【合意に至らない原因は何か?】 (5/5)
クリル諸島の問題はもともと歴史、法的拘束力、戦略、政治といった様々な要素が絡み合っているが、それが戦後80年の間にさらに複雑さを増してしまった。
ロシアにとってはクリル諸島は軍事・戦略上の最重要な意味を持ち、ロシアの極東の国境および戦略核兵器の安全を保障する存在。これは「不沈空母」であり、ロシアの領海への進入を塞ぐ盾である。仮にロシアが譲渡した島に米軍基地が設置されるという事態はロシアには絶対に受け入れ不可能。
日本にとっては、諸島の問題は、国のアイデンティティ、戦後の講和の完了を示す。
両国が法的な論拠とする国際条約は異なる。ソ連の継承国としてのロシアはヤルタ会談、ポツダム宣言を、日本は日魯和親条約とサンフランシスコ講和条約を根拠にしている。これが妥協点を見いだすことを非常に困難にさせている。
現在の地政学的条件では問題解決へのいかなる動きも不特定期間にわたって凍結されている。ロシアのラブロフ外相は「ロシアのクリル諸島における主権の問題は議論の余地はない」と明言している。
歴史的経緯や法的拘束力をめぐる論争はかなり前から地政学的に袋小路にはまり込んでいる。1956年に模索された妥協案は現在の状況では事実上、実行は不可能。
さらなる80年で何らかの変化が起きることはあるのだろうか?
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