ氏がエプスタイン元被告の誕生日を祝うメッセージが含まれており、委員会の民主党議員はこのカードの画像を公開した。
公開されたカードには女性の体の輪郭が描かれていて、「ドナルド」と「ジェフリー」が対話する形でメッセージがつづられている。
メッセージの中でトランプ氏は「我々には共通点がある」と発言しており、文末には「誕生日おめでとう——これからも毎日が素晴らしい秘密とともにありますように」というコメントが書かれている。
ウォールストリートジャーナルは7月に、このバースデーカードの存在を最初に報じた。同紙は、メッセージの内容は「わいせつ」で、「陰毛を真似た」署名が書かれていたと伝えていた。
トランプ氏はこの報道を強く否定し、「私は人生で一度も絵を描いたことがない。女性の絵なんて描かない」と主張。ウォールストリートジャーナルに対して、少なくとも100億ドルの損害賠償を求める訴訟を起こした。
しかし、トランプ氏が過去に絵を描いていたことはよく知られており、同氏のスケッチがオークションで取引されたこともある。
下院監視委員会の民主党委員長ロバート・ガルシア議員は「監視委員会は、大統領が存在しないと言っていたメモを含む、悪名高い『バースデーブック』を入手しました」と9月8日の声明で述べている。
「大統領は、自身が知っている真実を語り、エプスタイン関連のすべてのファイルを公開すべき時です。アメリカ国民は説明を求めています」
ホワイトハウスは偽物だと主張
一方ホワイトハウスは、下院監視委員会が8日に公表した文書は偽物だと主張している。
ホワイトハウスのテイラー・ブドウィッチ副首席補佐官は、トランプ氏が最近の公文書に記したサインの画像をXに掲載して、「これは彼の署名ではない。名誉毀損だ!」と書き込んだ。
ブドウィッチ氏はトランプ氏の公文書の署名とは一致しないと主張しているが、トランプ氏が過去に書いていたファーストネームだけの署名には似ているようにも見える。
また、キャロライン・レヴィット報道官も「トランプ大統領がこの絵を描いておらず、署名していないことは明らかです。トランプ大統領の弁護団は、今後も積極的に訴訟を進めていきます」とXに投稿した。ただし、絵を描いていない断定できる理由については説明していない。
トランプ氏とエプスタイン元被告の関係
トランプ氏とエプスタイン元被告は2004年に関係が悪化するまで、長年友人関係にあった。
トランプ氏は過去にエプスタイン元被告を称賛しており、2002年には「彼と一緒にいるととても楽しい。私と同じように美しい女性が好きだと言われているし、その多くがかなり若い。間違いなく、ジェフリーは社会生活を楽しんでいる」とニューヨークマガジンに語っている。
エプスタイン元被告は2006年に州の売春容疑で逮捕され、性的人身売買容疑で勾留中だった2019年に死亡した。
エプスタイン元被告と共犯者のギレーヌ・マクスウェル受刑者(懲役20年の刑で服役中)は、何百人もの若い女性を手なずけ、虐待したとされる。中には14歳の少女をマッサージ係として勧誘したケースもあった。
エプスタイン元被告はトランプ氏以外にも多くの富豪や著名人との交友関係があり、「エプスタインの犯罪に他の著名人が関与している証拠を政府は隠蔽しているのではないか」と主張する陰謀論者もいる。
過去にエプスタイン文書を公開するしていたトランプ政権が、その約束を実現していないことは、右派からも反発を招いてきた。
バースデーブックは、エプスタインの遺産管理団体が、下院監視委員会の共和党委員長ジェームズ・コマー議員による召喚状に応じる形で提出した。
コマー氏は、民主党と協力してエプスタイン事件に関する召喚状を発行した。委員会は、司法省が保有するエプスタイン関連資料の一部も入手、公開したものの、民主党は「司法省は信用できない」と主張している。
委員会とは別に、共和党のトーマス・マッシー議員を中心とした超党派の下院議員グループが、エプスタイン文書の公開を義務づける法案を下院で採決させようとしている。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。