第2話

2.
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2025/04/29 12:44 更新
ライム
─────あたち、おねぇたまより早く起きれました!
ライム
あ、じゃなくて……おはようございます!おねぇたま!
ライム
……おねぇたま?
ライオン
……
茫然自失。
今の私の状況は、ひとまずこの言葉が似合うのではないだろうか。
いざ思考を巡らせようとするも私の頭の中はとうに「何故」だの「どうして」だの、疑問ばかりで埋まっている。
この状態ではいくら考えてもキリがない。一旦この疑問に身を委ねよう。
……。
何故ライムさんがここに?
ライムさんはルミ先生と脱出したはず。
脱出ゲートが閉じるのもしっかりとこの目で見た、これは間違いない。
それに……。
ライム
おねえたまっ!!!
ライオン
っ……!?
あぁ、そうだった。

今私の目の前には、ライムさんがいるんだ。
ライム
おねぇたま、どうかしましたか?
ライム
もももしかして……お熱ですか!?
頭の中を色々整理させているうちに、どうやら誤解をさせてしまったみたいだ。
私は仰向けの状態から慌てて上半身を起こす。
ライオン
……大丈夫ですよ、ライムさん
ライオン
いつもより少し眠りが深かったみたいです
ライオン
何も心配はいりませんよ
ライムさんを安心させるため、起こすと同時に微笑みも取り繕う。
脱出したはずのライムさんがここにいる。
それだけで私の中は不安で溢れている。
ちゃんと笑えているだろうか。
声は震えていないだろうか。
少し目頭が熱いのは、先の不安からかライムさんとまた会えた高揚からだろうか。
ライム
……そうですか?
ライム
ならよかったです!
どれにせよライムさんの私に対する心配は薄れたようだ。

……良かった。
ライム
おねぇたま、おねぇたま!!一緒にご飯食べましょう?
すっかり杞憂が晴れたライムさんはそう言いながら私に手を差し出す。
ライオン
……ぁ
その手は、いつか私がぞんざいに引っ張ってしまった小さな手。
あなたを、ライムさんを無視してただ強く握ってしまっていた手。
その手は私にとって多大な熱を帯びていて、私が触れていいものなのかわからない。
だって、私は。
ライム
……おねぇたま、どうかしましたか?
躊躇う私にライムさんは小首を傾げる。
……。
………。
ライオン
……いえ
私は首を横に振る。
ここがなんなのかわからない。
いつもの休憩所なのか、はたまた一種の走馬灯のようなものなのか。
小さな私にとって、きっとここは大きすぎる。
でも。
でも、もしここが誰かが私に与えてくださったチャンスなのだとしたら。
そうだったら、もうこの子の手を私任せになんてしない。
絶対に。
今度こそは。
ライオン
……行きましょう、ライムさん
私はライムさんの手を。
たんぽぽの綿毛に触れるように優しく取った。

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