女子選手の遺伝子検査義務化に賛否 「性別」暴く危うさ 世界陸上

世界陸連のセバスチャン・コー会長。世界選手権東京大会を前に女子選手への遺伝子検査導入を決めた=カタール・ドーハで2019年9月26日、久保玲撮影
世界陸連のセバスチャン・コー会長。世界選手権東京大会を前に女子選手への遺伝子検査導入を決めた=カタール・ドーハで2019年9月26日、久保玲撮影

 東京では1991年以来の開催となる陸上世界選手権が、13日に開幕する。今大会を前に世界陸連(WA)が導入を決めた女子選手への遺伝子検査について、賛否の声が出ている。【岩壁峻】

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検査対象は女子選手のみ

 検査の対象は、女子種目に出場する全選手で、世界選手権など世界ランキング対象の大会に出場するためには義務となる。検査は1回クリアすれば、大会ごとに受ける必要はない。また、男子選手は検査の対象外だ。

 検査は、Y染色体上のSRY遺伝子という「男性化」させる働きのある遺伝子の有無を口腔(こうくう)内か血液で調べ、生物学的に「女性」かを判定する。

 オリンピックでは96年アトランタ五輪まで約30年間、「性別確認検査」が続けられ、女性であることが確認された選手が出場を許可される時代があった。人権上の問題から、国際オリンピック委員会(IOC)は2000年までに全女子選手対象の性別確認を廃止した。

 しかし、最近は、性染色体が一般的な発達と異なる「性分化疾患」やトランスジェンダー選手の女子種目への参加について、議論を呼ぶ事態が起きている。

 21年の東京五輪の重量挙げでは、性別適合手術を受けたニュージーランドの代表選手が、五輪史上初めてトランスジェンダー選手として女子種目に出場したが、「不公平」と批判の声が出た。

 昨年のパリ五輪のボクシング女子では、前年の世界選手権の性別検査で「失格」とされた2人の選手が優勝。対戦相手が棄権したこともあり、中傷を受けた。

WAは「競技の公平性」最優先

 性の多様性を尊重しつつ、競技の公平性をいかに保つか。そのバランスは難しい。

 その中で、WAは競技の公平性を最優先とする立場を取ってきた。

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