二千年前から君と


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作:NIRA NI
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episode.3


ファイナル後編、最高でした


 

「ありがとう、私を救ってくれて」

 

 

辺りを照らして稲妻が落ちた。

ユミルちゃんを軸に骨と肉が形成される。

 

「ユミルちゃん……」

 

ずっと目に陰落としてる姿を見て、もうあの時の約束は果たせないんだろうなって考えてた。でもユミルちゃんは勝ったんだ。恐怖に、あの糞王に。

覚悟を決めた女の子ってあんなにもカッコイイんだな。俺も負けてられねぇ!って思うけど指一本動きません。

 

現れたユミルちゃん巨人は俺と同じで不完全な上半身だけの巨人だった。それも皮がないグロい姿でちょっとキショい。

ナウ○シカの溶けた巨神兵っぽい。腐ってやがる…早すぎたんだ…

 

「き、キショ…いや違う!ユミルちゃんに言ってない!そんなあからさまに落ち込まないで!」

 

グロい姿で落ち込まれるとよりグr……いやいつだってユミルちゃんは可愛いなぁ!!ってそんな馬鹿なこと考えてる場合じゃねぇ!

巨人になった時の余波でぶっ飛ばされる!いや、手に刺さってる剣のおかげで糞王や兵士みたいに吹き飛ばずに済んでます!ありがとう糞王!そのまま頭打って死ね!!

 

 

「や、ヤベェ!腕が千切れる!助けてユミルちゃぁぁん!」

 

 

千切れはじめた右腕とサヨナラしそうだったが、巨人ユミルちゃんが器用に剣を抜いて掴んでくれた。助かった!ありがとうユミルちゃん愛してる!

 

「ありがとうユミルちゃん!てか熱い!?めっちゃ手熱いけど大丈夫!?」

 

クソ熱いんだけど!?利根川が焼き土下座した鉄板くらいユミルちゃんの手が熱い!このままだと傷だらけの体にユミルちゃんの温かい優しさが染みて焼け死んじまう。

 

「ていうか身体全部から煙出てるし、ほんとに大丈夫!?」

 

コクリ、とユミルちゃんが頷く。クソ熱そうなのに大丈夫らしい。

そして俺は大丈夫じゃない。熱すぎて死ぬ!ていうか動かない足が焼肉の如く焼けてる!

 

「ユミルちゃん!このままだとこんがり焼けちゃう!木とかに俺を引っかけ……おおお!?」

 

一瞬でユミルちゃんの手がダイヤモンドみたいに固まった。どうなってんだ!?俺もやりてえ!

 

「ユミルちゃんすげぇよ!!どうやったの!?」

 

こんな超常的な力あるの!?白ひげ海賊団のダイヤモンドユミルさん!?

 

『貴様らァ!許さん!許さんぞ!!!』

「うわ」

 

てめぇ!糞王まだ生きとったんかお前!とっとと死ねよなぁ!性格に続いて生命力もゴキブリみたいなやつだな。

 

『我が奴隷の分際で自由だと!?貴様ら家畜は我が───』

「うる、さい!!」

 

呆気なく、ブチュっと糞王がユミルちゃんの拳に潰されました。死に様もゴキブリかよアーメン。地獄に落ちろ!

 

「ナイス!ユミルちゃん!」

 

俺の言葉にグーサインで返したユミルちゃんは糞王の残骸を地面に拭うとそのまま生き残っていた兵士を片っ端から潰していく。

 

「ま、まって──」「助け」「ひぃいやだ───」「あぁぁぁぁ!!!」

 

散々、俺らを苦しめて楽しんだんだから次は俺達の番だよなぁ!?

 

「いけ!そこだ!ユミルちゃん!右に逃げた!次は岩の裏に隠れてる!よし!」

 

吹っ切れた俺とユミルちゃんを舐めるんじゃねぇ!モグラ叩きみたいに虐殺してやるぜ糞共!地獄で糞王と共に眠れ!!そうだ何かアドレナリンで少しは動けるから、

 

「俺も巨人になって……あれ?」

 

巨人になってモグラ叩きを、ってなんか視界がぼやける。てかこの下の水溜まり、俺の血かよ全部。

やべえ意識が霞んでく

 

「ヤマ!?───ヤマ!

「ユミルちゃん、大丈夫…ちょっと血流しすぎただけ、だから、 ちょっとだけ寝る───

 

 

巨人ユミルちゃんの心配そうな顔を最後に、俺は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

──────

 

夢を見た。

ある生き物についての夢。

 

その生物は物質しか存在しない世界に誕生した原初の生物であり、死という恐怖を最初に持った生物であった。

体に無数の触覚を有し、あらゆる劣悪な環境にも対応出来る。

自身を残すことを最優先とし、ある時は他の生物を従え、またある時はその瞬間に1番強大なモノへの寄生によってその命を残し続けてきた。

ある日、劣悪な環境に対応できるソレしか生き残れない程の爆発が起きた。

ソレが認識したのは山が落ちてきた、それくらいだった。ソレは自らがその程度で死ぬ筈が無い、と理解していたからだ。

しかし山の余波によってソレは地下深くの海に囚われることになる。

 

何百年、何千いや何万年とその場所に囚われた。途方も無い寿命が有ろうと、種の繁栄をできないことに危機感を抱いた。

寄生した先が増えれば自然と自らも増え続けていく、宿主が死滅しないよう多少の力を与えて生き長らえさせる。

しかし自身以外に何もいないこの場所ではソレの増え方はあまりに無力であった。

 

また何万年も過ぎた頃、ソレは自身以外の生物を感じ取った。

それも2つもだ。

どちらも生命活動が終わる事を察したソレは、個の力としてはリスク高い分裂を果たして2つの生物に寄生した。

 

寄生した生物が上位者となるよう、自身がより長く生き続け、より多く増えることができるように宿主を強大にさせる。

ソレが感じ取った宿主の最も大きい意志は、「強く成りたい」とそして「彼と共にいたい」であった。

 




今年)初投稿です
難産でした。ここから加速させます
お気に入り、評価、感想、頂けると嬉しさで巨人化して執筆が捗ります(´・ω・`)
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