埼玉在住の女性Ｎ様から「子育てや親のことで、ちょっと疲れてしまったので今日お会いして話を聞いてもらえないでしょうか。埼玉に住んでいますが、都内だったらどこでも出て行けます」とご連絡をいただいた。私の正しい使い方である。Ｎ様は言った。母親と同居をしながら、シングルで子育てをしている。息子は不登校になり、思春期特有の反抗期で家のものを破壊することもある。母との折り合いも悪く、母と息子も合わないから家庭は地獄のようになっている。ここまでの話を聞いて坂爪さんが思ったことを聞かせて欲しい。

私は「母親が世間の物差しの奴隷になっている限り、息子も暴れ続けると思う」と言った。Ｎ様は「坂爪さんに背中を押して欲しくて連絡をした。記事を読んだ後は元気になるのだが持続しない。自分に自信がないから、このままでも大丈夫なのかなと不安になる」と言った。私は「自信がないと言うよりは、期待をしているのだと思う」と言った。期待は自分自身に寄せるものであり、他人に寄せると甘えになる。Ｎ様は「その通りです。本当はどうするべきかわかっているのです。だけど、それをやるのが怖いから、背中を押して欲しいと思うところが私の弱さなんです」と言った。

期待は人間を押し潰す。親が「学校に行けるに越したことはない」と思っている限り、子供は抵抗を続けるだろう。親が疲れ果て、学校に行かせることを諦めて「あなたの好きに生きなさい」と降参した時、子供も「はい」となって自由になる。期待と心配は裏表。信頼には期待も心配もない。心配よりも信頼する。基本姿勢は「お前は大丈夫だ」の一点突破。これが一番楽だし、やることも少ない。自分が自分に大丈夫だと言えないから、誰かに大丈夫だよと言ってもらいたくなる。背中を押してもらいたくなる。他人に言ってもらうことで培えるものは自信ではない。他信である。自分が自分に「お前は大丈夫だ」と言えた時、世間の奴隷から自由になる。母親が自由になると、子供も自由になる。自分発信で動けるようになる。

誰かに何かをしてもらおうと思うな。負い目を感じる必要はない。悪党は自信のない者を狙う。母親が負い目を感じている限り、息子は目ざとくそこを突く。母親が堂々としていたら、息子は「この方法は効かない」と思って、生き方を改める。完璧な人間になる必要はない。完璧な自分であり続けていれば、息子も世間的な価値判断から自由になり、完璧な自分のままであり続けるだろう。女性は「自分が未熟なんだ」とか、あんまり自分を責めない方がいい。もっと攻撃的に、なめんじゃねえぞくらいの気持ちを持っていた方がいい。そうじゃないと、なめられる。女がおしとやかな訳がない。女は虎。女は波。なめられることを自分に許すな。なめんじゃねえぞと立ち向かおう。

男は空。女は色。ぶつかり合うことでスッキリ。あんまり悟るな。悟り過ぎると「別に生きていなくてもいい」となり易い。色即是空。空即是色。遺伝子は二重螺旋構造。男と女。月と地球。死の本能と生の本能。永遠に交わることのない完全矛盾の自己同一こそが、生命である。殺し合いながら生かし合い、生かし合いながら殺し合う。空とは、無気力になることや虚無的になることではない。モヤモヤがないこと。怒りや悲しみを溜め込んでいないこと。スッキリしていること。女に空は似合わない。女よ。色よ。俺と言う空にぶつかって来い。俺がスッキリさせてやる。色によって空もまた生きるのだ。踊りとは、必ずしも肉体の躍動だけを意味しない。苦しみによる胸の蠢き、声なき声、言葉にならない原始の呻きこそが、俺たちの踊りだ。命よ踊れ。ノーノークライモア。泣かない。俺たちのサバイバルダンスを踊ろう。