アンソロピックのロゴ=ロイター

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 米国の作家3人が自身の書籍を生成AI(人工知能)の学習に無断利用されたとして、米新興AI企業アンソロピックを著作権侵害で訴えた訴訟で、アンソロピックは5日、3人を含む作家側に15億ドル(約2200億円)超を支払って和解することに同意した。

 発表によれば、著作権侵害訴訟の和解金額としては過去最大規模になるという。

 5日にカリフォルニア州の連邦地裁に提出された書面によれば、アンソロピックはAIの無断学習に使った海賊版の書籍約50万冊に対し、1冊あたり3000ドルを2年以内に支払う。海賊版の書籍のデータは破棄する。

 原告側弁護士は「この和解は、AI企業に著作権者への支払いを義務づける前例を打ち立てるものとなる」との声明を出した。アンソロピックは声明で「引き続き安全なAIシステムの開発に取り組む」としている。

 同地裁は6月、合法的に購入した書籍を生成AIの学習に無断使用したことは著作権侵害に当たらないが、インターネット上の海賊版サイトから無料でダウンロードした書籍の学習は著作権侵害に当たると判断した。

 米国では生成AIを巡って少なくとも約40件の訴訟が係争中とされ、この和解が他の訴訟に影響を与える可能性がある。(ニューヨーク支局 小林泰裕)