何で俺は空を見上げてるんだっけ?
「…あ?」
気付いたら俺は仰向けになって空を眺めていた。
空は…憎たらしい程に快晴。
いっそ鬱陶しいとさえ思うほどの太陽に雲一つないソレらは燦々と俺を照らし続ける。
散歩でもしてたっけか?
そんな事を考えているとぽつぽつと俺の身体に何かが落ちる。
雨?かとも思ったが雨じゃ無い。雨にしては余りにも少な過ぎるし空も晴れてる。
ソレでも、それは俺の身体に落ち続ける。
あーあ。
何故かそう言わずには居られなかった。
俺はもう殆ど動かない身体で少女を見上げる。
「…んな泣くなよユミル」
「う、うぅ…だ、だってぇ」
あぁなるほど。少しずつだが思い出して来た。
この少女はユミル。
金髪ロングの美少女でライバルで
…て言うのに。
「はぁ…」
「う、うう…ぅ」
何でこんな泣いてんだか。俺が死んだらバンバンザイだろうに。
てか身体冷たいな、コレ身体の感覚が殆ど機能してないだろ。
血が流れ落ちる、身体からどんどんどんどん血が抜けていく。止血は、無理。
身体が死へと近づいていく、全身ダルイし冷てぇ。
でもそれ以上に冷たいソレが絶え間無く俺に降りかかる。
はぁ…
何でこんなクサイ事考えなくちゃならないんだか。
また俺はため息を吐く。
「ご、…ご、めんなざぃ…ぐす」
「だ〜か〜ら〜そんな泣くなよ」
「ごめ、ん、…ぅうう…」
ダメだなこりゃ。
俺は諦めと同時に涙でぐちゃぐちゃになったユミルに言葉をかける。
「ユミル、人はいつか死ぬもんだ」
「う…、ぅん」
「人生ってのは余りにも短い。そんなただでさえ短い人生の中で人は老けるし病気にも成る」
「ぐす、…う、ん」
「でもその短い人生で俺は間違い無く、幸せだった。」
流石にコレで置いてくのは後味悪いし、コレで泣き止んでくれたら良いだけどなぁ。
そんな打算90%な思いで俺は言葉を紡ぐ。
「お前が居たからだユミル」
「っ!」
その言葉を聞きユミルは耳を赤くする。
初心だな。
「そんな耳赤くすんなよ」
「…うるさい!」
たく、少し前まではそんなに感情的にならなかったってのに。
俺は少しだけ笑みを浮かべる。
ビチャ
もう…時間か。
俺は再び言葉を紡ぐ。
「まぁ…だから…」
「…う、ん」
俺はコイツに言いたい事は沢山ある。
コイツに山程仲間を殺されたし、俺もコイツを殺そうとした。
でもなんでかお前を見ていると不思議に思った。
俺は…分からなかったんだ。
それ程強大な力が有るのに何で自分の為に振るわないのかを。
なんであの糞野郎の言う事を聞くのかを…でも沢山殺し合ったら、嫌でも理解する。
あぁお前は奴隷なんだってな。
そしたら今までコイツに向けていた感情が変わった。
憎しみから憐れみに。
だから俺はカールの野郎を殺した。
そんであの野郎の悪あがきでコイツと殺し合いってわけだ…
まぁそのおかげで目は覚めたっぽいけど。
本当に、残酷な時代に産まれた。
ソレでも俺は…
最後の力を振り絞り俺は言う。
ちょっとキザ過ぎるかな?
「ユミル——」
———ありがとう。
コレが最後にお前へ送る言葉だ。
次に目を覚ました時、俺は巨大な壁の中に居た… は?