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不安障害・愛着障害の人とASDのカップル

本日はカップルの話をします。精神科でよく見るカップルです。

不安障害や愛着障害、複雑性PTSD、トラウマを抱えていたり、境界性パーソナリティ障害の人たち、それと発達障害、いわゆるASDの人のカップルです。

このカップルはよくくっつくんですけど、当然のごとくトラブルも多いんです。

それで精神科へ来ることが多いんですけど、これは何なのか?ということをお話しします。

「何なのか?」というと、すごく差別的な言い方に聞こえるかもしれないですけど、そういうわけじゃないですよ。

単純に「これは何?」という驚きというか、そういう意味合いで取ってもらったら良いかなと思います。

◾️なぜ惹かれるのか

不安を感じやすい原因として、親子関係の問題があったり、もともとその人の体質だったりとかもするかもしれないし、親子関係の問題、愛着の問題がある。

それが結果的に複雑性PTSDのように病気に発展することもあれば、人格形成において問題があり境界性パーソナリティ障害のようになってしまうこともある、そういうことです。

あとは子どものときにいじめられていたなど色々ありますけど、そういう不安を感じやすい女性というのはいます。

もちろん男性もいます。
トラウマがあって、そういう人は対人イメージが揺れ動きやすいんです。

良い人と思ったり、悪い人と思ったり、相手が怒っていたりすると「何なの?あの人はやっぱり悪い人かも」と白黒思考で考える。

「あの人は私を守ってくれるのか?守ってくれないのか?」と白黒思考になったり、そういう感じです。

発達障害、特にASDの人たちというのは他人にあまり関心がなかったり、他人の内面を深く探求して知ろうという関心がないという言い方を教科書的にしますけど、鈍感です。鈍かったりします。

責任感もあったりして、自分が守ってあげないと、という感じになるんです。
感情の起伏があまりなくて、周囲の意見に対して自分が変わらない感じというのはすごく信用できるな、この人頼りになるな、という形になってしまう。

ASDの人たちも、相手の感情の揺れ幅というものに対して鈍感なので、好きになってカップルとして成立してしまう。

この人が持ってる両極端なところの良いところだけが見えていて、悪い時のことは無視したり、忘れたり「あれはたまたまそうだったんだ」という形になってしまうんです。

両方あって一人の人間なのにもかかわらず、分離してしまって、悪い時は違う人間なんだという形で処理しがちなんです。

不安になりやすい人は深い交流がないから、どういう人が頼りになる人なのか、どういう人が頼りにならないのかという見極める力も弱かったりして。

こういうカップルはよく起きます。
辛辣な言い方をしますけど、起きます。

◾️自分たちだけはうまくいくだろう

このカップルというのはよく精神科に来て、手をつなぎながら待っていることもありますけど、自分たちだけはうまくいくだろう、とかありますね。

喧嘩があった時には、それは益田の仕事でしょう、病気だから益田の仕事でしょうみたいな、これを解決できなかったら益田の腕が悪いんでしょう、みたいな形で、二人の中で起きている問題で自分たちは困っているもかかわらず、この二人の間ではうまくいっていて、うまくいってないのは益田の治療の腕が悪いんだ、みたいなことが結構あります。

お前がダメなんだろうみたいな、こういうことが結構ありますけど、でも二人だけの世界を作ってしまう。自分たちだけはうまく行く。

現実世界から離れて愛情の世界の中で僕たちは成立するんだとか、あります。

経済的な自立、精神的な自立をしなくても、互いに支え合うことによってうまく生きてるんだ、二人で一人なんだみたいな、そういう幻想というかファンタジーの中で生きていたりします。よくあります。

精神科医や他の人は使用人というか、そういうものに成り下がるのはあるあるです。

ただ、こういう関係というのは数年続くことがあります。うまくいっていたりするんだけど、どこかで破綻することが珍しくないということです。

◾️関係が破綻するとき

彼女の持っている不安定さというのは、投影や転移というか、無意識の領域を通じて表現されることが多いです。

投影、転移、投影同一視、いわゆる無意識の影響を受けて発現したりする。
そういうことに対して、ASDの人が正論で返すんです。

話を聞いてもらえたという感じもしないし、正論を言われてすごく傷つくんです。

また屈服させられたというか、論理的に潰されたという感じがする。

論理的に潰されたという感じがするから、それに対して「戦わなきゃ!」という形で、より感情的に何かを伝えようとするんだけど、感情は響かないので、また正論で潰される、と。

この悪循環が生まれて、互いに「何なの、こいつ!」ということが起きることあります。

子どもが生まれたり、何か変わった時に、支えてほしいし、夫としてやってよ、ということになるんです。

変わってほしいと言うんだけれど、ASDの人は基本的に変われないので、混乱してしまうんです。

具体的な指示がないと動きにくい、状況を察して空気を読んで動くというのが苦手だったりして、ただただ何を言われているのかわからない、言わないとわかんないよ、ということで混乱してたりして、これも「いやいや気持ちわかってよ」みたいなことがわからなくて、変わってよと言っても変われないとかあります。

本当に変われなかったりしますからね。

毎回言うと良くないですけど、ここで例えに出すと失礼だけど、リョーハムさんが毎日ラーメンを食べてて「健康に悪いよ」と言っても「ピンと来ないんですよね」と言いますからね。

「益田ドクター、悪いですけど、言って良いですか?」
「え、何?」

「益田ドクター、早食いじゃないですか?だから僕より早死にすると思うんですよ。だからそんな人の意見なんか全然聞いてられないんですよね」

と言って。

でも僕も面白いなと思ってやっぱ許しちゃうんだけど。
許しちゃうという言い方は失礼かな?

良くないけど、でもそれぐらい変わらない感じはあります。

採血データが悪くて、YouTubeのコメント欄を通じて多くの人が「違うよ」と言ってもピンとこない。

ただリョーハムさんの話を聞いてると、ピンとこないんだけど、何かダメージを受けてるときが時々あるみたいです。

じゃあここで言うなよ、という話ですけど、でもそれぐらい変わらない感じがあります。

なぜこういう投影や転移が起きているか、無意識の領域というのもメタ認知が低くてわかりにくかったりします。

でも一方で、彼、彼女らは論理的に考えることを避けたり拒否したり、毛嫌いするということもあったりする感じかなとは思いますけど。

不安定な状況、曖昧な状況、どうしようもない状況、他人から嫌われても仕方がないという状況というのはあるわけですよね、生きていたら。

でも、その状況を受け入れられない、受け入れる強さがない。

ASDの人は自分たちはなんとか受け入れているじゃないか、という意見があったり。

それで上手くいかない。 

依存し合うことによって成立するじゃないかという意見と、自立すれば良いじゃないかという意見と、ここも水と油みたいになってしまうことがあります。

最初は良いんだけど、途中から水と油になってしまってうまくいかないというケースは結構あるなと思います。

◾️互いのことを知る

互いを壊してしまうパターンもあれば、破綻を迎えるということもあるし、互いに成長し合うことでうまくいくということもあります。

だから何が良いのかという感じですけどね。

何が良いかというか、答えは単純で、互いのことを知るということです。

愛着の問題、不安定な人がいたときには、こういうことを考えるんだよ、こういう風になりがちなんだよ、正論で言うよりも傾聴しなければだめだよ、ということをASDの人が覚えていくべきだし、不安定な人は発達特性があったら変われないんだよ、混乱しちゃうこともあるんだよ、そういうことを理解して、相手のあるがままの姿を受け入れるということにはなるんですけど、なかなか現実的には、そうは言ってもということがあるので、仕事の残業が、変化があったりするので難しかったりしますけど。

こういう相手だからこそ、一緒にいられたというのも事実なんです。

もし彼じゃなかったら、彼女の不安定な感じを受け入れてくれなかったかもしれないし、彼は彼で彼女のような感じがなければ、自分の変わらなさというか鈍感さを退屈と思われて相手にしてくれなかった可能性もあるわけで、そういうことも考えていくということになるんですけど。

そういう言い方すると、益田、すごく感じ悪く見られるかもしれないですけど、でもそういうところがあります。

ちょっと耳に痛い話ですけどね。

お話ししました。

◾️本日の宿題

宿題としては、当時の気持ちを知ってもらうと良いかな、考えてもらうと良いかなと思います。

これ全般に感想を言ってもらうと良いかなと思います。
でも難しいよね、こういう感覚というのは。

この人たちは両極端でどっちなんだろうって。

人間の良いところと悪いところ、この2つが共存して、これが統合されてれば良いけれど、よくわからないし、こっちは統合されずに片方だけ無視する形で解決を見ている。

それだとダメで、やはりこれもあるけどこれもあるという形に互いになってかなければいけないんですけど、なかなか全体を把握するとか、矛盾を内包するのは難しかったりします。

こういう経験について書いてもらうと良いかなと思います。

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