「衰えたなんて妻に言えない」レス夫の苦悩。セックスレスにまつわる誰にも話せない切実な事情【専門家解説】
セックスレスはもはや夫婦だけの悩みにとどまらず、日本社会全体に広がる深刻なテーマとなっている。日本家族計画協会「ジャパン・セックスサーベイ2024」によれば、有配偶者の64.2%が「1カ月以上性交渉がない」と回答している。これは約6割を超える数字で、2020年調査の51.9%から大幅に増加しており、他の国際調査データと合わせて見ると、先進国のなかでも際立って高い割合だ。
特に30〜40代の子育て世代ではその傾向が強く、仕事や家事・育児に追われる生活環境が背景にあるとされる。 ジャーナリストの清水未知氏はこう話す。 「レスのスタートラインについて尋ねると疲れていてそんな気分になれない、子どもが小さく、夫婦だけの時間がとれない、家が狭く子どもがいる環境ではそういった行為はできないなどの声がよくあがります。一方で、年齢の影響も無視できないと感じることもおおいですね」 日本性科学会によれば、男性は40代以降で勃起不全(ED)の有病率が急増し、50代では3人に1人が何らかの機能低下を経験しているという。身体的な変化と生活環境の変化が重なることで、夫婦の性生活に大きな影響を及ぼす構造が浮かび上がる。 「セックスレスは単なる夜の営みの不足にとどまりません。夫婦関係の満足度や将来的な婚姻継続にも影響を与えルコとは明白です。日本では性を語ること自体が恥ずかしいことという風潮が残っています。そのため、行為の有無だけでなく、欲求や不安を率直に伝えること自体が難しい。レスの原因の多くは身体的要因よりも話せないことにあります」 実際、セックスレスの原因を夫婦のどちらか一方に押し付けるのは難しい。男性側に機能低下やストレスがある一方、女性側も出産や加齢に伴いホルモンの変化が起こり、性欲の波が変化する。さらに「したい・したくない」のタイミングが合わないすれ違いも大きい。 近年では、夫婦間で話し合いを重ね、性に関する価値観を共有する「セックス・コミュニケーション」の重要性が強調されている。清水氏は続ける。 「キスやハグなどのスキンシップを重ねるだけでも関係性は改善するケースが多いんです。性交渉かゼロかという二択ではなく、夫婦の心と体を繋ぐグラデーションを意識することが大切です」 少子化が加速する日本において、セックスレスの広がりは単なる夫婦問題にとどまらず、出生率の低下とも無関係ではない。 セックスレスは「恥ずかしいから」「仕方ないから」と放置してよい問題ではないと肌で感じているもののなかなか一歩が踏み出せないと話す男性に話を聞いた。 「結婚15年のうち10年近くレスです。妻からの誘いに応えられない理由は自分の衰えを晒すことができないから。お恥ずかしながら、言い出すことがなかなかできずにここまできてしまいました」 妻からは優しい言葉を何度もかけられてきた。 「それでもうまく応えられず、避けるようになり、結局レスに。最終的に今は妻からは諦められたような気がしています。友達からは家族として生きていくなら…とある提案もされていて。どうしたらいいものか悩んでいるうちにこんなにも時間が経過してしまったというのがリアルなところです」 友人からの驚愕の提案は【関連記事「妻を他の男に…」に続く友人の提案に愕然。レス夫が手放すべきは妻かそれとも婚姻関係か】でお読みいただける。 【取材協力】ジャーナリスト|清水未知氏【聞き手・文・編集】常田真悠 PHOTO:Getty Images 【出典】日本家族計画協会「ジャパン・セックスサーベイ2024」