衰退するネカフェ業界で…なぜ「快活CLUB」だけが無双?折れずに貫いた“ある戦略”
快活CLUBが“無双”できたワケ
漫画・ネット・ソフトドリンクなどの設備は、複合カフェでも導入しており特別な設備ではない。業界が苦戦する中でなぜ、快活CLUBが成長できたのか。それは、ひとえに「店を清潔に保つ」「漫画の最新作をそろえる」といった”当たり前”のことを徹底的に実践しているためだ。 快活CLUBは全店直営で、安売りには走らず他社より高めの価格設定とした。「清潔感と安心感を大切にする」を掲げ、ロビーや共用部はほかの複合カフェよりも明るく、店員はビジネスホテルのフロントのような服装を着用している。清掃も行き届いており、清潔感を評価する意見も多い。セキュリティを心配する利用者を取り込むため、鍵付き完全個室の導入も進めた。 また、各店舗に置いている漫画をサイトで確認することもでき、新刊の入荷状況も公開している。パソコンは長く使う事業者で8年ごとの入れ替えだが、快活CLUBでは5~6年としており、コロナ禍では約8000台のPCを一気に入れ替えた。市場が停滞する中で、清潔感や設備に優れる快活CLUBに利用者が流れたと考えられる。
快活CLUBを運営するのは皆が知る「あの企業」
多店舗を直営で管理し、質を維持するのは簡単なことではない。快活CLUBがこうしたことを実践できるのは運営元が大手だからだ。快活CLUBを運営する快活フロンティアは、紳士服大手AOKIホールディングス(HD)の完全子会社である。 バブル以降、1世帯当たりのスーツ購入額が低下し続ける中、AOKIは98年からカラオケ事業や結婚式場事業を始め、多角化を進めてきた。2003年に始めた快活CLUBは急成長し、同事業を含むエンターテイメント事業の売上高は祖業のファッション事業に匹敵する規模となった。 エンターテイメント事業では2019年に24時間営業のセルフフィットネスジム「FiT24」を開店した。FiT24は現在、全国で約110店舗を展開し、快活CLUBとの併設店も見られる。22年には複合カフェ「自遊空間」を運営するランシステムを子会社化した。自遊空間は快活CLUBに次ぐ2位の規模で80店舗を展開しており、子会社化によって業界での寡占化が進んだ。 なお、快活CLUBは近年、都心や駅前など好立地への出店を強化しつつも不採算店の閉店を進めている。サービス面ではコスト削減のためトーストとポテトが食べ放題のモーニングを廃止し、シャワーも有料化した。 だが、強力なライバルがいないため、サービスの縮小は客離れにつながる可能性は低い。現にエンターテイメント事業の収益は改善している。ファッション事業の売上高は1,000億円で停滞しており、将来的にAOKIの主力事業は紳士服からエンターテイメントに変わるかもしれない。
執筆:山口 伸