俳優でエッセイストや俳人としても活躍した吉行和子(よしゆき・かずこ)さんが2日、肺炎のため死去した。90歳。葬儀は近親者のみで執り行った。
東京都出身。昭和31年に劇団民芸「アンネの日記」の主役アンネ役でデビュー。44年からフリーになり、舞台、映画、テレビで活躍。40歳を超えて出演した大島渚監督の「愛の亡霊」(53年)では、本能をむき出しに生きる女を熱演、日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞した。近年は飾り気のないおっとりとした口ぶりの老女がはまり役で、山田洋次監督の「東京家族」(平成26年)でも同賞を受賞した。
テレビでは、「おかあさんといっしょ」「3年B組金八先生」「ふぞろいの林檎たち」などに出演。友人でもある俳優の冨士真奈美さんとともに旅番組にも出演した。
1977年9月、映画「愛の亡霊」の記者会見に出席した吉行和子さん(前列左)。右隣は監督の大島渚さん=東京都内のホテル
文才も高く評価され、著書「どこまで演れば気がすむの」は昭和59年に日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。30年以上の句会歴もあり、俳号は「窓烏(まどがらす)」。
父のエイスケさん、兄の淳之介さんはともに作家。妹の理恵さんは詩人。