石破首相「辞めろ」「辞めるな」デモ 訴えた人たちが見た退陣表明

富永鈴香 玉那覇長輝
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 参院選から50日近くが経ち、石破茂首相が退陣を表明した。「石破辞めるな」「石破辞めろ」。デモに足を運んで声を上げてきた人たちは、突然の退陣をどう受け止めたのか。

 東京・永田町の首相官邸前などでは7月下旬から、与野党双方の支持者が集まり、石破首相の続投を求める「石破辞めるな」デモが複数回開かれた。

 東京都の語学講師の女性(38)は共産党の支持者だが、石破首相を「うそをつかず真摯(しんし)に物事に向き合う実直さがある」と評価。石破首相が退陣すれば排外主義的な政権が誕生するのではないかとの危機感から、初回から4回デモに参加した。デモは9月7日の昼過ぎにも自民党本部前で開かれ、女性も「石破頑張れ」と声を上げたが、デモが終わった4時間後に首相は記者会見で辞意を表明した。

「辞めるな」デモの参加者 「やっぱり……」

 女性は首相の退陣表明を受けて「ショックでした」と肩を落とした。「一日でも長くという気持ちはあったけれど、いずれ辞めざるを得ないのではと思っていた」と話す。

 次の自民党総裁に望むのは、石破首相のような人物だという。「人の話をちゃんと聞いて、自分の言葉で語るスタイルを踏襲してほしい」と話した。

 8月上旬にデモを主催した東京都の会社員古川稼奈汰(かなた)さん(26)は、石破首相が野党の意見を聞きながら国会運営をしていたことを評価してきた。退陣をめぐるニュース速報を見て「やっぱり耐えられなかったのか」と思ったという。

 ただ、石破首相は退陣の意向を表明した会見で、「辞めるな」の動きを「ありがたいことだった」と語った。古川さんは「思いが通じたと感じた。たとえ相手が総理大臣であっても市民が思いを伝えられると思えた。やって良かった」と振り返った。

「辞めろ」デモの主催者 「当然だ」

 一方、「石破辞めろ」デモを主催したユーチューバー「東雲太郎」さん(49)は、昨年の衆院選、今年の都議選と参院選で3連敗したことを踏まえて「責任を取って辞めるのは当然だ」と語った。

 首相官邸前での8月31日のデモは、小学生から高齢者までが集まったという。沖縄や北海道など遠方からの参加者も多かった。「みんな(不満の)ガスがたまっていた。自分たちの声がダイレクトに届いたのかは分からないが、(退陣に)影響を与えたとは思う」と話す。

 石破首相の政策は「移民などの外国人や、グローバル企業を優遇していた。国民の生活は逼迫(ひっぱく)していて評価できる政策はなかった」と映った。自民党が参院選の公約で掲げた現金2万円給付がうやむやになっている現状を例に挙げ、「国民軽視の表れだ」と批判した。

 ただ、石破首相の「次」に期待が持てるとも思わない。「減税を進めて外国人政策も見直さない限り、このままの自民党なら首のすげ替えで何も変わらないだろう」

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この記事を書いた人
富永鈴香
ネットワーク報道本部
専門・関心分野
人権問題、政治参加、表現の自由
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    木下ちがや
    (政治社会学者)
    2025年9月9日0時28分 投稿
    【解説】

    「石破辞めるなデモ」「石破辞めろデモ」。どちらも「エコーチェンバー化したデモ」に過ぎない。世論と接続したデモは、デモの現場よりも後背地に広がるロジスティックがあってこそ、威力をもつ。確かにSNSでは辞めろ、辞めるなはそれなりに騒ぎになっては

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    富永京子
    (立命館大学准教授=社会運動論)
    2025年9月9日15時6分 投稿
    【視点】

     木下先生とはまた異なる方角からですが、石破辞めるな/辞めろデモに限らず、デモという社会運動を報道することについて改めて考えさせられることが増えています。  私は木下先生と異なり、デモが局地的な少数者の声であるから報道する必要はないとは必ず

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