アドミルクの稚貝の殻を活用したキーホルダー=東かがわ市提供

写真拡大

 香川県東かがわ市などが、同市引田の安戸(あど)池で養殖されているカキ「ADOMILK(アドミルク)」の稚貝の殻を用いて、手作りのキーホルダーを製作し、カプセルトイにして売り出した。

 通常は捨てられるカキ殻の活用策。カキのさらなるブランド化と持続可能な養殖を狙う。(福島勝彦)

 いかだでの養殖では稚貝の回収はできないが、カゴでの養殖だと可能だ。かごの中でカキを揺らすことで、殻の表面が削れて美しくなり、厚みも増して加工しやすくなるといい、こうした利点を生かした。

 稚貝のサイズは約3センチ。キーホルダーは、かごの中で種苗から2~3か月育てる間に、自然に死んだカキの殻を材料にする。樹脂で補強し、「身」の部分は樹脂粘土で作る。

 カキそのものを再現した「あどみるく」、レモンとネギぽんの薬味を加えた様子を表現した「やくみるく」のほか、目を入れてキャラクターにした3種類の計6種類で、8月に発売した。

 1個500円(税込み)。安戸池に隣接する食堂「ワーサン亭」などにカプセルトイの販売機を置いたところ、最初に作った50個が約1週間で完売した。

 市戦略情報課の担当者は「何も告知せず、店頭にチラシを貼っただけだったのに、瀬戸内国際芸術祭の来場者や夏休みの親子連れに受けた」と喜ぶ。

 こうした人気に応えるため、市などは常時販売を決定。追加発注分は9月4日に販売を再開した。同課は「同じ殻は一つとしてなく、どれも一点もの。捨てる殻から生まれたかわいいキーホルダーで、アドミルクをアピールし、養殖の継続性にも生かせたら」としている。

 アドミルクは、安戸池周辺の体験学習施設を運営する「ソルトレイクひけた」と引田漁協などが2023年に、IoT(モノのインターネット)技術を活用して養殖を開始。今年2月からワーサン亭で提供を始めている。現在は土、日、月曜に味わえる。