【論説】「福井県は共働き率日本一」「持ち家率日本一は秋田県」。5年に1度行われる国勢調査では、日本の現状を示すさまざまな数字が見えてくる。今年はその調査の年で、来月下旬には調査票が各世帯に配布される。集計結果は衆院小選挙区の区割り改定や地方交付税の算定、国や自治体の子育て支援や防災対策、企業のマーケティングなど広く利用される。暮らしに直結する調査と言え、住民の理解と協力が不可欠だ。
国勢調査は統計法に基づき行われる国の最も基本的な統計調査。1920(大正9)年に初めて行われ、今回で22回目となる。対象は「日本に住んでいる全ての人」で、外国人も含む。5年ごとに大規模調査と簡易調査を交互に行い、今年は簡易調査の年。10月1日を基準日として、一つの世帯について氏名や男女の別、国籍、就業状態など17項目を質問する。
来月の調査を控え、福井県内でも調査員を対象とした市町の説明会が順次開かれ、準備が本格化している。調査員は割り振られた区域の1軒1軒を訪ねて居住の有無を確認し、調査票を配布する。近年課題となっているのが、この調査員の確保と調査票の回収率だ。
調査員は各市町で確保する。今回は11市町が公募を実施したが、必要数が集まった自治体はなく自治会などの推薦が頼みの綱だ。福井市は公募せず各自治会に推薦を依頼し、登録調査員も含め1200人余りを確保した。ただ、調査の負担もあって自治会役員からは「なかなか人が集まらない」と嘆く声も出ている。公募では集まらず、職員を充てる自治体もある。
調査では個人情報に敏感な世相を反映してか、回答を拒否する人もいる。不在などで調査票を回収できず、調査員が近隣住民に世帯状況などを聞き取り調査するケースも。この「未回収」の割合は近年増えており、15年は6・5%、20年8・3%だった。全国ではともに1割を超えた。
回収率向上に向けて調査方法も変わり、調査員の負担軽減も図られてきた。10年から調査票の郵送が、15年にはインターネットでの回答が可能になった。福井県では前回20年の調査で郵送46%、ネット40・8%と調査員の直接回収以外がほとんどを占める。総務省はネット回答50%を目指している。
調査で得られた個人情報は統計処理され、個人が識別できない形で利用・提供される。統計以外の目的での使用は禁止されている。
日本と福井の未来を明確に見通すためにも、調査への住民の理解は欠かせない。精度の高いデータ収集に向け、行政には調査の意義を積極的に発信することが求められる。
































