猫又枢は星猫くるるになりました。

主に人工知能作りたい話。

RETISSA Display IIの正直レビュー

目が見えなくなったので買ってみた。
ネットには忖度したレビューしか無さそうなので率直な感想を書きます。

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眼の部分だけデカデカと出した絵もどっかにあったんだけど、
探すのすら面倒になる目の悪さなのでこれで勘弁。
この顔面がたぶん私のモデルいじりとしては最終版になる。

目が見えにくい


数か月前から右目がほとんど見えなくなって、
まあ入れ歯みたいな感じで不可逆な手術をするしかないので、
いちおう自然治癒にワンチャン期待したけど無理そうなので、
手術の段取りを組んだとたん、左目がなぜか見えにくくなりました。

右目は血で覆われてて0.02あるかないか。
左目は毎日視力が変わるんだけど、矯正視力で0.08から、よくて0.3らしい。
まばたきしたあと一瞬だけCの方向が見える感じなので、実際はもっと低いと思う。
右目の手術は準備に2週間かかるらしく、今はまだ待ってるところ。

手術までの生活だけでもマシになればと思ってメガネを作りに行ったんだけど、
店員さんに「買うのは後にしたほうがいい」と言われるくらい効果が無かった。
乱視が気持ちマシになるかな、くらい。

視力0.08の世界


見え方がどんな風かというと、もともと近視だったけど急に遠視になったらしく、
近づいても離れても「ここなら見える」という距離が無い。
なので小さいものは何も見えない。
70~80センチくらい離れた27インチのWQHDモニタに、
15行くらい表示できそうな文字の大きさで映して、それなら何とか読める感じ。

[ディスコとツイッターは文字をめっちゃ大きくしたけど、普通のWebサイトは苦労するし、
黒地に白文字じゃないと読めないので、ほとんどの画像はgeminiに読んで貰っている。
DarkReaderは全ブラウザに入れたけど、Edge版だけ設定項目が全体オンオフしか無い。なぜだ。

画像にALTを正しく入れろみたいな、Webデザイン会社すら守れないことを要求する気は無いけど、
AIが画像を正しく読めなくなる(阻害される)と視覚障碍者が困るということは言っておきたい。

音声での補助は難しい


 というわけで何とか工夫したいわけだけど、
音声は(全盲なら主力だろうけど)視覚の補助として使うのはなかなか難しい。
たいていの情報収集は流し読みだけど、
5分見たら済むことを音声だけでやろうとすると数十分かかる。
あと難しい話はシーケンシャルに説明されただけでは頭に入ってこないけど、
「ここから言い直して」みたいな指示は目じゃないとやりづらい。
文章の内容をすべて理解したAIに質問する形にしないと理解できなさそう。
すると当然、AIに理解できる内容の文章じゃないと説明を受けることができない。

網膜照射ディスプレイ


そこで、以前からこうなった時に頼ろうと思っていた、網膜照射ディスプレイを試してみることにした。

RETISSA Display IIは、2020年ごろに発売された片目用のARメガネである。
解像度は1280x720で、VRヘッドセットの見え方よりはスペック上で既に劣っている。
お値段は税込298000円。当時最高級のVRヘッドセット並みか。Appleのよりは安いが・・・。

ARメガネなので、視界の一部に補足情報を表示するような使い方を想定してそうだけど、
別売りで16万円のカメラがあって、それをつけると現実の視界をリアルタイムに映せるらしい。

公式の注意書きにも「医療機器ではありません」というような但し書きはあるが、
「生まれ変わった!」という感覚を得ました とか、
コンタクトがなくても見える! みたいなレビューを掲載していて、
なんとも期待させてくれる表現になっている。

5年前の発売当時には旧製品の500円レンタルとか、全国の指定店舗での試着が出来たのだが、
予約が必要であり、残念ながら近所には無く、発売のタイミングで試すことはできなかった。 
後継品が作られているという情報は無く、この分野自体が停滞していそうである。

しかし既に目が見えなくなりつつある私は、背に腹は代えられないので、買って試すことにした。
ネットにはたぶん試供品や公式依頼のレビューしかなく、中立的な立場で使った人のレビューは無いんだと思う。
私が調べた限りは、欠点を明確に指摘するような記事は皆無だった。
なので私はきちんと書く。
願わくば改良品が出て欲しいのだけど、現実的には期待感を持てていない。

装着体験は最悪


接続はフルサイズのHDMI端子でおこなう。普通のディスプレイのように認識自体は楽だ。
HDMIパススルー対応のカメラならいけそうなので、そこは他社製品でもよさそうである。(私は試す気も失せたが)

左右どちらにも装着可能なのだが、変える時は投影ユニットを天地逆にして取り付ける。
すると当然映像もひっくりかえるので、これをスイッチで切り替える。
スイッチは爪でギリギリ動かせるもので、目の悪い人にはわかりづらい。
というか、この製品自体、目が見えにくい人にはセットアップは不可能なんじゃないかと思う。

投影ユニットとメガネは、2個のスペーサーとナットを使って固定する。
私はどちらも一回ずつ落として泣きながら床を探した。道端でコンタクトを落とした人みたいに哀れだった。

左右位置を調整して、付属のの六角レンチでナットを締めるのだが、私の顔にはまったくフィットしなかった。
鼻の低い人はたぶん詰め物をする必要がある。
これはアメリカ仕様のVRヘッドセットでも起きることなのでこの製品だけの瑕疵ではないが、配慮が足りていない。 

私は仕方ないので投影ユニットだけを手に持って最適な位置を探った。
しかし、見える場所が狭すぎて、なかなか見つけられない。
手で常に固定する条件でも、最適な見えやすさがキープできなかった。

視力0.08の裸眼のほうがマシ


あとでスペックを再確認したら、視野角は25度らしい。狭すぎる。
本命のノートPCではなぜか映像が出なかったので、デスクトップPCのサブモニタを付け替えて試した。
映像は出て、推しに描いて貰ったデスクトップ壁紙のイラストが視認できた。

ためしにYouTubeのホームを開いたところ、縦に一覧表示されたサムネのでかい文字は余裕で視認できた。
動画タイトルの表示は危うい。
そして1280x720全体を見渡すことはできず、特に右側が見切れたようになる。
なのでウィンドウ最大化だとちょっと具合が悪い。

文字をこれで読むんなら、画面中央に3行各10文字ずつくらい表示するのなら読めそう。
視力が0.01になっても、網膜照射さえ成立するのなら文字は読める。もちろん映像も見れる。
が、画面の周囲にある字幕を読むのはたぶんしんどいと思う。

ちなみに私の右目は視界が血で覆われているせいで視力が落ちているので、
これを使っても何も映像を見ることはできなかった。当然すべて左目で使用した。

つまりたぶん、健常者が使うARメガネ製品としては品質的に成立していない。
なので現実的に継続して使っている人はいないんだと思う。もしいたら使うコツとかを教えて欲しい。

もっと目が悪い人なら役に立つかも


私は視力がさらに悪くなった時に、それでも生きる希望を持つために、この製品をお守りとして保持しようと思う。
けど、たぶんこれしか使えなくなるほど目が悪くなったら、もうその時には日常生活は出来ていないだろうとも思う。
在宅介護だと生きていくのが厳しいくらいの目の悪さだと思う。



身体障害者手帳の障害者程度等級(視力障害)
1級
視力の良い方の眼の視力(万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異常のある者については、矯正視力について測ったものをいう。以下同じ)が0.01以下のもの
2級
視力の良い方の眼の視力が0.02以上0.03以下のもの
視力の良い方の眼の視力が0.04かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
3級
視力の良い方の眼の視力が0.04以上0.07以下のもの(2級の2に該当するものを除く。)
視力の良い方の眼の視力が0.08かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
4級
視力の良い方の眼の視力が0.08以上0.1以下のもの(3級の2に該当するものを除く)


たぶん2級(視力0.02~0.03)なら、網膜照射で見た画面のほうがマシに感じるかも知れない。
これ持ってたから障がい者認定しませんってことは無いだろうし、
今後のことを考えると、いざというときに使うためにはもっておきたい。
なので、「全く使えない」というほどまで悪い評価にはしません。
でも普段はもう使わないと思う。

後継機に期待したいこと


どこの会社が出してくれてもいいんだけれども・・・。

細かい位置調節機能。
小さい工具が必要でネジ無くしたら終わりみたいなやつじゃなくて、手触りで安全に操作できるものが良い。

ソフトウェア。
逆にスマホ内蔵とかにされると長く使えないから困るので純粋なHDMIモニタであることは嬉しいのだけど、見えづらいのなら、見える範囲にだけ映像を簡単に映せるアプリみたいなものとか、オプションでアプリつきのスマホなんかがあると嬉しい。

視界を覆うゴーグル。
どうせ何も見えないので画面だけを鮮明に見たい。まあダンボール箱でも被れば済む事なのでなくてもいいか?


以上です!

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