欧州連合(EU)最大の工業国ドイツで、人手不足が深刻になっている。特にドイツ経済の屋台骨である工業の熟練労働者が足りなくなり、産業界からは「このままでは先進工業国の地位を滑り落ちる」という危機感が強まっている。企業立地の場としては、すでに世界の企業経営者たちから「アジアに比べて魅力がない」という指摘も増えている。
ドイツ経済の磁力が失われていく中で、極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)のような排外主義勢力が伸びていることも、海外の優秀な人材を遠ざける要因だ。就任したばかりのフリードリヒ・メルツ首相は、ドイツ人の考え方から変えていかねばならない。
「700万人」が埋まらない惨事
この国は、ふだんはニュースに乏しいが、数年~数十年に一度、たまりにたまったマグマが噴火するように、世界史に残るような激震を起こす。ベルリンの壁崩壊(1989年)や移民大流入(2015年)はその好例だ。
今では、次なる激震の予兆がはっきりしている。それはドイツ経済の慢性的な労働力不足だ。ドイツの「労働市場・職業研究所」のまとめでは、向こう10年で700万人、人口比で8%超もの人員不足が生じるのだ。
ドイツでは現在でも670万人の移民労働
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