【生成AI】ホロライブ大神ミオさんへの誤解について
2025年2月16日、ホロライブの大神ミオさんが生配信で使用したサムネイルについて、AIイラストだということが判明したことによりイラストを使用したポストを削除したというお話がありました。
大神ミオさんの判断が早計ではないのかと怒る勢力、生成AIを使用するリスクを語り当該イラストが生成AI利用であると断言し怒る勢力。そして場外乱闘が始まる。
手描きであることを主張し、それを証明しようとライブ配信まで開いた当該イラストの作者は最終的にXのアカウントを削除し、遺恨が残る。
といった構図が見られました
しかし実のところ、この双方の認識に誤解があるケースが見受けられ、大神ミオさんに対する不当な評価が残り続けているように思います。
できる限りその誤解を解きたいと思い、筆を執っています。
事の経緯
まずどういった誤解があるのかについて語る前に、この事件の経緯を簡単にお話しようと思います。
(大事なことではありますが、このお話の本質ではないので、下の「ホロライブ全体に見る生成AIへの対応」へ飛んでもらって構いません)
まず、こちらがAI生成イラストであると判断されたイラストとなります。
デジタルで絵を描く人は経験があるかと思われるのですが、拡大して見た時に、バケツ塗り特有の隅の塗り残しが多々見受けられると思います。
私は生成AIへの造詣が深くないので断言はできませんが、これらの特徴から手描きではないのかと思っています。
という私個人の判断は置いておいて、
このイラストがAI生成イラストであると判断されたのか。
上記のPixiv作品ページにおいて、当該作品にAI生成タグが付いていたことが大神ミオさんに報告され、それを大神ミオさんが鵜呑みにしてしまったことが原因です(記事の頭で貼った大神ミオさんのツイートで「自分には見ただけではわからない」ということが提示されていることからも明らかだろうと思われます)
PixivのAI生成タグは、通常のタグとは異なり、作者が投稿時等にAI生成作品であることを設定することでも登録が可能です。詳しくはこちら、『AI生成作品の表示オプションとはなんですか?』より確認ください。
「通常のタグとは異なり」と言いましたが、この方法でタグ付けすると#マークがつきません。
しかし、当該イラストに登録されていたタグは『#AI生成』であり、作者以外からも編集が可能な状態でした(通常のタグでは作者が設定したものはロックがかかり、他人からは編集が不可能になります)
つまるところ、
第三者が追加したAI生成ハッシュタグによりAI生成イラストであると判断された
ということです。
しかし、大神ミオさんがそういった事情を知らなかったであろうことは容易に想像できます。
AI生成タグがある=作者が生成AIであることを明記している。という理解になることは不自然なことではないかと思います。
ここで誤解しないでほしいのが、この記事は「だからAIだと思っても仕方ないよね」という弁解ではないということです。
知らなかったことは仕方なくとも、疑問を持って一度立ち止まることはできたはずですから。
「誤解」とは、「AI生成イラストへのファンアートタグ使用禁止」についてと、「大神ミオさんがAI生成イラストについてどう考えているのか」です。
ホロライブ全体に見る生成AIへの対応
AI生成イラストへのファンアートタグ使用禁止について。
もう一度大神ミオさんのツイートを見てみましょう。
そうです。
「現在サムネイルにAIイラストを使用しないという方針がある」
です。
これは今に始まった話ではなく、以前より
「運営さんからAIイラストはまだ使っちゃダメって言われている」
との発言もあります。同時に、AI生成イラストや生成AI自体を否定している様子も確認できません。
これは大神ミオさんに限らず、AI生成イラストへの言及をしている他タレントにも共通した態度です。
あくまでも、ファンアートタグの使用を禁止しているだけであることがわかります。ぺこーらも生成AIでポエムを作ったことがあります。
他方、AI生成イラスト用のタグを用意しているタレントもいます。
兎田ぺこらさんの配信もそうですが、上記のスタンスのお話だけではなく、実際にAI生成イラストを使用したゲームを配信しているタレントもいます。
こちら【不審者通報しました。】ですが、Steamのストアページに、
開発者は、ゲームでのAI生成コンテンツの使用について次のように説明しています。
一部のキャラクターイラストやアイテム画像、サウンドはAIが生成し、開発者が加工・編集して使用しています。
こう書かれており、AI生成イラストを使用していることは疑う余地もありません。ゲーム実況については過去問題があり多くの動画が非公開になり削除された経験から、この程度のことに運営のチェックが入っていないとは考えにくいかと思います。
サンプルは少ないかもしれませんが、間違いなくホロライブ全体の方針として「生成AIそのものを否定してはいない(むしろ好意的な面もある)」「あくまで禁止をしているのはファンアートタグへの投稿のみ」ということは読み取れるかと思います。
大神ミオさんへの誤解
同じことを書くようですが、
大神ミオさんはAI生成イラストそのものについて禁止しているわけではなく、あくまでファンアートタグの利用を制限しているのみです。
そして大神ミオさんは見ただけではAIイラストの判別ができません。ということは同時に手描きであるかどうかも判別がつかないということであり、この一件でイラストレーターを擁護する態度も迂闊に取れなかったことは考慮に値するのではと考えます。
以前のマイクラ配信で使用させていただいたイラストについて、AI生成のものだと断定する形で投稿し差し替え対応を行いました。 100%AIイラストだと確定する情報はない状態で早計に対応を進めてしまいました。 断定的な表現をすることで、多くの方に混乱や不快な思い、お騒がせする形となり申し訳ありませんでした。 今後はこのようなことが起きないよう気を付けて活動いたします。
「100%AIイラストだと確定する情報はない状態で早計に対応を進めてしまいました」
これだけでこの件については充分だったのではと考えます。
これまで書いてきた通り、彼女を始めホロライブの生成AIへのスタンスは以前より明らかです。
「ファンアートタグの使用禁止」という話を見て「AI生成イラスト禁止」と早合点したり、そういった声を鵜呑みにして「問題の無いものをなぜ否定するのか」と、言ってないことで騒ぐ人々を制止する。というところまで面倒を見るというのは彼女の責任の外にあると考えています。
なぜファンアートタグへの使用が禁止なのか
こちらに関してはほとんど憶測になるのですが、
・生成AIを否定しているわけではない
・AI生成コンテンツが使用されているゲーム等も配信する
等の情報と、この件を始めここ数年におけるAI生成イラストや生成AIへの忌避感情を強く持った方々の言動を鑑みるに、
「配信の顔であるサムネイルにAI生成イラストを使う」ことで発生するバッシングや風評被害リスクを低減する目的があるのではと考えます。
この件とは関係がありませんが、生成AIの使用そのものに対し「闇バイトに応募するのと同レベル」等という発言(例え話だとしても、許されないことです)がまかり通る界隈と隣接している以上、問題が無くともタレントの心を守るため使用を差し控える方針を取るのは不思議なことではないと思われます。
この件についても、少し立ち止まって調べれば判断を留保できる場面で他人の話を鵜呑みにしてAI生成だと断定するだけに留まらず、作者に攻撃的になり続ける人を多く見ました。間違った前提で大神ミオさんを攻撃する人も多く見ました。少しでもそういった人が減ることを祈っています。
おわりに
生成AIの是非は一旦置いておきましたが、見識の浅い私が語るより、文化庁資料をご覧いただく方が適切かと思います。
誰かに要約されたものにあたるより、一度は大元に目を通しておくことをおすすめいたします。
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